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令和二年五月七日提出
質問第一八八号

農薬グリホサート製剤の一日摂取許容量と安全性に関する質問主意書

提出者  宮川 伸




農薬グリホサート製剤の一日摂取許容量と安全性に関する質問主意書


 日本政府は二〇一七年にグリホサートの残留濃度の基準値を大幅に緩和した。例えば、ひまわりの種子については〇・一ppmから四十ppmと四百倍も高くなった。一方で世界では、二〇一五年にWHO(世界保健機関)専門機関の国際がん研究機関IARCが、発がん性の懸念から、グリホサートをグループ二Aに分類した。また、欧州諸国等がグリホサート製剤の使用を控える方向で動き始めていた。日本でもグリホサート製剤の安全性について懸念の声が上がっている。
 安定した食料供給のために農薬を使用することは、現時点ではやむを得ない。しかし、健康や環境へ十分配慮し、必要以上の農薬の使用は控えるべきである。そして、残留濃度の基準値を緩めるのであれば、それが日本の農業や食料供給に与える影響など、それ相応の理由を国民に対して説明すべきである。
 本年二月二十五日の衆議院予算委員会第六分科会で、グリホサート製剤の安全性について特に以下の四点について議論した。
 @ 動物を用いた安全性試験ではヒトに対する安全性は十分に保障できない。
 A 医薬品の場合、動物を用いた安全性試験に基づいて設定された、健常人を用いた第一相臨床試験で、予想できなかった副作用により開発を断念するケースが三十パーセント程度ある。
 B 例えば肺がんの治療薬であるイレッサなど、ヒトでの厳しい臨床試験を実施し、販売承認された物が、その後、多数の患者に投与されることで、予想していなかった重篤な副作用が確認されることがある。
 C グリホサートの安全性試験はイヌなどの非げっ歯類を用いた慢性毒性試験まで行われているが、POEA(非イオン系界面活性剤ポリオキシエチレンアミン)などの補助剤を含むグリホサート製剤の安全性試験はマウスなどのげっ歯類を用いた急性毒性試験しか行っていない。
 これらの議論を踏まえて以下、質問する。

一 グリホサートの安全性試験で得られた一日摂取許容量(ADI)が、POEAなどの補助剤も含まれているグリホサート製剤に用いられている。POEAなどの補助剤は、そのものが毒性の高い物質であるとの指摘もある。グリホサートのADIの八割以下であれば、グリホサート製剤のヒトに対する安全性も科学的に確保されていると言えるのか。もし言えるのであればその科学的根拠を示されたい。
二 グリホサート製剤に関しては、げっ歯類の急性毒性試験しか実施していないが、これでヒトに対する安全性は科学的に確保されたと言えるのか。もし言えるのであればその科学的根拠を示されたい。
三 予算委員会第六分科会における質疑の中で浅沼政府参考人は「食品安全委員会の食品健康影響評価等の科学的な根拠に基づきまして、人の健康を損なうおそれのないよう基準値を設定していることから、安全性に問題が生じることはない」と答弁しているが、これにグリホサート製剤も含まれるのか。もし含まれるのであれば、なぜ違う成分であるのにそう言えるのか、科学的根拠を示されたい。
四 グリホサートはシキミ酸経路を抑制することで除草作用を示す。一方でヒトはシキミ酸経路を利用しないので安全性が高いと言われている。しかし、シキミ酸経路は細菌類にもある。ヒトの腸内細菌のうち、ボツリヌス菌やサルモネラ菌などの悪玉菌は耐性で生存するが、乳酸菌など善玉菌の多くで減少が報告されている。グリホサートによって腸内細菌の分布が変化し、健康に影響が出る可能性がある。グリホサートおよびグリホサート製剤は安全性試験において腸内細菌への影響を確認しているのか。確認していない場合は、なぜ確認する必要はないと考えているか。
五 グリホサートにおいても動物を用いた安全性試験しか実施していないことより、ADIはあくまでも安全性の目安であり、それ以下であれば科学的に安全であると断言できないと思うがいかがか。

 右質問する。

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