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令和二年四月三日提出
質問第一五七号

新型コロナウイルスに関するインフォデミックの現状に関する質問主意書

提出者  中谷一馬




新型コロナウイルスに関するインフォデミックの現状に関する質問主意書


 新型コロナウイルスを巡り、インターネット上には毎日のように不安を煽る情報や医学的に根拠のない対処法、信頼性を測りかねる陰謀論、政府配信とされる真偽不明な情報などが書き込まれている現状がある。
 世界保健機関(WHO)はこの状況を「インフォデミック(ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)やウェブサイト(WEB)での情報の「大流行」)」と名付け、信頼できる情報源や情報を見つけることが困難になっていると警告している。インフォデミックに関して、以下質問する。

一 まず政府は、日本におけるインフォデミックの発生状況をどのように考察されているのか、見解を伺いたい。
二 新型コロナウイルスの感染が広がる中で、政府が二〇二〇年四月一日近辺に緊急事態宣言などに踏み切るとの臆測がインターネットを中心に広がった。安倍晋三内閣総理大臣は「そんなことは全くない。デマやフェイクニュースに気を付けなければならない」と事実関係を否定したと報道されているが、そもそも何故こうした情報が流れたと考察されているのか、政府の見解を伺いたい。
三 インフォデミックが起こる状況は、根本をただせば、政府の日頃からの情報発信に大きな問題があることを示している。
 例えば中国においては、政府がきちんとした情報を公開せずに普段から情報を徹底的に管理・検閲していることが政府発信情報の信頼性を損ねている。日本においても、政府が今まで様々な事象に対して、隠蔽、改竄、捏造を繰り返してきた結果、国民が政府の情報を信頼できなくなっていることがインフォデミック発生の大きな原因の一つであると考えている。
 二〇二〇年四月二日に報じられた日本経済新聞の記事によれば、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、日本が検査(PCR検査)で後れをとっており、百万人あたりの検査数はドイツの十七分の一となっている。また英オックスフォード大学の研究者らでつくるグループが三月二十日までの各国の検査件数をまとめたところ、人口百万人あたりでは、韓国やオーストラリア、ドイツなどが多く、ドイツは二千二十三人(三月十五日時点)と日本の百十七人(三月十九日時点)を大きく上回った。安倍晋三内閣総理大臣は三月中に国内の検査能力を一日あたり八千件に高める考えを示していたが、実際の検査数は一日二千件を超えることはなく、三月二十九日時点で合計五万四千件である。一方、ドイツは三月十五日時点で十六万七千件に達している。
 このように、内閣総理大臣や政府が発信する力強い言葉と実態が乖離している不透明な現状に国民は不安となっている。新型コロナウイルスの対応について、結果として初動が遅く、その後の対応も後手に回り、場当たり的であったことが、残念ながら国民の不安に拍車をかけ、インフォデミックが発生する土壌が醸成されているのだと考える。
 今、政府が行わなければならないことは、保身のために情報を誇張したり、矮小化したりすることではなく、専門機関や専門家からの信頼できる情報源からリスクのある人々にリアルタイムで情報が流れるように仕組みを整えることである。こうした観点から、新型コロナウイルス感染状況の実態を正確につかみ、きちんとした対応策を打ち出すには、検査の拡充と結果の公表、並びに症状の軽重に応じた医療体制の構築や正しい情報の発信を行うことが急務であると考えるが如何か。政府の見解を伺いたい。
四 政府は「新型コロナウイルス政府お役立ち情報」サイトを立ち上げたが、国民が必要とする情報がまだまだ足りていない。
 その一方で、台湾ではオードリー・タンデジタル担当大臣のリーダーシップで、マスク不足の混乱を回避するために在庫マップを公開し、国民が安心してマスクを確保している現状が世界的に話題になった。
 日本においても日用品や食料品などが不足するとの情報が広がっており、多くの国民が日用品等の入手が困難になるのではないかとの疑念を持っているので、流通状況データを、客観的に可視化し、情報発信する仕組みを実装することが必要であると考えるが如何か。政府の見解を伺いたい。
五 Google、Facebook、Twitter、YouTubeなどは、WHOやCDC(米疾病対策センター)と協力し、新型コロナウイルスに関する情報において、「漂白剤を飲めば新型コロナウイルスによる肺炎の治療になる。」といった明らかなフェイク情報などを上位に表示しないように設定したり、削除したりしているとのことだが、日本政府においても、各種メディアやSNS運営会社とこうしたコミュニケーションを取っているのか。取っているとすればどのような対策が講じられているのか。
六 人々が新型コロナウイルスのニュースに触れた際、一般的には「怖くて不安という感情による判断」と「様々な情報を集めた時に行われる知性による判断」がなされると想定するが、人々の不安が増大し、感情と知性のバランスが崩れた状況に陥った時には、専門知が軽視され、本来必要な情報が物理的にも心理的にも国民に届きにくくなる現状があると懸念する。
 MIT(マサチューセッツ工科大学)メディアラボでは、「真実のニュースよりもフェイクニュースの方が早く拡散される」という趣旨の研究を発表しており、真実ではない発言の方が恐怖感や不快感などの感情を強力に刺激する可能性がある。
 こうした状況下において、情報の受発信を行う者の心得として、真偽不明な情報が出回っているという事実認識を持ち、根拠のわからない情報をファクトチェックするといったことが求められると考える。
 欧州連合(EU)では独立したファクトチェックを行う者を支援することやメディア・情報リテラシー教育に関わる取組を進めるなど様々な対策が講じられている。日本においても専門家によるファクトチェックを行う第三者機関への支援や、メディア・情報リテラシー教育を進め、インフォデミックが発生する根本を是正するような取組を進めるべきであると考えるが如何か。政府の見解を伺いたい。

 右質問する。

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