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令和二年六月八日提出
質問第二三五号

郵政事業のユニバーサルサービス維持のための財政措置等に関する質問主意書

提出者  青山大人




郵政事業のユニバーサルサービス維持のための財政措置等に関する質問主意書


 日本全国津々浦々にある郵便局が提供するユニバーサルサービス(以下、ユニバーサルサービス)は、公益性や地域性という特質を持つにもかかわらず、それを支えるための現在の収益構造には無理があると思われる。
 ユニバーサルサービスを行うことは日本郵政株式会社(以下、日本郵政)及び日本郵便株式会社(以下、日本郵便)の責務として、郵政民営化法で定められている。
 しかし、そのコストについて国からの支援はない。株式会社かんぽ生命保険(以下、かんぽ生命)及び株式会社ゆうちょ銀行(以下、ゆうちょ銀行)が、日本郵便に支払う窓口業務委託手数料によりユニバーサルサービスは支えられている。その負担は大きく、日本郵政グループは消費税の特例措置を民営化以降求め続け、ようやく独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構の創設により、昨年度から拠出金・交付金制度が適用され、約二百三十六億円が減免されたと言われている。
 社会のIT化や電子メール等の普及で郵便ニーズは減少し、郵便事業を取り巻く環境はますます厳しい。ゆうちょ銀行及びかんぽ生命は二重の上乗せ規制が課せられ、競合他社と比較すると新規顧客獲得のための商品が作りにくい。
 このような背景のもと、収益を上げようとする焦りから、昨今のかんぽ営業の不適正募集問題が生じたとも考えられる。
 もちろん、これら三社をまとめる日本郵政は企業価値創造に取り組んでおり、不動産事業の展開、地域活性化ファンド、地域に根差したみまもりサービス等、懸命に模索に努めている。
 しかしながら、経営の相互依存構造に基づく負担は大きく、企業性と公益性は二律背反的であり、今後ユニバーサルサービスの質の低下や公益性を軽視した見直しが行われる等、国民が不利益を被りかねない。
 ユニバーサルサービスの公益性を考慮し、国の財政関与を視野にいれた施策の検討を早急に進めるべきである。
 そこで、以下質問する。

一 郵便局は二〇一九年三月末時点で全国に二万四千三百六十七拠点がある。離島、過疎地も含まれている。地域になじんでいるこれら拠点の活用は、高齢化社会において今後重要性が増すと思われ、地方自治体との包括連携協定締結等による自治体支所業務受託の成功例も生まれ始めた。また、国による郵便局活性化推進事業の実証も始まっている。
 そこで、さらに国が地方自治体に対し、郵便局と連携する取組みを使途とした補助金の交付等を検討すべきである。自治体サービスを利用するついでに郵便局の各種サービスも利用するといった客増や、郵便局のコスト面での負担軽減などにつながり、ユニバーサルサービス維持のために資する。
 このような間接的効果のある措置か、日本郵政への直接の措置かを問わず、国がユニバーサルサービス維持のための財政措置を行うことについて、政府見解をお伺いしたい。
二 現行法の下ではゆうちょ銀行及びかんぽ生命の株式が百%売却される可能性がある。すなわち、株主提案によって合理化に根差した経営判断が行われる可能性がある。
 また、これら二社における資金の運用は、郵政民営化後、国債からリスク性金融商品へと転換されてきた。ゆうちょ銀行の運用資産における外国証券の構成比率は毎年上昇し、二〇一四年度末と比べて二〇一九年度末には二倍となった。同年度末の外国証券保有額は約六十五・六兆円、外国投資信託は約四十一・九兆円にも上り、評価損益が悪化していると聞いている。
 このような事情から、日本郵政が独力のみで今後もユニバーサルサービス維持負担を担い続けるのは構造上危うい。
 政府は、ゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式売却リスクとその影響について現在はどのような認識を持っているのか、また、前述した経営の相互依存構造を含む郵政民営化スキーム全体について見直しを考えているのか、お伺いしたい。

 右質問する。

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