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平成三十年十月二十四日提出
質問第一号

消費税の使い道を大きく変える決断をする場合の内閣の姿勢に関する質問主意書

提出者  逢坂誠二




消費税の使い道を大きく変える決断をする場合の内閣の姿勢に関する質問主意書


 平成三十年十月十五日の臨時閣議で安倍総理は、「消費税率については法律で定められた通り、平成三十一年十月一日に現行の八%から十%に二%引き上げる予定です」「今回の引上げ幅は二%ですが、前回の三%引上げの経験をいかし、あらゆる施策を総動員し、経済に影響を及ぼさないよう、全力で対応します。第一に、消費税率引上げ分の使い道を変更し、二%の引上げによる税収のうち半分を国民の皆さんに還元します」(「三〇総理発言」という。)などと発言した。
 もっとも、平成二十九年九月二十五日の記者会見で安倍総理は、「つけを未来の世代に回すようなことがあってはならない。人づくり革命を力強く進めていくためには、その安定財源として、再来年十月に予定される消費税率十%への引上げによる財源を活用しなければならないと、私は判断いたしました。二%の引上げにより五兆円強の税収となります。現在の予定では、この税収の五分の一だけを社会保障の充実に使い、残りの五分の四である四兆円余りは借金の返済に使うこととなっています。この考え方は、消費税を五%から十%へと引き上げる際の前提であり、国民の皆様にお約束していたことであります。この消費税の使い道を私は思い切って変えたい。子育て世代への投資と社会保障の安定化とにバランスよく充当し、あわせて財政再建も確実に実現する」と発言し、衆議院を解散することの妥当性を説明している。
 併せて、「これまでお約束をしていた消費税の使い道を思い切って大きく変えるという決断をいたしました」「これは国民の皆様にお約束をしていたことでもあります。「代表なくして課税なし」。税こそ民主主義であり、国民生活に大きな影響を与える。税制においてこれまで約束した使い道を見直すとの大きな決断をする以上、国民の皆様にその信を問わなければならない。その判断を仰がなければならない。こう決心をいたしました」(「二九総理発言」という。)とも発言している。
 これらの発言を踏まえ、以下質問する。

一 二九総理発言では、消費税の使い道を大きく変える決断をする場合、「国民の皆様にその信を問わなければならない」と示されているが、消費税の使い道を変える場合、国民の信を問わなければならないという姿勢は現時点でも安倍政権では維持されているのか。見解如何。
二 二九総理発言で「「代表なくして課税なし」。税こそ民主主義であり、国民生活に大きな影響を与える」との見解を示し、消費税の使い道を変える場合に国民の信を問う姿勢を表明しているにも関わらず、三〇総理発言では「消費税率引上げ分の使い道を変更し、二%の引上げによる税収のうち半分を国民の皆さんに還元します」と明言するものの、これまで安倍総理は国民の信を問う姿勢を明らかにしていない。二九総理発言と三〇総理発言は整合性を持たないのではないか。安倍総理の見解如何。
三 三〇総理発言でいう「消費税率引上げ分の使い道を変更し、二%の引上げによる税収のうち半分を国民の皆さんに還元」することは、「国民生活に大きな影響を与える」ものではなく、「代表なくして課税」の内容を変更できる程度のものと考えているのか。政府の見解如何。
四 二九総理発言でいう「現在の予定では、この税収の五分の一だけを社会保障の充実に使い、残りの五分の四である四兆円余りは借金の返済に使うこととなっています。この考え方は、消費税を五%から十%へと引き上げる際の前提であり、国民の皆様にお約束していたことであります。この消費税の使い道を私は思い切って変えたい。子育て世代への投資と社会保障の安定化とにバランスよく充当」することは、総選挙を経て安倍政権に委ねられた政策変更と見ることができる。他方、三〇総理発言でいう「消費税率引上げ分の使い道を変更し、二%の引上げによる税収のうち半分を国民の皆さんに還元」することはこれを明確に変更するもので、昨年の総選挙の内容を一部否定するものである。これは、安倍総理自らが衆議院を解散し、民意を問うた昨年の総選挙を蔑ろにするものではないか。安倍総理の見解如何。
五 三〇総理発言でいう「消費税率引上げ分の使い道を変更し、二%の引上げによる税収のうち半分を国民の皆さんに還元します」との方針は、財務省のホームページの「税制について考えてみよう」で示されるような「年金、医療などの社会保障・福祉や、水道、道路などの社会資本整備、教育や警察、消防、防衛といった公的サービスは、私たちの暮らしに欠かせないものですが、その提供には費用がかかります。税は、このような公的サービスの費用を賄うものですが、みんなが互いに支え合い、共によりよい社会を作っていくため、この費用を広く公平に分かち合うことが必要」という原則に反するものである。すなわち、税は、「課税の十分性」、「課税の明確性」などが求められるが(ワグナーの租税九原則)、国民に還元するために徴税するならば、「課税の十分性」や「課税の明確性」があるとは言えない。それならばそもそもその課税をしなければ良いのであり、政府に徴税コストが発生するのみである。政府は、「税収のうち半分を国民の皆さんに還元」するような税が、十分性を持ち、明確な課税理由を持っていると考えるのか。公的サービスの費用を賄うことのないただ国民に還元されるための目的の税は合理性に欠けるのではないか。政府の見解如何。

 右質問する。



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