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平成二十九年四月十八日提出
質問第二三九号

琉球弧の島々への自衛隊配備に関する質問主意書

提出者  仲里利信




琉球弧の島々への自衛隊配備に関する質問主意書


 政府は、沖縄県の沖縄本島、宮古島、石垣島及び与那国島、さらには奄美大島のいわゆる琉球弧を形成する島々(以下「琉球弧の島々」と称する)において、地域住民が反対や不安を強く訴え続けているのにもかかわらず、強引に自衛隊を相次いで配備し、又は配備計画を進めようとしている。
 そこで以下お尋ねする。

一 政府が琉球弧の島々に相次いで自衛隊を配備し、又は配備しようとする理由と目的、それにより得られる効果は何か明らかにされたい。
二 政府は近年、離島奪還訓練と称して、占領された琉球弧の島々を奪還する訓練を行っているとのことであるが、その理由と目的、それにより得られる効果は何か明らかにされたい。
三 質問二に関連して、そのような離島奪還訓練を行うこと自体、政府にはそもそも琉球弧の島々に居住する住民や領土、領空、領海を守る能力や意思が最初から考えられていないことの証左であると思われるが、政府の認識と見解を答えられたい。
四 報道によれば、自衛隊の隊内紙に記載された自衛隊幹部の論文で「沖縄は地形上、防衛が困難であるため、島嶼防衛作戦は、敵に離島を占領させた後、強襲上陸し奪還するものである」とのことである。このような論文を堂々とまかり通していること自体が、政府には端から琉球弧の島々を守る意思や能力がないことの証左になるのではないか。政府の認識と見解を答えられたい。
五 政府は、琉球弧の島々に配備し、又は配備しようとする自衛隊が住民や領土、領空、領海を完全に守るとともに、侵攻への抑止力として十分機能するためにはどの程度の規模や能力、装備等が必要であると考えているか明らかにされたい。
六 政府は、島嶼部に対する攻撃への対処として「配置された部隊に加え、侵攻阻止に必要な部隊を速やかに機動展開し、海上優勢及び航空優勢を確保しつつ、侵略を阻止・排除」とし、「琉球弧の島々に配備される部隊のみで対応するという考えではない」としている。すなわち、この考えこそが「琉球弧の島々を守り抜くことは到底できない」のであり、「他国軍に占領されるのはやむを得ない」ことを如実に示しているものではないか。政府の認識と見解を答えられたい。
七 琉球弧の島々に配備されたミサイル部隊は射程が僅か百〜百六十キロメートル程度の地対艦及び地対空ミサイルであり、またその保有・発射可能ミサイル数も極めて限られているものと思われることから、配備による効果は極めて限定的であると言わざるを得ない。そのため、東シナ海から太平洋へ抜け出ようとする艦隊や航空機をレーダーで捕捉し一時的に足止めすることは可能であろうが、完全に遮断することは不可能であり、いわば捨て石的な存在の配備でしかないものと思われるが、政府の認識と見解を答えられたい。
八 政府は、これまで琉球弧の島々に「配備するミサイルは空港や港湾等の重要施設を防護することを目的とする」としているが、その能力や規模、配備先等を見ると、およそ重要施設を守り抜く内容等ではなく、やはり本土防衛のための時間稼ぎであるとしか思われないが、政府の認識と見解を答えられたい。
九 琉球弧の島々に配備し、又は配備しようとする自衛隊の能力や規模を鑑みると、先の大戦で沖縄が本土防衛の盾となり、時間稼ぎのための捨て石となったことを彷彿させるものであるが、政府の認識と見解を明らかにされたい。
十 先の大戦で日本軍は住民を守らなかった。むしろ住民混在の国土防衛戦を行い、米軍を消耗させることを狙った。そして、住民が戦争遂行の邪魔になると、一転して軍命を下して住民の集団強制自決を強いて排除したのである。また、学徒出陣や防衛隊召集で住民を消耗品の兵力として使い捨てたのである。これらのことからすれば、琉球弧の島々に配備し、配備しようとする自衛隊もまた日本軍と同様に、住民を守らなかったり、住民混在の国土防衛戦を強いたり、住民を自分たちの盾としたり、住民を消耗品として使い捨てにしたりすると思わざるを得ないが、政府の認識と見解を答えられたい。
