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令和元年十二月二日提出
質問第一二二号

児童虐待防止の観点からの臨床法医の養成の必要性と政府の取り組みに関する質問主意書

提出者  早稲田夕季




児童虐待防止の観点からの臨床法医の養成の必要性と政府の取り組みに関する質問主意書


 二〇一八年七月に千葉大学医学部附属病院小児科に開設された臨床法医外来は、日本初の試みであり、目黒や野田の幼児虐待死事件が大きく報道されるなか、県内各地の児童相談所からの虐待診断の依頼が急増しているとのことである。
 傷害罪などの法的対処、あるいは虐待が疑われる児童に対して一時保護継続の是非の判断等が必要となった場合、その身体の損傷が、疑われている成傷器によって本当に形成されたものなのか、形成時期はいつ頃なのか、全治はどの程度なのか、などといったことについて、実際に診察を行い、損傷を評価し、医学的根拠に基づく法医学的見地から助言を行う、いわゆる臨床法医学は、海外特に欧州諸国では、被虐待児や性的虐待を被った方々の診察、あるいは、車両事故におけるアルコール濃度や、中毒患者における薬毒物濃度の医学的評価などの現場において、確立された一つの専門分野として認識されていると聞いているが、日本においては、実務的にも学問的にも、まとまった体系をなしていない。
 そのため欧州諸国では、虐待や傷害事件の被害者については法医学研究所の臨床法医学部門に所属する医師や歯科医師が診察するのが一般的であるとのことだが、日本においては、ほとんどの児童虐待疑いの事例については小児科医が、また一般の傷害事件については外科医等が対応してきた。しかし小児科医や外科医等の臨床医は通常の診療に追われている上に、損傷についての所見記載と評価に慣れていないため、見逃しと冤罪の両方を防止する体制が整っているとはいいがたい。
 この状況を打開するためには、児童虐待の場合、臨床診断の担い手としての法医と、法医学の知識をもった小児科医や産婦人科医、放射線科医、歯科医師、薬剤師、看護師等の人材を育成し、チームとして対応していく体制が必要であると考える。
 乳幼児や児童の虐待死の痛ましい報道が後を絶たないが、本来は死に至らせないためどのようにそれを予防するかが重要であり、とりわけ児童虐待の疑いや相談に対応する児童相談所や要保護児童対策地域協議会などの現場において、臨床法医の診断に基づく意見が求められている。
 また、ただでさえ医学生からの志望が少ない法医学分野にあって、臨床法医学に進む人材を育成していくには、学部段階からの取り組みも必要と考える。
 以上の観点から、臨床法医の育成の必要性並びに政府としての今後の取り組みについて、どのように考えているか、あきらかにされたい。

 右質問する。

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