衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成二十九年五月十七日提出
質問第三二四号

沖縄県嘉手納米空軍基地におけるパラシュート降下訓練に関する質問主意書

提出者  仲里利信




沖縄県嘉手納米空軍基地におけるパラシュート降下訓練に関する質問主意書


 去る五月十日、米空軍嘉手納基地で、米軍のパラシュート降下訓練がまたしても、しかも夜間に強行された。同基地での訓練は一九九六年のSACO(沖縄に関する特別行動委員会)合意で、伊江島補助飛行場で実施することになっているものであり、その危険性故に県民が強く反対しているのにもかかわらず強引に実施されたものであり、県民は米軍の独断的なやり方に強く反発し、憤りと抗議の声を高めている。
 そこでお尋ねする。

一 日米両政府は、二〇〇七年の日米合同委員会で、伊江島の天候面などで悪条件があった場合に「嘉手納基地を例外的な場合に使用する」と確認していると承知しているが、この「例外」とはいかなる場合であるか、具体的に明らかにされたい。
二 質問一に関連して、仮に「例外的な場合」が発生した場合に、誰がどのような手続きを誰に行い、そして誰がそれを承認・決定するのか、地元市町村や県、関係機関への事前の連絡・調整はどのように行うのか、明らかにされたい。
三 沖縄県の富川盛武副知事が十二日、米空軍嘉手納基地第十八航空団のクリス・アムライン副司令官に嘉手納基地での夜間のパラシュート降下訓練を実施したことについて抗議するとともに、今後嘉手納基地で実施しないことを求めたところ、アムライン副司令官は嘉手納基地での降下訓練について「日米合同委員会で調整済みだ」と説明したとのことであるが、この発言について政府の承知するところを明らかにした上で、同発言に対する政府の見解を答えられたい。
四 質問三に関連して、沖縄防衛局の伊藤晋哉企画部長は、アムライン副司令官の発言に対して「大変遺憾だ。強く抗議し、訂正を求めている」とのことであるが、政府における同発言の覚知や抗議、訂正の時期は何時か、そして抗議及び訂正の内容をそれぞれ明らかにされたい。
五 稲田朋美防衛大臣は記者会見で、今回のパラシュート降下訓練に対して「例外的な場合には当たらないのではないか」との認識を示すとともに、「例外的に当たるのか米側から十分な説明もなく、事前に日米で認識を共有するに至らないまま嘉手納基地で訓練が行われたことは遺憾」と指摘したとのことであるが、なぜ「SACO合意違反に該当する」と明言しないのか、その理由を明らかにされたい。
六 沖縄県や嘉手納基地周辺自治体は、これまで嘉手納基地での降下訓練を認めていない。一方、米軍は嘉手納基地を「潜在的な可能性のある代替的な選択肢」と位置付け、「例外的」を意味する英単語を使っていないことが取材で明らかになっている。日米でこのような食い違いが生じていることについて政府の承知するところを明らかにした上で、米軍が嘉手納基地を「例外的」とせずに「代替的な選択肢」としていることについて政府の見解を答えられたい。
七 識者は、米空軍のホームページ上で公開されている四月の嘉手納基地でのパラシュート降下訓練を「高高度から降下し、低空でパラシュートを開く訓練である」と指摘しているが、狭隘な地域に住宅地や学校、病院等の民間施設が多数あり、また沖縄本島の幹線道路として交通量が極めて多い国道や県道、市町村道が嘉手納基地の周囲を取り巻いていることを考えると、パラシュートが開かない等の不測の事態が生じた場合には大惨事を招きかねない、極めて危険な行為である。政府はこのような訓練を「遺憾」との言葉だけで済ますのではなく、国民の生命と財産、安心、安全を守るべき主権国家として、強く廃止を求めるべきではないか。政府の認識と見解を答えられたい。
八 米軍は、今年に入り毎月、うるま市の津堅島沖や嘉手納基地でのパラシュート降下訓練を実施しており、伊江島補助飛行場以外での訓練の常態化を狙っているものと思われるが、政府の認識と見解を答えられたい。
九 質問八に関連して、また、名護市辺野古でのヘリによる兵士の吊り下げ訓練や、読谷村都屋でのヘリによる車両吊り下げ訓練も実施されていることを考えあわせると、いわば「米軍のやりたい放題、好き勝手な基地の運用」が行われているものと思われるが、政府の認識と見解を答えられたい。
十 米軍は「アジア太平洋地域の平和と安全を目的とする日米同盟」の名の下、傍若無人に訓練を行うようになっているが、政府はこのような米軍の行為や方針に同調するのか、また単に「遺憾」の意を表してお茶を濁し、ほとぼりを冷まそうとするのか、それとも米国への追随を見直して「是々非々で物を言う」のか、政府の基本的な考えと対応を明らかにされたい。
十一 一九九六年のSACO合意事項である「伊江島補助飛行場でのパラシュート降下訓練の実施」は、日米両政府の約束事である。政府は、米軍及び米国政府に県民の要求から程遠い最低限度の約束すら守らせることができないのか、政府の認識と見解を答えられたい。
十二 沖縄県民は、沖縄県内でのパラシュート降下訓練とヘリによる吊り下げ訓練の廃止を強く要求し続けてきた。この要求は尊い人命が訓練により奪われたという過去の教訓から発した切実なものである。政府はなぜ沖縄県民の要求に真摯に対応しようとしないのか、なぜ訓練の廃止が未だに実現できないのか、明らかにされたい。

 右質問する。



経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.