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平成二十九年二月二十一日提出
質問第八三号

南スーダン国連平和維持活動派遣部隊の日報の情報公開・公文書管理問題に関する質問主意書

提出者  西村智奈美




南スーダン国連平和維持活動派遣部隊の日報の情報公開・公文書管理問題に関する質問主意書


 自衛隊の南スーダンPKO派遣部隊の日報の情報開示請求を受け、作成元や陸上自衛隊などで探した結果、「不存在」としたものの、防衛省統合幕僚監部で見つかったというのが、今回説明されている経緯である。本件は二〇一六年九月に行われた情報公開請求に対し、期間延長をした上で決定を行っており、十分に探索をする時間があったはずである。しかも、同年十二月二日に不存在決定を出し、その後、同年十二月二十六日には発見されている。
 かつて、海上自衛隊護衛艦「たちかぜ」乗組員の自殺事案に関連して実施された艦内生活実態アンケートが、存在するにもかかわらず長く不存在とされ、海上自衛隊内でその存在が認識されてもなお、存在しないこととされていた問題では、二〇一二年度に特命監察結果が海上幕僚長あてに報告されているが、その報告書によると、再発防止に関する意見等が記載され、「不存在と判断する場合の再確認」として、「今後、開示対象文書を『不存在』と判断する場合には、海上自衛隊として、次を徹底することにより、当該判断の是非の再確認を行う必要がある」として、「海幕情報公開室から、海幕担当課を通じて関係部署等の文書管理者に対して、捜索要領において一時的に保有されている個人資料に紛れていることはないか、捜索箇所や手段において見落としがないか等、存在の可能性が考えられる当該部隊内すべての箇所を確認するよう細部に至る注意喚起を行い、特定作業を行わせる」「関係部隊等において不存在であった場合には、海幕内においても、同様に他の課室に拡大して特定作業を行わせる」としている。
 そこで、以下、質問する。

一 日報は防衛省内のどこで共有されていたのか、その共有範囲と、どのように報告等に使われているのかを明らかにされたい。またそのことは、陸上自衛隊及び統合幕僚監部で当然に把握されていたのではないか。
二 当初の探索範囲として挙げられている「作成元」や「陸上自衛隊部隊」以外に、統合幕僚監部を探索したのか。情報共有範囲は適切に設定されていたのか。請求文書の探索範囲を明らかにされたい。
三 防衛省としては「たちかぜ」のアンケートのことは問題として十分に認識しているはずであり、海上自衛隊の固有の問題というより、本来的には防衛省・自衛隊において教訓とされるべき問題であったはずである。南スーダンPKOの日報は陸上自衛隊のものであるため、海上自衛隊の特命監察がそのまま適用されていなかったということか。
四 これまでの情報公開法の運用をみると、防衛省は、情報公開請求に対する決定に占める不存在の割合が目立っている。省庁全体と、防衛省(二〇〇一年から二〇〇六年は防衛庁と防衛施設庁)で、二〇〇一年から二〇一五年の、情報公開請求に対する不存在決定の割合を、それぞれの年で明らかにされたい。
五 日報は、「陸上自衛隊の内部資料によると、派遣部隊の『日報』は後の訓練のための基礎資料として活用される『主要教訓資料源』とされ、特にPKO派遣などでは錬成訓練のシナリオや、現地での教訓を後に反映させるために使われる重要な資料とされる」(神奈川新聞「戦闘発生時の『日報』廃棄 陸自三か月足らずで南スーダンPKO」二〇一六年十二月十四日)とされているが、そのとおりか。
六 南スーダンPKO派遣部隊日報問題では、日報が一年未満の保存期間文書であり、かつPKO関係文書が陸上自衛隊文書管理規則で三年保存文書とされているが、自衛隊の活動に係る文書は防衛省の組織としての資産であるという認識はあるか。
七 二月九日に行われた統合幕僚長の会見を報じた記事によれば、日報に「戦闘」と記述されていることに対し、「法的に誤解を招かないよう指導していきたい」「戦闘行為は即時に自衛隊の活動に大きな制約がかかる。法的に戦闘という意味を自衛官として知っておく必要がある」「議論にも発展することを考えて書くようにということだ」と述べたとされている(時事通信「PKO部隊に法的意味指導=目撃状況を『戦闘』−南スーダン日報問題で制服組トップ」二〇一七年二月九日)が、事実か。
八 このような「指導」により政治的な議論に発展することを念頭に日報が書かれたこととなると、率直さと現場感覚のない政治的な文書に日報が変質することになるが、その認識はあるか。
九 日報のような一次情報、情報評価、意思決定・政策決定の過程が記録として残されていることが、より適切な判断ができる組織の基礎となるはずである。一次情報段階で政治的配慮を求めることは、意思決定者・政策決定者にとって望ましい情報しか提供されない、あるいは記録として残っていかないという、組織として致命的な構造を抱えることになるのではないか。
十 「陸上自衛隊史・部隊史(原本)」「陸上自衛隊報」は三十年保存ののち廃棄としている。一方、海上自衛隊は、少なくとも「海上自衛隊史」は常用(無期限)とし、保存期間満了後は移管とし、廃棄できないこととなっている。この違いは何なのか。
十一 陸上自衛隊文書管理規則では、他にも、「戦史等(行動史)」が三十年保存ののち廃棄とされており、さらに、「外国陸軍との情報交流に関する文書」(一年)、「国外情報に関する文書」(一年)、「日米幕僚懇談」(一年)、「他国軍交流」(一年)、「海外における能力構築支援事業」(一年)、特殊作戦に関する文書で「部隊運用」(一年)、「日米共同演習」(三年)、「統合訓練」(三年)、「米国における実動訓練」(三年)、「多国間訓練」(三年)、「教育訓練等の評価・分析」(一年)など、内容は不明だが、蓄積すべきではないかと思われる行政文書で、短期保存で廃棄とされているものが多数見受けられる。陸上自衛隊文書管理規則により、陸上自衛隊独自の行政文書で保存期間満了後に歴史文書として移管とされているものと、廃棄するものを、それぞれ挙げられたい。
十二 防衛省内の情報公開請求に対する決定期間延長の状況について、三十日延長、特例延長、延長率をそれぞれ挙げられたい。

 右質問する。



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