質問本文情報
平成二十九年十二月六日提出質問第九五号
航空機の衝突や弾道ミサイルに対する原子力施設等の安全性を確保するための取り組みに関する質問主意書
提出者 山崎 誠
航空機の衝突や弾道ミサイルに対する原子力施設等の安全性を確保するための取り組みに関する質問主意書
原子力規制委員会は、原子力施設の設置や運転等の可否を判断する目的を果たすため、原子炉等の設計を審査するための新規制基準を定め、その運用を開始している。そしてその基準は、「世界で最も厳しい水準」にあるとしている。東京電力福島第一原子力発電所の事故が、今なお人間が立ち入れない国土を生じさせ、住民に長期にわたる避難生活を強いるなど、国民の生活に甚大な影響を与えていることを踏まえれば、原子力施設の安全性をできる限り高めることが不可欠である。
そこで、以下の点につき質問する。
二 平成二十九年十二月一日衆議院経済産業委員会において、使用済み核燃料プールに航空機が墜落した際、どのように守るかとの趣旨の質疑の中で、櫻田道夫原子力規制技監は「災害の防止ができるように、備えの設備というものを別に設ける」、「ここの中にある放射性物質の大量の拡散が起きないような備えをするということを求めておる」、「建物もございますし、(中略)プールが壊れるとおっしゃいますけれども、いきなり水が落ちる、なくなるということはなかなか考えがたいですし、水がなくなるというような状況が起きる場合におきましても、そこに対して水をまた注入する、こういうような設備もございます」と答弁した。
1 航空機の墜落等の事象から使用済み核燃料プールを守るため、新規制基準はどのような対策を求めているか。
2 大型の航空機が衝突した場合、建物だけでなく、使用済み核燃料プールも大きな損傷を受ける可能性があるのではないか。その場合、プールの水が失われる事態も想定されるが、政府の認識を明らかにされたい。また、このような事態では、周辺施設も被害を受け、注水などの機能が失われるといった被害が生じる可能性があるが、どのような対策を講じているか、明らかにされたい。
三 安倍晋三内閣総理大臣は、十一月三十日の参議院予算委員会において、「弾道ミサイルが落下した際にみずからの身を守るためどのように行動すべきかを国民が理解し、避難行動をとれるようにするためには、実践的な訓練を繰り返すことが大切だが、人口密集地での訓練は東京を含め実施に至っていない。都市部での避難訓練の積極的な実施を自治体に働きかけ、国民の安心・安全の確保に万全を期したい」と述べた。
このように、政府は、北朝鮮による弾道ミサイルの発射を受けて、弾道ミサイルの飛来、落下に備えた避難訓練の実施を積極的に自治体へ働きかけており、十二月一日には、福岡県福岡市において、弾道ミサイルが飛来し、市内上空を通過したとの想定で、情報伝達や避難、福岡市営地下鉄の運行停止といった大規模な訓練が行われた。
弾道ミサイルによって、安全が脅かされるのは原子力施設も同様である。
1 原子力施設等に弾道ミサイルが落下、直撃した場合、その安全性を確保するため、新規制基準ではどのような基準が定められているか。加えて、その基準が、「世界で最も厳しい水準」にあるとする根拠を明らかにされたい。
2 政府が、自治体や国民に対して、弾道ミサイルの落下の際、自らの身を守るためにどのように行動すべきかを理解するよう呼びかけているその趣旨を鑑みれば、原子力施設等においても、同様の訓練が当然実施されているものと思われる。原子力施設等において、弾道ミサイルの上空通過や落下を想定した訓練を行っているか。行っているとすれば、どのような内容の訓練か、明らかにされたい。
右質問する。