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令和元年六月七日提出
質問第二一二号

健康長寿社会の構築、医師の働き方改革及びオリンピック・パラリンピックにおける外国人医療対策に関する質問主意書

提出者  柚木道義




健康長寿社会の構築、医師の働き方改革及びオリンピック・パラリンピックにおける外国人医療対策に関する質問主意書


一 国民の幸福の原点は健康であり、政府が「人生百年時代」というのであれば健康寿命を伸ばし、お腹の中の赤ちゃんからお年寄りまで出来るだけその人らしく生きられるようにする必要がある。
 1 健康寿命を伸ばすには、病気にかかった際の診療・手術・医薬品等の費用をまかなう公的医療費とは別に、病気の予防と健康づくりのために包括的な財源を確保した上で、妊娠・出産からお年寄りまで切れ目のない健康長寿社会づくりを進める必要があると考えるが、政府の見解如何。
 2 二〇一五年(平成二十七年)に発足した「日本健康会議」では、少子化と高齢化が急速に進展するこの社会で国民一人ひとりの健康寿命延伸と適正な医療を目指して、民間組織が連携して実効性のある活動を続けている。政府はこの「日本健康会議」に補助金を出して応援している。
  すでに「日本健康会議」の地方組織が作られはじめているが、「日本健康会議」のもとに各都道府県の健康会議を設置し「日本健康会議」が定めた八つの提案を着実に進めることが長寿社会づくりにつながると考える。「人生百年時代」を政府が進めるのであれば、この都道府県健康会議にも政府として補助を行うべきだと考えるが政府の見解如何。
二 医師の働き方改革を進めるにあたっては、地域の医療提供体制を維持しながら医師の働き方を見直すために、様々な取り組みを進める必要がある。
 1 例えば、地域医療確保暫定特例水準の医師がいる医療機関では、医師労働時間短縮計画を作成することで医師労働時間管理のPDCA(プラン・ドゥー・チェック・アクション)を実施しなければならない。このために、今から病院長を始めとする管理者の意識改革や勤務環境・処遇などの労務管理に関するマネジメント能力を向上させる必要がある。このような医療機関の勤務環境マネジメント向上支援のために政府として必要な予算を確保すべきだと考えるが政府の見解如何。
 2 地域・診療科の医師の偏在や看護師不足の中、地域住民のかかりつけ医機能や身近な入院機能を担う中小病院においては、医師から看護師等へのタスク・シフティングによる勤務激化防止と勤務環境の改善に資するため、各種備品やICT機器等の導入が迫られている。政府として、こうしたタスク・シフティングなどの勤務環境設備整備支援のため、予算を組むべきだと考えるが見解如何。
 3 医師の働き方改革を進めつつ地域の医療提供体制を維持する取り組みとしてタスク・シフティング等の勤務環境改善の先進的な取り組みを行う医療機関に必要経費を補助することで、タスク・シフティングの効果や課題の検証を行うとともに、その取り組みの評価・周知による普及を図る必要がある。都道府県医師会等でタスク・シフティングに関する会議を開催したり好事例を普及したりすることも重要である。これらのタスク・シフティング等勤務環境改善推進のため政府として予算を組んで補助を行うべきだと考えるが政府の見解如何。
三 二〇二〇年オリンピック・パラリンピックで多くの外国人が来日するが、昨年の入管法改正による外国人労働者増も見込まれており、外国人の医療対策を進めることが肝要である。
 1 在留・訪日外国人の医療ニーズが増えることが当然想定され、また外国人の患者や家族の病気に関する不安を解消するニーズもある。
  すでにスマートフォンにダウンロードできる専門的な翻訳ソフトがあり、中には医療関係者からみてもほぼ信頼がおけるものもあり、実際に医療現場で使われていると聞いている。また電話による医療通訳は利便性が高いが、医療機関ではまだあまり認知されていない。厚生労働省では、複数の医療機関で構成される団体を対象に、その団体と電話通訳事業者との間で一括して通訳が利用できる団体契約を結び、傘下の各医療機関が電話通訳を利用できるようにする「団体契約を通じた電話医療通訳の利用促進事業」を新規事業として今年度予算に計上していると聞いている。
  これをさらに発展させ、外国語で専門的な説明を行うことができる看護師や、高度な技術を有する医療通訳を養成・確保した上でコールセンター方式などによる電話相談を設けて、外国人患者・家族を直接対象とする電話相談を行えば患者本人の問題解決につながるだけでなく日本全体の好印象につながると考える。このような取り組みに政府からも補助を出すべきだと考えるが、政府の見解如何。
 2 外国人患者に限らないが各医療機関は患者の未収金問題に頭を痛めている。二〇一六年(平成二十八年)の「医療機関における外国人旅行者及び在留外国人受入れ体制等の実態調査」によれば、調査対象の「訪日外国人旅行者受入医療機関」のうち三十五%が前年度一年間に未収金があったと答えている。同じ調査で六十四%の医療機関が外国人患者受け入れにあたり現在負担となっていることや今後不安な点として「未収金や訴訟などのリスク」を挙げている。
  このようなリスクに対応するため、都道府県医師会などにより未収金発生に備えた損害保険の整備やセミナーの開催、手術等の説明支援、診療契約書モデルの作成などによって各医療機関のリスクヘッジを応援することは、外国人の行き来が増えるこれからの時代にふさわしい医療提供体制を作るために重要だと考える。これらのリスクヘッジを応援するために政府予算を組むべきだと考えるが、政府の見解如何。また外国人の医療にかかる未収金や高額諸費用発生時の支援のために政府として必要な額の予算を組むべきだと考えるが見解如何。
 3 政府は「二〇二五年までに民間最終消費支出のうちの四十%をキャッシュレス決済とする」という目標を立ててキャッシュレス化推進の旗を振っているが、そのために各企業等が支払う必要経費は無視できない。すでに政府は消費税増税対策として中小規模店舗などでのキャッシュレス設備に補助を出している(経済産業省「キャッシュレス・消費者還元事業」)が、医療機関も事情は同じである。医療機関のキャッシュレス化に向けたカードリーダー導入費や手数料補助、医師会等によるカード会社やシステム会社との集団契約の推進、関連セミナーの開催などキャッシュレス化の準備のために政府として予算を計上すべきだと考えるが、見解如何。

 右質問する。



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