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令和二年六月四日提出
質問第二三〇号

タワーマンションの維持管理等に関する質問主意書

提出者  丸山穂高




タワーマンションの維持管理等に関する質問主意書


 民間の調査(株式会社東京カンテイ)によれば、いわゆるタワーマンション(本主意書では、二十階建て以上の分譲マンションを指すものとする。)については、特に平成十五年から平成二十一年にかけて毎年七十棟以上の大量の新規供給がなされ、令和二年の累積供給量は予定値で千三百七十一棟、三十五万九千戸にも上るとされる。一般に大規模修繕は十二年程度の周期で行うものとされていることから、現在、大量供給期のタワーマンションが一斉に最初の大規模修繕の時期を迎えているものと考えられる。適時適切な大規模修繕の実施は、マンションの良好な居住環境を維持していく上で不可欠なものであるが、タワーマンションにおいては、その費用の大きさや区分所有者間の合意形成の難しさ等の課題が指摘されており、結果として適切な維持管理がなされず、将来において、周辺地域も含めた居住環境の悪化などの深刻な問題を引き起こす事案が多数発生する懸念がある。
 以上を踏まえ、以下質問する。

一 タワーマンションの大規模修繕に要する費用の実態
 1 タワーマンションについては、外壁等の修繕のための特殊な足場が必要であること、共用部分の占める割合が高いこと等により、修繕工事費が大きい傾向にあると指摘されているが、政府として、タワーマンションの修繕工事費の実態について把握しているのか。把握しているならば、その金額についてタワーマンション以外のマンションとの比較の上で回答されたい。
 2 タワーマンションの建築が活発に行われるようになったのは、比較的最近のことであるため、エレベーター等の機械設備や配管設備等の更新を行った事例は限られており、それらに要する費用の実態については必ずしも十分な知見が蓄積されていないことが考えられる。また、一口にタワーマンションといっても、最高階数の違い等により、修繕工事費には大きなばらつきがある可能性もある。これらに鑑み、政府はタワーマンションの修繕工事費の実態把握を継続的に行うととともに、「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(国土交通省、平成二十三年四月)を適時に改訂する必要があると考えられるが、政府の見解を問う。
二 修繕積立金の積立ての現状
 1 平成三十年度において、計画上の修繕積立金の積立額に対して、積立額が不足しているマンションの割合は三十四・八%であり、さらに不足の割合が二十%超のマンションが十五・五%にも上るとされる。この状況の是正に向けた政府の取組方針を問う。
 2 「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」は、修繕積立金の積立方法について、増額時に合意形成ができない懸念がある段階増額積立方式ではなく、安定的な積み立てができる均等積立方式が望ましいとしている。しかしながら、実際には、築年数が新しいマンションほど段階増額積立方式を採用している割合が多く、平成二十二年以降に完成したマンションにおけるその割合は六十七・八%にも上る(平成三十年度)。この理由として、新規分譲時の積立方法を決定する分譲事業者が、購入予定者にマンションの維持費を極力低く見せるために、段階増額積立方式を採用しているとの指摘がある。また、購入予定者が均等積立方式を望んでいたとしても、多くの分譲事業者が段階増額積立方式を採用しているために、選択の余地が小さくなっていることも考えられる。この状況を是正するには、購入予定者への啓発のみでは不十分であり、分譲事業者に対して安定的な積み立てが可能となる方式を積極的に採用するよう要請すべきではないか。新規分譲時の修繕積立金の積立方法の是正に対するこれまでの取組及び今後の取組方針を問う。
三 計画期間二十五年以上の長期修繕計画に基づき修繕積立金の額を設定しているマンションの割合は、平成三十年度において五十三・六%である。この数値について、「住生活基本計画(全国計画)」(平成二十八年三月閣議決定)は、平成三十七年度(令和七年度)に七十%とする目標(成果指標)を掲げている。しかし、長期修繕計画に基づき修繕積立金を積み立てることは、適時適切な修繕実施の確保のための最低限の前提であり、令和七年度に七十%という目標は十分なものとは言いがたい。令和七年度に七十%という目標としたのはなぜか、回答されたい。また、この数値については可能な限り早期に百%を達成すべきものであり、強力に施策を推進する必要があると考えるが、政府の見解を問う。
四 適時適切な修繕の実施には、区分所有者間の円滑な合意形成が不可欠であるが、意識、価値観、経済力等が異なる所有者間で合意形成を図ることは容易ではない。とりわけタワーマンションにおいては、高層階と低層階の住戸に大きな価格差があることや、投資目的の区分所有者が少なくないといった特性により、一般のマンション以上に合意形成が困難であると指摘されている。これらに鑑み、タワーマンションの特性を踏まえた合意形成を促進するためのガイドライン等が必要であると考えるが、政府の見解を問う。
五 タワーマンションは、平成九年の「都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律」(平成九年法律第七九号)による規制緩和等によって、職住近接の都市構造を実現する等の観点から、政策的にその建築が後押しされてきたものである。他方で、タワーマンションは、周辺の地域社会に大きな負荷を与えることや、将来における維持管理の難しさといった様々な課題を抱えている。また、我が国は人口減少下にあり、空き家の増加が社会問題となっていることなどから、新築中心の住宅市場の在り方を見直す必要性がつとに指摘されているところである。これらに鑑み、政府は、既存のタワーマンションについては、適切な維持管理がなされるよう必要な施策を講じるとともに、その一方で、これまでの規制緩和路線を見直し、新規のタワーマンションについては、建築の抑制に舵を切るべき時期に来ているのではないかと考えるが、政府の見解を問う。

 右質問する。

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