質問本文情報
令和元年十二月三日提出質問第一三七号
旧ソ連抑留死没者遺骨問題に関する質問主意書
提出者 長妻 昭
旧ソ連抑留死没者遺骨問題に関する質問主意書
今年七月以降、シベリアで収集された遺骨に日本人以外の遺骨が多数含まれていて、以前からその事実が専門家によって指摘されていながら、公表もされず、対処もされていなかったことが明らかになった。遺族や抑留体験者だけでなく多くの国民が驚き、失望し、事態を深く憂慮しているところである。
以下質問する。
一 誤って日本に持ち込んだままになっている日本人以外の遺骨はどのように返還し、ロシア側関係者に謝罪し、必要な措置を講じるのか。
二 遺骨収集の関係者からは、取り違いした日本人ではない遺骨の焼却を防ぎ、鑑定用により多くの検体を確保するためにも、現地での火葬の中止を求める意見が多いが、火葬を続ける理由は何か。
三 現地で鑑定人として参加しているロシア側専門家は、その場で遺骨の人種を区別できる能力をどの程度有しているのか。例えば、同じモンゴロイド系の原住民や朝鮮人・中国人が含まれていても識別できるのか。
四 ロシア側もDNA鑑定技術は有していると思われるが、ロシア現地でDNA鑑定を実施したことはないのか。極東・シベリア地域のロシア側施設でDNA鑑定の能力を有している機関はどこか。
五 日本側のDNA鑑定は、民間や大学などに委託しているため、大変時間がかかることが指摘されている。委託先は何カ所あり、どの程度の時間を要するものか。現在鑑定待ちの検体は旧ソ連関係と南方からのものとで、それぞれ何人分くらいあるか。
六 遺骨調査・収集の際の器材、人材が不足していることが指摘されている。厚生労働省だけに任せておくのではなく、官邸に司令塔を設けて、防衛省・外務省や民間の識者らも加えて国を挙げた取り組みが必要と考える。事業への国民の信頼を裏切ってしまった以上、長期的な事業計画策定と執行体制の抜本的な変革が不可欠と思われるが、いかがか。
七 従来のように日本側が中心で、ロシア側作業員や運転手を雇用して遺骨収集を行うのでなく、抑留国のロシア側にも主体的な参加を求め、人材、器材、輸送手段などもロシア側が分担して参加する共同事業に改めるべきであると考えるが、いかがか。
八 旧ソ連の一部だったウズベキスタンやカザフスタンは宗教上の理由で、火葬も海外への持ち出しも禁止され、現地の墓地に埋葬されている。遺族には分骨してでも遺骨の返還を求める声が強い。両国政府とは遺骨収集・返還に関する協議は行ってきているのか。今後、一部でも返還の可能性はないのか。
右質問する。