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令和元年六月十九日提出
質問第二五八号

国際観光旅客税の使途及び特定財源のあり方に関する質問主意書

提出者  古本伸一郎




国際観光旅客税の使途及び特定財源のあり方に関する質問主意書


 国際観光旅客税は、平成三十一年一月より導入されている新税である。得られた観光財源の使途については、「国際観光旅客税の使途に関する基本方針等について(以下「基本方針」)」で明記されており、@ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備、A我が国の多様な魅力に関する情報の入手の容易化、B地域固有の文化、自然等を活用した観光資源の整備等による地域での体験滞在の満足度向上、の三つの分野が指定され、特定財源としての使途が明確になっている。
 一般的に特定財源は、受益と負担の関係が明確であることから、負担者の納得が得られやすい一方で、財政の硬直化等を招く恐れがあるとされる。かつての道路特定財源は、こうした問題から平成二十一年四月から一般財源化している。国際観光旅客税に関しても、「基本方針」で予算編成の考え方を、「観光財源を充当する具体的な施策・事業については、硬直的な予算配分とならず、……、毎年度洗い替えが行えるよう、観光戦略実行推進会議において、民間有識者の意見も踏まえつつ検討を行い、予算を編成する」としており、柔軟な運用が可能となるよう配慮がなされているものと承知している。
 以上の観点から、特定財源とその使途のあり方については、慎重な議論と継続的な見直しが必要であると考えられるが、国際観光旅客税の使途、及び特定財源のあり方について、以下質問する。

一 国際観光旅客税の「基本方針」で使途の要件とされる「ストレスフリーで快適に旅行できる環境」とは何か。
二 例えば、アフリカ豚コレラウィルスを含む肉製品の検疫体制の事例を考える。国会では、出入国の検疫体制の整備強化(ビーグル探知犬の増頭等)に国際観光旅客税を充てることについて、「基本方針等に掲げる受益と負担の関係の明確化や、検疫における混雑状況などに鑑み、三十一年度の予算の国際観光旅客税充当事業には計上していない」(衆・財務金融委員会・平成三十一年四月十日)との政府答弁があり、現段階では検疫体制強化への充当を行っていないとしている。しかし今後アフリカ豚コレラ等の脅威が更に高まれば、担当官による防疫検査強化に伴い空港の入管審査が更に混雑となり旅客に影響を与えることも考えられる。その際、ビーグル探知犬による防疫は、防疫と「ストレスフリーで快適な旅行」環境の整備の両方に極めて有効な政策であり、増頭のために本税を財源として行うことは、「基本方針」の趣旨に合致していると考えられるがどうか、尋ねる。
三 また「基本方針」の趣旨からみれば、例えば爆発物探知犬の増頭等によるテロ対策への使途拡充は「ストレスフリーで快適な旅行」環境の整備に当たるとも考えられる。新幹線等の大量輸送を目的とする公共交通機関において、諸外国に見られるように制服姿の警察等の治安当局が爆発物探知犬を帯同し巡回することは、犯罪の抑止と旅客の安心感の確保に極めて有効と考える。以上より、例えば爆発物探知犬の増頭等についてテロ対策に国際観光旅客税の財源を充てることは、趣旨に合致していると考えるが、見解を尋ねる。
四 特定財源のあり方について考える際、過去に実施された道路特定財源の一般財源化の総括を行うことは一定の意味がある。道路特定財源が一般財源化して今年度で十年の歳月が経つが、その始まりとなった平成二十二年度予算から平成三十一年度予算の十年間において、国分の道路予算と旧道路特定財源の税収との関係性は、道路予算が道路特定財源見合いの税収を上回るのか、或いは下回るのか、結果をお示し願いたい。以上の財政の結果より、一般財源化によって当時指摘された道路以外への流用は抑制できたのか、効果を尋ねる。
五 道路特定財源は一般財源化したことによって、「受益と負担」の関係性が見えにくくなったとの指摘もある。また昨年提出された与党の「平成三十一年度税制改正大綱」の「車体課税」の記述においては、「税制抜本改革法以来の累次の与党税制改正大綱において懸案事項とされてきた車体課税の見直しについては、今般の措置をもって最終的な結論とする」と明記されるに至っている。与党大綱を礎に政府大綱が作られることを踏まえて、これ以上自動車関係諸税の減税、すなわちユーザー負担の軽減は行わないとも解することができるがどうか、お尋ねする。自動車関係諸税の負担軽減が望めない場合、使途をユーザー還元に限定し、受益と負担の関係性を明確にすることも納税者の納得感という意味では一考の余地があると考えるが見解を求める。
六 二〇四十年頃には道路ストックの大半が耐用年数を迎え更新が必要となる。その頃の財政需要は現状より約一・五倍増と見込まれている。こうした老朽更新に加えITS、自動運転等のプラットフォーム整備のための「道路高度化の投資」(※)も今後益々必要となる。一方で、自動車関係諸税の基幹とも言える揮発油税の税収は二〇〇五年の約三・二兆円から二〇一八年の約二・五兆円へと、ここ数十年で約六〇〇〇億円/年の減収となっている。以上より、将来見込まれる財政需要(※)に応えるために、税制で使途を限定する方がより安定的に財源確保ができるのか、或いは一般財源を維持する方が財政の柔軟性を維持しつつ安定的な運営ができるのか。道路ストックの更新及び「道路高度化の投資」に必要となる財源の安定確保の視点より、見解を尋ねる。

 右質問する。



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