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令和元年十二月四日提出
質問第一八六号

HPVワクチンの積極的勧奨の再開に関する質問主意書

提出者  阿部知子




HPVワクチンの積極的勧奨の再開に関する質問主意書


 二〇一三年四月一日にヒブ、肺炎球菌ワクチンと共に定期接種となった子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)は、定期接種開始後三か月にも満たない同年六月十四日に積極的勧奨が中止され現在に至っている。
 接種再開に向けた推進議連発足の報道もあり、自治体のなかには独自に接種を勧める動きもでてきていることを踏まえ、HPVワクチンの積極的勧奨の再開に関して以下質問する。

一 接種勧奨中止の理由とその後の議論の経緯について
 二〇一三年六月十四日の副反応検討部会における積極的勧奨中止の経緯について、厚労省のどのような記録に基づき、どのような経緯から中止を決定したのか、また中止解除の要件は議論されたのか。されたとしたらどのようなものか。
二 副反応報告について
 二〇一九年十一月二十二日に開催された副反応検討部会(第四十四回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和元年度第十回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)、以下副反応検討部会)での副反応報告において、「HPVワクチン接種後の失神関連副反応疑いについて」にあるように、メーカーからの詳細な報告は失神関連のものに限定されている。
 医療機関からの報告で、GSK社のサーバリクスについては、販売開始からの接種のべ人数(回数)はサーバリクスが七百万九千九百七十人、医療機関からの重篤報告数は五百四十九人となっている。令和元年五月一日から八月三十一日までの接種のべ回数は千七百一人。重篤報告例九名のうち八名は二〇一一年から二〇一二年に接種されたものだが、二〇一三年四月三十日(定期接種化された月)に接種されたものもあった。症状は頭痛、傾眠、倦怠感、光線過敏性反応、記憶障害、過眠症、注意力障害、学習障害、疼痛、月経障害、月経困難症、抑うつ症状、下痢、便秘、体位性めまい、過換気、多汗症、精神障害、悪心、胸痛、腹痛、疲労、関節痛、四肢痛、歩行障害、視力、不安障害、聴覚障害、睡眠障害、運動障害、そう痒症、筋力低下、自己免疫性脳症などがあげられている。
 また、MSD社のガーダシルについては、これまでの接種のべ回数の百九十九万二千八百九十五人中、百九十三人の重篤例があるとされているが、二〇一九年五月一日から八月三十一日まででは一万四千四百七十九人接種されており、重篤報告例の五例のうち、三例は二〇一一年から二〇一二年の間の接種のものだが、二〇一九年七月二十四日接種の例と接種日不明の報告例があった。
 両社におけるこうした自己免疫疾患の症状について、ワクチン接種との因果関係について厚労省はどのような分析、臨床並びに疫学研究をしているか。また日本だけでなく海外でも同様の症状が報告されていることについて把握しているか。この二点について明確に答弁されたい。
三 接種再開を進める理由として、日本では若い世代の子宮頸がんの発症が増加しており、仮にワクチンで予防できるとの前提に立った場合には多くの患者を救えるとの主張がされている。与党内の推進議連の代表は「子宮頸がんに年間一万人が罹患し、亡くなる方も二千九百人に達していることも事実。」と発言した。子宮頸がんの患者数が一九八五年から二〇一四年までに大きく変化し、二十〜四十歳代の若い世代に急増しているとの報道がされているが、@この二十年の子宮頸がんの罹患者数、A予後等も含めた重症化事例数、B罹患者の年齢層の分布について把握していれば、正確な数字を示されたい。
四 二〇〇〇年ごろから、子宮頸がんの統計に、「上皮内がん」を加えたことで高度異形成を伴う頻度の上昇を見ているが、従来の子宮頸がんの発症は著増ではないと考えるがどうか。
五 高度異形成からがん化のプロセスはいまだ論議、検証のあるところと聞くが如何。
六 副反応患者の実数について
 HPVワクチン被害訴訟では、二〇一六年の一斉提訴以来二〇一九年七月十九日の第三次提訴まで、百三十二人の原告がいる。うち東京地裁管轄の六十一名のうち五人は副反応疑い報告書に記載すらなされていないが、これはなぜか。
七 与党内の推進議連では「副反応が出る可能性があっても公益との比較の問題でもある。反対論者を切り捨てるのではなくて、そういう不具合が出た人は二回目はやめるとか、遺伝子的に影響があるのかなど、研究を進めたらいい」との発言がされたと聞く。本ワクチンについては三回接種をしなければ効果がないとする知見を否定するものだが、この発言についての見解を示されたい。
八 HPVワクチンについて、厚生労働省は、都道府県に対し、接種の積極的勧奨の一時中止を勧告しており、市町村長は、接種の積極的勧奨をしてはならないこととされている(平成二十五年六月十四日付都道府県知事宛厚労省健康局長通知)。定期接種ワクチンでありながら、積極的推奨をしないよう勧告することは、それ自体異例の措置だが、自治体によっては独自に進めて学校などでも情報提供と称して接種を勧めるパンフレット等の配布も行われていると聞く。通知違反の自治体に対して国としてどのような指導をするのか。

 右質問する。

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