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平成三十一年二月十二日提出
質問第三六号

日本原子力発電株式会社東海第二発電所再稼働に関わる経理的基礎に関する質問主意書

提出者  宮川 伸




日本原子力発電株式会社東海第二発電所再稼働に関わる経理的基礎に関する質問主意書


 安倍政権は成長戦略の目玉の一つとして原発輸出を推進している。しかし、東京電力福島第一原発事故以降、安全性基準が厳しくなり、巨額の建設費用のために採算が合わなくなってきた。三菱重工はトルコへの原発輸出を断念したと報道されており、日立製作所は英国への輸出を凍結した。経団連の中西宏明会長は年初のインタビューで「東日本大震災から八年がたとうとしているが東日本の原発は再稼働していない。国民が反対するものはつくれない。全員が反対するものをエネルギー業者や日立といったベンダーが無理につくることは民主国家ではない」と答えたと報道されている。国内の原発においても、再稼働ありきで議論を進めるのではなく、採算性があるかどうかしっかりと議論し、国民が納得できる状態にすべきである。
 昨年、「日本原子力発電株式会社東海第二発電所再稼働に関わる経理的基礎に関する質問主意書」を提出したが、それに対する答弁書(内閣衆質一九七第一二二号、以下「前回答弁書」という。)では、明確な回答が得られなかったため、再度質問する。

一 東海第二発電所の二十年運転延長許可にあたり、その事業主である日本原子力発電株式会社(以下「日本原電」という。)は、東京電力から一千七百四十億円の安全対策工事費の資金支援を受ける必要がある。前回答弁書の中で政府は、近隣六自治体の同意がない状態で、東京電力が日本原電に対して資金支援をするかどうかは、「東京電力の経営陣の責任において行われるべきもの」と答弁している。一方で経済産業大臣は「日本原子力発電株式会社東海第二発電所の発電用原子炉の設置変更許可(発電用原子炉施設の変更)に関する意見の聴取について及び東京電力ホールディングス株式会社について(回答)」(以下「本件回答」という。)の中で、「資金的協力を含め、東京電力の経営判断のあり方は、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の趣旨及び新々・総合特別事業計画の内容に照らして問題はないものと考えている。」と回答している。
 しかし、前回答弁書や、平成三十年十一月二十八日の衆議院経済産業委員会において東京電力が資金支援するかどうかまだ決めていない旨の答弁をしていることを考慮すると、経済産業大臣は、東京電力が資金支援することが「原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の趣旨及び新々・総合特別事業計画の内容に照らして問題はない」と判断できる状態にないことは明らかである。経済産業大臣は本件回答に係る判断が誤りであったことを認め、原子力規制委員会に対する回答を撤回・修正すべきと考えるがいかがか。
二 東海第二発電所は、今後特定重大事故等対処施設を設置する必要があり、その費用は他原発での特定重大事故等対処施設の費用実績から一千億円程度かかると予想される。前記の衆議院経済産業委員会の中で東京電力は、この費用の資金支援は決めていないと答弁している。一方で法令上、特定重大事故等対処施設は本体施設工事計画認可後五年以内に設置することが要求されている。すなわち、東海第二発電所の場合は二〇二三年十月までに特定重大事故等対処施設を設置する必要がある。二十年運転延長に関する一千七百四十億円を使って安全対策工事をしても、特定重大事故等対処施設の工事費用が追加調達できなければ、二〇二三年には運転ができなくなる。従って特定重大事故等対処施設の工事が五年以内に完了しなければわずかな期間しか原発を運転できず、東京電力は到底一千七百四十億円を回収することはできないのではないかと考える。
 1 経済産業大臣は、特定重大事故等対処施設の工事費用の目途が立っていない状態で、東京電力が日本原電に対して資金支援することは、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の趣旨及び新々・総合特別事業計画の内容に照らして問題ないと考えているのか。
 2 経済産業大臣は、東京電力が、福島第一原発事故からの一日も早い復興に向けて会社をあげて最大限努力するよう促す観点からリスクの高い案件に資金支援しないように、特定重大事故等対処施設の工事費用の目途が立ってから、日本原電に対して資金支援をするように指導すべきではないか。
三 経済産業大臣が本件回答の中で、「資金的協力を含め、東京電力の経営判断のあり方は、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の趣旨及び新々・総合特別事業計画の内容に照らして問題はないものと考えている。」と回答したことは、原子力規制委員会が二十年運転延長許可を判断する上で極めて重要であった。しかし、経済産業大臣は、東京電力が資金支援することが適当であるかどうか実質上判断していない。
 また、東京電力は前記の衆議院経済産業委員会で資金支援をするかどうかまだ決めていないとはっきり答弁している。更に、原子力規制員会が判断する上で用いた「東海第二発電所新規制基準対応工事資金調達に係る資金支援について(回答)」の中で、東京電力は「本文書は、これまでに貴社より弊社が提示された情報に基づき、本件資金支援に関する意向を表明するものであり、何ら法的拘束力のある約諾を行うものではなく、弊社における最終的な決定については、弊社内での総合的な検討結果を踏まえて判断することとなる」と回答しており、東京電力は初めから資金支援をするかどうかまだ決めていない旨をはっきりと述べていた。
 以上より、原子力規制委員会が「経理的基礎がある」と判断したことは誤りだったと言わざるを得ない。原子力規制委員会は、本件回答に係る経済産業大臣の判断が誤りであったことを踏まえ、東海第二発電所の二十年運転延長許可に関して再検討すべきだと考えるが如何か。

 右質問する。



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