十一 報道によれば、自衛隊の隊内紙に記載された自衛隊幹部の論文で沖縄の離島が「占領などの際は、領域保全を優先するため、住民混在の国土防衛戦を行う」とのことである。このような発想や言葉を論文としてまかり通していること自体、自衛隊と日本軍の考え方に違いのないことを示す証左になるものと思われるが、政府の認識と見解を答えられたい。
十二 政府は、二〇一三年十一月に沖大東島で離島奪還訓練を行った。その際に住民の避難訓練は含まれていなかったため、住民混在の国土防衛戦の考えが図らずも示されたものと思われるが、政府の認識と見解を答えられたい。
十三 琉球弧の島々にミサイル部隊やレーダー・沿岸監視部隊が配備され基地が整備されると、基地があるが故に先制攻撃や報復攻撃の対象となり、狭隘な島々に居住する住民は逃げ場がなくなり、巻き添えとなって瞬時に殲滅させられてしまうことが懸念されるが、政府の認識と見解を答えられたい。
十四 政府は、琉球弧の島々への自衛隊の配備は「力による現状変更を許容しないとの我が国の意思を示し、島嶼部への攻撃に対する抑止力を高めるもの」と主張する。しかし、限られた軍事力でもって世界有数の圧倒的な軍事力と経済力を有する他国に対処可能であるとか、抑止力になり得るとかの主張は余りにも根拠に乏しく、自画自賛の主張であると言わざるを得ないが、政府の認識と見解を答えられたい。
十五 琉球弧の島々への自衛隊の配備計画概要等を見ると、「火薬庫」の表示はあるものの、その目的や能力等はこれまで「任務の効率的な遂行に多大な支障を生じさせる恐れがある」との理由から一切明らかにされていない。しかし、政府が「平成二十六年度以降に係る防衛計画の大綱」において「島嶼部における防衛態勢の充実・強化」を謳うならば、琉球弧の島々の防衛が本当に可能であり、防衛するという政府の本気度を証明して地域住民の賛同を得るためにも積極的に「火薬庫」の目的や能力等を開示・説明すべきではないか。政府の認識と見解を答えられたい。
十六 政府は、中国への強い懸念を表明するものの、琉球弧の島々への部隊配置を含めた我が国の防衛力整備は「特定の国を仮想敵国や脅威と見なし、これに軍事的に対抗していくという発想に立っていない」と主張する。しかし、相手に応じ、これを上回る防衛力や内容を伴わないと対抗乃至抑止の意味はなさないものと思われるが、政府の認識と見解を答えられたい。
十七 政府の言う「国民の生命・財産と我が国の領土・領空・領海を守る」ための「適切な防衛力」とはいかなるもので、その規模や能力はどの程度のものか政府の認識と見解を答えられたい。
十八 政府は、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増しているとし、特に中国に対する懸念や脅威を強く訴えている。しかし、彼我の軍事力や経済力をみると、およそ子供と大人ほどの違いがあり、到底太刀打ちできないことは明らかである。とりわけ中国では近年急速にミサイル等の着弾精度をピンポイントレベルまで向上させていることや、第三世代の航空機性能の向上が図られていること等軍事力の近代化が急ピッチで進んでいることからすれば、力に対して力で臨もうとすることは果てしない軍拡競争になりかねないことは火を見るよりも明らかであると思われるが、政府の認識と見解を答えられたい。
十九 本職は、先の大戦の戦争体験者の一人として、また古来より琉球と中国との間で続いていた関係に鑑み話し合いの余地があると考えている者として、琉球弧の島々に自衛隊を配備するリスクと配備しないリスクを比較すると、自衛隊を配備せず、話し合いの外交努力で我が国の安全確保と諸問題の解決を図るべきであり、それは十分可能であると考えるが、政府の認識と見解を答えられたい。

 右質問する。



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