質問本文情報
平成二十九年一月三十一日提出質問第四一号
二〇二〇年度のプライマリーバランス黒字化に関する質問主意書
提出者 逢坂誠二
二〇二〇年度のプライマリーバランス黒字化に関する質問主意書
内閣府は平成二十九年一月二十五日に開催された政府の経済財政諮問会議に「中長期の経済財政に関する試算」(以下、「試算」という。)を提出した。
その中で、中長期的に実質二%、名目三%以上という高い成長率を前提とした「経済再生ケース」と、実質一%弱、名目一%半ば程度を前提にした「ベースラインケース」の両方の試算を行っている。
二〇二〇年度の基礎的財政収支(PB)については、昨年七月の前回試算における「経済再生ケース」では、赤字幅は五・五兆円程度の見通しだったが、今回八・三兆円程度に拡大し、「ベースラインケース」では前回の九・二兆円程度から十一・三兆円程度に拡大となった。
また二〇一八年度については、「経済・財政再生計画」において「中間評価」を行い、PB赤字の対国内総生産(GDP)比一%程度を目安とすることとされてきたが、今回はこれについて、「消費税率の再引上げを二〇一九年十月に延期することとされたことから、中間評価に当たっては、こうした影響を踏まえる必要がある」との説明を行っている。
こうした試算を踏まえて、以下の点を明らかにされたい。
二 二〇一八年度の中間評価に関し、消費税率の再引き上げを二〇一九年十月に延期するとされたことから、こうした影響を踏まえる必要があるとされているが、消費税の再引き上げ延期決定は二〇一六年六月であり、なぜ今になって消費税の再引き上げ延期の影響を踏まえる必要が発生したのか。本来であれば、消費税再引き上げ延期を決定した二〇一六年六月の時点で、その影響を踏まえることを念頭に置くべきであろうし、少なくとも昨年七月の前回試算時に中間評価への影響について言及すべきだったと思われるが、その時点で中間評価への影響に言及しなかった理由はなにか。その時点では、消費税再引き上げの影響が中間評価には及ばないと判断し、その後の事情の変化により、影響が及ぶと判断したと思われるが、その事情の変化は何か。これらの諸点について、政府の見解を示されたい。
三 「経済再生ケース」において公債等残高の対GDP比率は二〇一七年度から二〇二五年度にかけて低下していくが、その理由を明らかにされたい。
四 二〇二三年度以降は長期金利が名目GDP成長率を上回り、低金利で発行した既発債のより高い金利による借り換えが進んでいくため「留意が必要」だとしているが、これは、二〇二六年度以降は公債等残高の対GDP比率は上昇傾向に転じていくことを意味しているのか。政府の見解を示されたい。
五 試算では、名目GDPが、二〇二〇年度に六百兆円、二〇二四年度に七百兆円に拡大するとしているが、その根拠を示されたい。
六 政府は二〇二〇年度にPBを黒字にするとの目標を掲げているが、これは国際社会にも公約したものと理解して良いか。見解を示されたい。
七 政府は二〇一八年度に行う予定の財政状況の中間評価では、二〇一八年度時点で赤字をGDPの一%程度に抑える「目安」を設けているが、試算は二〇一八年度の赤字がGDPの二・四%までしか縮小しないと予測している。これは事実上、「目安」が達成できないことを意味するが、そのような認識で良いか。また、この「目安」が達成できないことを政府はどのように受け止めているのか。見解を示されたい。
八 試算によれば、経済再生ケース、ベースラインケース、いずれにおいても収支改善が遅れることが明らかになり、二〇二〇年度の基礎的財政収支の黒字化は難しいと判断される。この点に関する政府の見解を示されたい。
九 安倍総理は、平成二十九年一月二十日の施政方針演説では、二〇二〇年度の基礎的財政収支の黒字化に触れなかったが、もはや基礎的財政収支の黒字化は重要とは考えていないのか。政府の見解を示されたい。
十 試算で言及されている、GDP規模、二〇二〇年度の基礎的財政収支の黒字化目標、債務残高のGDP比、これらのうち現時点で政府が特に目標達成が必要だと考えるものは何か。その優先順位はどのようなものか。見解を示されたい。
十一 名目成長率が一%台半ば、実質成長率が一%弱というベースラインケースだと、基礎的財政収支は黒字にならず、二〇二〇年度以降も再び悪化するという予測が示されている。債務残高GDP比も上昇が続くが、政府はこうした状況もあり得ると判断しているのか。見解を示されたい。
右質問する。