衆議院

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令和二年十一月二十日提出
質問第二四号

二〇五〇年カーボンニュートラルに関する質問主意書

提出者  丸山穂高




二〇五〇年カーボンニュートラルに関する質問主意書


 菅義偉首相は、令和二年十月二十六日の衆議院本会議において、二〇五〇年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち二〇五〇年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すと宣言した。二〇五〇年カーボンニュートラルは、我が国が宣言するまでに既に百二十を超える国と地域が合意しており、気候変動枠組条約第二十一回締約国会議において採択されたパリ協定に沿って、各国・地域ではカーボンニュートラルの達成に向けた法案の可決、及び実施計画のとりまとめが進められている。
 上記を踏まえ、以下質問する。

一 政府は年率一・七%の経済成長と徹底した省エネルギー(以下、「省エネ」という。)の推進により、二〇三〇年度の国内のエネルギー需要を原油換算で三・二六億キロリットル程度と見込んでいる。二〇五〇年カーボンニュートラルを達成するには、二〇五〇年度のエネルギー需要を原油換算でどの程度にする必要があるか、詳細を伺いたい。
二 二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けた財源について
 1 令和二年十一月六日の成長戦略会議において、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けたグリーン成長戦略に関する論点が示された。グリーン投資をサポートする税制が論点に挙げられているが、減税を行うのであればその財源はどのように確保するのか、詳細を伺いたい。
 2 日本は本格的な炭素税が導入されている諸外国と比較し、脱炭素社会に向けた課税について低い水準にあると報道されている。中央環境審議会において炭素税に関する審議が行われているが、いつまでに地球温暖化対策税を抜本的に見直し欧州並みの本格的な炭素税を導入すれば二〇五〇年のカーボンニュートラルを達成できるか。または、欧州並みの本格的な炭素税を導入せずに二〇五〇年カーボンニュートラルを達成できると見込んでいるのか、政府の見解を問う。
三 建築物の省エネ等の推進について
 1 現在、地球温暖化対策計画等に基づく二〇三〇年度の中期目標等の達成に向け、新築の建築物及び住宅に係る最終エネルギー消費の削減量は、石油換算で約六百五十万キロリットル、省エネによる削減量全体の十二・八%とされている。二〇五〇年カーボンニュートラルが目標となれば、この二〇三〇年度の削減目標は変わりうるか、詳細を伺いたい。また、新築の建築物及び住宅に係る最終エネルギー消費の削減量について、現状のままでは二〇五〇年カーボンニュートラルの達成は困難と考えるが、達成に必要となる削減量はどれほどと試算されているか、政府の見解を問う。
 2 政府は家庭部門及び業務部門の省エネ対策として住宅及び建築物の省エネ化を掲げている。住宅及び建築物の省エネの取組の一つとして、エネルギーの使用の合理化等に関する法律(以下、「省エネ法」という。)に基づく建材トップランナー制度(サッシ、ガラス及び断熱材)を活用するとしている。しかしながら、現行の断熱基準値が海外と比較して緩いままである。建材トップランナー制度の目標性能は、先行する諸外国で流通する建材の断熱性能を参考とし、少なくともそれを上回る水準に設定するのが適切ではないか、政府の見解を問う。
  また、現在の建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律に基づく省エネ基準のままで二〇五〇年カーボンニュートラルを達成できるのか、政府の見解を問う。
 3 建築物の省エネ基準は一部強化されてきたものの、住宅の断熱性及び日射遮蔽性の省エネ基準は平成十一年基準と同等のままとなっているなど、他国の省エネ基準の強化の流れに追いついていない。現在の省エネ基準によって着工される家庭部門及び業務部門の建築物は、その平均使用年数を考慮すると二〇五〇年時点でも使用され、温室効果ガスの排出が長期的に続くことになる。現在の低い省エネ基準は、二〇五〇年カーボンニュートラル達成の阻害要因となることから、早期に強化する必要があると考えるが、政府の見解を問う。
 4 住宅及び三百平方メートル以下の小規模建築物に関して、省エネ基準の適合は努力義務とされている。この点について、平成三十一年一月三十一日の社会資本整備審議会の答申において、適合義務制度の対象とした場合、市場の混乱を引き起こす懸念がある等の指摘がなされている。しかしながら、先行する諸外国では規模等にかかわらず省エネ基準の適合義務が徹底され、規制基準に沿った建材が多く流通していると聞く。これを踏まえれば、我が国においても適合義務化により建材費用の低廉化及び省エネ技術の習熟にも資すると考える。建築物の省エネ基準の適合義務対象の拡大がないままで、二〇五〇年カーボンニュートラルを達成できるのか、政府の見解を問う。
 5 これまでも省エネ性能に優れた住宅の整備を支援する補助が行われてきたが、省エネ基準を満たす住宅ストックの割合は平成三十年度において十一%にとどまる。現状の補助制度のままで、「住生活基本計画(全国計画)」(平成二十八年三月十八日閣議決定)に掲げられた令和七年度の目標である省エネ基準を満たす住宅ストックの割合二十%は達成可能か、政府の見解を問う。
 6 「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」(令和元年六月十一日閣議決定)等において、新築の住宅・建築物について、二〇三〇年度までにZEB及びZEHを実現するとある。その推進のため省エネ対策への支援強化が挙げられているが、現状の補助制度及び税負担軽減措置のままで、二〇三〇年度の目標の実現は可能か、政府の見解を問う。
 7 EU(欧州連合)では、一定の期間を通じて最小費用を導くエネルギー性能水準を意味する費用最適水準という概念を導入している。この費用最適水準とは、省エネ性能追及に伴うコスト増を含む建築物の建築費用等、解体費用及び温室効果ガス排出がもたらす環境負荷に係る費用に、省エネ性能を反映した維持管理費を加えて算出した包括的費用を最適化するものである。EU加盟各国は、新規及び既存の建築物のエネルギー性能の最小要件(いわゆる最低限の基準)について、この費用最適水準を踏まえて設定し、エネルギー消費量を減らすこととしている。日本にはこのような費用最適水準に相当する基準は存在するか。また、この費用対効果を最大化させる費用最適水準の考え方を参考に用いれば、早期に建築物に関する省エネ基準を見直せると考えるが、政府の見解を問う。
四 政府は「未来投資戦略二〇一八」(平成三十年六月十五日閣議決定)において、二〇三〇年までに次世代自動車の新車販売に占める割合を五から七割にすると定めている。一方、先行する諸外国では、カーボンニュートラルの達成に向け、目標年次を定めガソリン車及びディーゼル車等の温室効果ガス排出自動車の販売を禁止する。我が国は現在の次世代自動車に係る目標のままで、二〇五〇年カーボンニュートラルは達成できるか、政府の見解を問う。
 また、次世代自動車における内燃機関を利用する車両の扱いを見直すことにより、温室効果ガスの排出を大きく抑制できるとともに、自動車関連産業の構造改革及び競争力強化につながると考える。諸外国の事例を踏まえた次世代自動車の区分及び普及目標値の再検討について、政府の見解を問う。

 右質問する。

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