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令和元年六月十九日提出
質問第二五六号

義務教育の音楽・美術等の芸術科目における授業時限数の減少に関する質問主意書

提出者  櫻井 周




義務教育の音楽・美術等の芸術科目における授業時限数の減少に関する質問主意書


 近年、政府は学校教育における芸術文化の振興を推進している。文部科学省のホームページにおける「二〇二〇年に向けた文化政策の戦略的展開」の「重点戦略二」における「重点的に取り組むべき主な施策」においては「子供たちのコミュニケーション能力の育成に資する文化芸術に関する体験型ワークショップをはじめ、学校における芸術教育の充実」を掲げている。
 また、文化庁においては「文化芸術による子供育成総合事業」(巡回公演事業、芸術家の派遣事業、コミュニケーション能力向上事業)が推進され、平成三十年三月六日には「文化芸術推進基本計画」が閣議決定されており、基本計画における「第二 今後の文化芸術政策の目指すべき姿」では「文化芸術の創造・発展、次世代への継承が確実に行われ、全ての人々に充実した文化芸術教育と文化芸術活動の参加機会が提供されている。」ことが目標の一つに設定されている。
 さらに、内閣府の「文化に関する世論調査」(平成二十一年十一月)によると文化芸術振興のために国に力を入れてほしい項目で「子どもたちの文化芸術体験の充実」が一番多い回答となっている。
 しかし政府の方針とは対照的に、学校現場においては芸術の教科の大幅な授業時限数の削減が行われている。実際に学習指導要領における音楽の授業時限数の変遷について見てみると、昭和二十二年度から平成二十年度までの学習指導要領の授業時限数の変遷において、小学校の音楽では昭和二十二年度には高学年になるにつれ時限数(七十〜百五)が増加していた。しかし昭和三十六年度からは一貫して時限数が七十となり、平成十四年度からは学年が上がるにつれ時限数が減り昭和二十二年度の最多時限数百五にくらべて五十と半分以下である。中学校においては昭和二十二年度から昭和二十六年度まで時限数が年間七十〜百五となっていたが、昭和三十七年度から平成五年度まで第三学年においてのみ年間三十五となり、平成十四年度以降はほぼ全ての学年において年間三十五となる。つまり現在の中学の音楽の授業の年間時限数は昭和二十年代の七十〜百五と比べ約二分の一以下である。小学校における図画工作、中学校における美術の授業においてもそれぞれ同様の授業時限数の削減がみられる。
 また先述した内容に加え、文部科学省ホームページにおける「免許外教科担任制度の在り方に関する調査研究協力者会議報告書」の「免許外教科担任許可件数・へき地指定校数・五学級以下の学校数(公立中学校)」によると全国的に免許外教科担任による指導が行われていることが明らかであり、さらに「保有免許状と免許外教科担任の担当教科表」によると音楽の免許を保有するが美術の免許を保有しない教員が美術の授業を受け持つ割合が約三十パーセントもいることがわかる。
 以上の事実を踏まえ、政府に以下質問する。

一 全ての人々に充実した文化芸術教育と文化芸術活動の参加機会が提供されるためには義務教育段階における芸術教科の授業の充実が非常に重要だと考える。さらに「学校における芸術教育の充実」には芸術分野の教科の授業(ワークショップ等特別授業を除く)における授業時限数の維持・増加が含まれるべきとも考える。政府としては義務教育における芸術分野の教科の教育(ワークショップ等特別授業を除く)の充実を検討しているのかどうか明らかにされたい。
二 もし義務教育における芸術分野の教科の教育(ワークショップ等特別授業を除く)の充実を検討しているのであれば、具体的にはどのような政策をお考えか明らかにされたい。
三 政府は芸術文化教育を推進しており、さらに世論調査においても明らかなように国民も芸術教育の充実を望んでいる。一方で、学習指導要領の改訂の度に芸術分野の教科の授業時限数が削減されている。国民意識と教育行政との乖離について政府はどのようにお考えか。
四 同じ芸術分野の教科であるが、音楽は時間芸術、美術は空間芸術でありそれぞれ専門性も高く教授には高度な知識と技能の習得が必要とされる教科であると考える。そのような教科の約三割を免許外教科担任が教えていることは極めて深刻な事態であると考える。政府の見解は如何か。

 右質問する。



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