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令和二年十一月二十日提出
質問第二三号

国家安全保障の観点における土地利用・管理の在り方に関する質問主意書

提出者  丸山穂高




国家安全保障の観点における土地利用・管理の在り方に関する質問主意書


 外国人及び外国資本による土地取得の問題については、平成二十五年十二月十七日に閣議決定された国家安全保障戦略において、「国家安全保障の観点から国境離島、防衛施設周辺等における土地所有の状況把握に努め、土地利用等の在り方について検討する」と明記されて以降、七年になろうとしているが、政府は、いまだ具体策を提示するには至っていない。
 政府は、去る十一月九日、「国土利用の実態把握等に関する有識者会議」の初会合を開催した。年内に有識者会議の提言をまとめ、来年の通常国会で関連法案の提出を目指すとも報じられている。
 そこで、政府のこれまでの取組と課題について、以下のとおり質問する。

一 令和二年二月二十五日の衆議院予算委員会第八分科会において、山本ともひろ防衛副大臣は、「約六百五十の防衛施設について、二〇一七年度、平成二十九年度までに一巡目の調査を終えております。防衛施設周辺の継続的な状況把握の観点から、引き続き二巡目の調査を現在行っているところです。これまでの調査の結果、住所が外国に所在している、あるいは氏名から外国人と推察される方の土地が都内二十三区内において五筆確認をされています。ですが、現時点で、防衛施設周辺の土地の所有によって自衛隊の運用等に支障が起きているということは確認をされておりません」と答弁している。
 1 「約六百五十の防衛施設」周辺の土地について調査を行ったとのことだが、自衛隊施設だけでも全国に約二千四百施設あると承知している。在日米軍の施設を含めた調査か否かを含め、調査対象及び選定基準を明らかにされたい。
 2 「防衛施設周辺の土地」とは、どこまでの範囲を指すのか、その定義を明らかにされたい。また、境界線を接する土地のみを対象とした調査にとどまっているとすれば、防衛施設を中心とした一定の範囲の土地や周辺における戦略上重要な土地を調査対象にすべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
 3 土地所有の状況把握は、不動産登記簿の登記名義人を確認することにより行っているものと推察されるが、権利者の国籍は登記事項ではない。また、実際の資本関係を確認することも困難と思われるが、外国人及び外国資本であるか否かの確認方法を含め、調査方法を明らかにされたい。
 4 前記の答弁中、「住所が外国に所在している」とは、登記簿上の住所が海外であるものを指すにすぎないのか、また、「氏名から外国人と推察される方」とは、登記簿上の氏名の表記の仕方(中国人などを除き外国人の氏名はカタカナによって表記される。)を基に推察したにすぎないのか、判断方法を含めて明らかにされたい。また、五筆の土地の地目及び地積を明らかにされたい。
 5 現在、二巡目の調査を行っているとのことだが、一巡目の調査よりも詳細な調査を実施しているのか、調査予定期間と併せて説明をされたい。なお、一巡目と調査対象や調査方法等が異なるのであれば、調査対象及びその選定基準、対象施設周辺の土地の範囲及び調査方法の相違点等について、詳細に説明されたい。また、調査の進捗状況及び現時点までに把握できた土地の所有状況を明らかにされたい。
二 本年十一月八日の産経新聞において、「安保重要地 買収八十カ所 政府調査 中国資本、離島など」との見出しで、「中国系資本が何らかの形で関与した疑いがある安全保障上重要な土地の買収件数が全国で約八十カ所に上るとの調査を政府関係機関がまとめていた」と報道されているが、報道にあるような調査を実施した事実はあるのか、明らかにされたい。また、調査を実施したのであれば、調査結果を示されたい。
三 平成三十一年三月二十二日の参議院予算委員会において、宮腰光寛国務大臣は、「内閣府においては、不動産登記簿の収集と併せて、収集した不動産登記簿について、所有者の住所、氏名、登記の年月日等の登記情報の確認作業を行っている」、「これまでに、無人国境離島三十九島、有人国境離島五十九島の領海基線の近傍の土地を対象に不動産登記簿の確認を行っておりますが、現時点では、外国に所在する者が国境離島の領海基線の近傍の土地を所有している事例は確認をしておりません」と答弁している。
 1 「領海基線の近傍の土地」とは、どのような範囲をいうのか、調査対象及び選定基準を明らかにされたい。また、領海等の外縁を根拠付ける基線は、私有地がある九十八の国境離島に何か所存在し、そのうち何か所の土地を調査したのか、調査対象及び選定基準を明らかにされたい。また、「領海基線の近傍の土地」の調査は、領海の保全や海洋権益の確保を目的としたものと思われるが、更に私有地全体に調査を拡大することについて、政府の見解を示されたい。
 2 前記の答弁中、「外国に所在する者」とは、登記簿上の住所が海外であるものを指すにすぎないのか、また、氏名から外国人と推察される者は確認されていないという理解でよいのか否かを含め、外国人及び外国資本であるか否かの確認及び判断の方法について説明をされたい。
 3 前記の答弁では、「現時点では、外国に所在する者が国境離島の領海基線の近傍の土地を所有している事例は確認をしておりません」とのことだが、その後の確認作業の進捗状況及び現時点までに把握できた土地の所有状況について、明らかにされたい。
四 国家安全保障の観点から重要な土地としては、国境離島や防衛施設周辺等のみならず、空港、港湾及び原子力発電施設の周辺地なども考えられるが、関係各府省庁において、土地所有の状況把握を実施しているのか、事実関係を明らかにされたい。また、実施していない場合には、その理由を示されたい。
五 国境離島や防衛施設周辺の土地の所有状況の把握は、不動産登記簿の確認により行っているものと理解しているが、不動産登記制度は、権利者の追跡や把握を目的とするものではなく、また、権利の変動が生じた場合でも、その登記が申請されない限り、新たな権利者を把握することは不可能であり、所有者不明土地等への対応も大きな課題になっていると承知している。不動産登記簿に基づく調査では、外国人及び外国資本による土地取得の実態を把握するのは困難と考えるが、これまでの調査の実情を踏まえて、政府の認識を示されたい。
六 土地の所有や管理等に関しては、不動産登記法、外国為替及び外国貿易法、国土利用計画法、森林法などに基づく担当行政庁への届出や申請の情報があるが、各法令で定める目的以外に当該情報を用いるためには、法令上の根拠が必要となる。外国人及び外国資本による土地取得の実態を把握する上では、所有者不明土地問題の解決を急ぐのと並行して、調査主体を定めて法的権限を付与し、各行政庁から情報提供を得られるようにするなど、新たな法整備も検討すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

 右質問する。

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