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令和二年十二月一日提出
質問第八三号

「生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律案」の成立後の施策に関する質問主意書

提出者  阿部知子




「生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律案」の成立後の施策に関する質問主意書


 一九七〇年に成立した心身障害者対策基本法は、第一条に「心身障害者の発生の予防」が記載され、これが自治体レベルでの「不幸な子どもが生まれない県民運動」を後押しすることにつながった。「障害=不幸」と決めつけることにより、政府が長期間にわたって障害者は不要な存在とする優生思想の土壌を作ってきたことは否定できない。
 以下、関連して質問する。

一 これまでの障害者施策について
 (1) 二〇一〇年に出された障害者制度改革推進会議の意見書を踏まえた、二〇一一年の法改正により「障害の発生予防」が「障害の原因となる疾病の予防」という表現に変更されたが、それまで行政主導で推進してきた一連の障害者排除の取り組みについて、政府はどのような検証を行ったのか。
 (2) 「心身ともに健やかに生まれ」という文言は、障害を持って生まれる子どもの生存を否定しかねない内容であり、旧優生保護法の目的である「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止する」に通底するものである。政府はこれまでの優生政策を繰り返さないためにどのような施策を行ってきたのか。
 (3) 「生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律案」(以下当該法案という)第三条第四項は、「生殖補助医療により生まれる子については、心身ともに健やかに生まれ、かつ、育つことができるよう必要な配慮がなされるものとする」と規定されているが、この配慮について、政府は何を想定しているのか。
二 「生まれる子」の権利能力について
 (1) 一九七〇年四月二日の参議院予算委員会において、憲法第十三条の基本的人権の及ぶ範囲について「これから生まれ出る命として存在致しまする(ママ)胎児にもこれが及ぶか」という質問に対し、内閣法制局の見解は「胎児は法律的には母体の一部」であり、「憲法が胎児を権利の主体として保障しているとみるわけにはまいらない」、したがって「権利の持ち主として、基本的人権の享有者として取り扱うというものではない」と答弁している。
  現在もこの見解は変わらないか。
 (2) 当該法案第三条第四項の、胎児に「必要な配慮」を法で定めることは、胎児の人権を認め、生命として扱うことになるのではないか。人工妊娠中絶との整合性をどのように考えるのか。
 (3) 当該法案第三条第四項、「生まれる子」の定義を、政府としてどのようなものとして考えているか。また、日本の法体系において当該法案以外に「生まれる子」という文言を使用している法律はあるか。
 (4) 当該法案第三条第四項は、「生まれる子」を「必要な配慮」の対象として人格化し、利益あるいは不利益の対象として想定しており、この場合はまさに権利能力の対象とされているのである。そうであれば一九七〇年の内閣法制局答弁とは矛盾するのではないか。見解を示されたい。

 右質問する。

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