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令和二年十一月二十日提出
質問第二二号

温室効果ガスの排出を二〇五〇年までに実質ゼロにする方針に関する質問主意書

提出者  宮川 伸




温室効果ガスの排出を二〇五〇年までに実質ゼロにする方針に関する質問主意書


 菅義偉首相は十月の所信表明演説で、二〇五〇年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることを目指すと宣言した。こうした方針は、排出の「実質ゼロ」「ネットゼロ」もしくは「カーボンニュートラル」として大きく報じられている。その意味するところは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させるということだと理解する。
 その上で、以下質問する。

一 政府としては、排出実質ゼロという時の「吸収量」で何を意味しているのか。そもそも自然界においては、森林や海洋などが二酸化炭素を吸収している。そうした吸収をすべて含んで吸収量と考えているのか。それとも排出実質ゼロというのは、新規植林などによって人為的に増やした吸収量の範囲内に排出を抑えることを意味しているのか。
二 パリ協定は第四条で、今世紀後半に温室効果ガスの人為的な排出量と吸収量を均衡させる旨を述べている。これは人為的な排出量と新規植林のような人為的な吸収量を均衡させることを意味しているのか。締約国である日本政府としての認識を示されたい。
三 第一次安倍政権の二〇〇七年五月に安倍晋三首相(当時)は「美しい星へのいざない(クールアース五〇)」として世界全体で温室効果ガスの排出量を二〇五〇年までに半減することを提唱した。そこでは現状の排出量は自然界の吸収量の二倍超なので、半減すれば自然界の吸収量と同等レベルになるとも述べている。
 半減させると自然界の吸収量と同等レベルになるという根拠やデータの出典は何だったのかを示されたい。おそらく当時の最新の知見であったIPCC(気候変動に関する政府間パネル)第四次評価報告書などと推察されるが、具体的な数字と共に明らかにされたい。
 またこの時に言及した「自然界の吸収量」は海洋や森林を含むすべての吸収量を指しており、人為的な努力の結果かどうかは関係ないと推察されるが、その点も明らかにされたい。
四 十三年前の「美しい星へのいざない」においても排出量を自然界の吸収量と同等のレベルに抑え込む必要性が説かれている。その点では、一見すると当時も「排出実質ゼロ」をうたっていたかのようにも見える。もちろん今回の所信表明の方が大きく踏み込んでいるはずだが、「美しい星へのいざない」と今回の宣言の相違点を、排出量と吸収量という点から説明頂きたい。
五 昨年六月に閣議決定した「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」は二〇五〇年までに温室効果ガスの八十パーセント排出削減をうたっている。そのため排出実質ゼロを宣言した今となっては見直しは必至と思われる。
 現行の長期戦略には「六年程度を目安としつつ情勢を踏まえて柔軟に検討を加える」と書かれているが、六年も待つことなく見直すと理解してよいか。いつ頃から検討を開始して、いつ頃に改定する予定かも明らかにされたい。

 右質問する。

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