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令和三年二月十五日提出
質問第四七号

HPVワクチンに関する情報提供リーフレットの内容と「個別送付」の妥当性に関する質問主意書

提出者  阿部知子




HPVワクチンに関する情報提供リーフレットの内容と「個別送付」の妥当性に関する質問主意書


 新型コロナウイルスワクチンをめぐって、ワクチンに関する正確な情報提供の徹底が求められている。厚生労働省は昨年十月九日付で、各自治体に対し、HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンの新リーフレットを定期接種の対象者に個別送付することを求めていたが、令和三年一月二十六日付で再依頼書を発出し、更なる徹底を図っているとのことである。
 このことに関して以下質問する。

一 平成二十五年六月十四日、厚生労働省健康局長発出の「ヒトパピローマウイルス感染症の定期接種の対応について(勧告)」において、「ワクチンとの因果関係を否定できない持続的な疼痛がヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン接種後に特異的に見られたことから、同副反応の発生頻度等がより明らかになり、国民に適切な情報提供ができるまでの間、定期接種を積極的に勧奨すべきではないとされたところである」とされた。しかるに今日、再通知を発出してまで「情報提供」としてリーレットを個別送付するということは、この内容が「国民に対して適切」な情報であるとの認識でよいか。さらに言えば、積極的勧奨再開に向けた一歩と捉えてよいのか。
二 HPVワクチンは、定期接種ワクチンでありながら、副反応のために接種の積極的勧奨を中止するという「異例」の行政措置がとられているが、この最も重要な情報が新リーフレットには記載されていない。さらに厚生労働省はホームページの「ヒトパピローマウイルス感染症〜子宮頸がん(子宮けいがん)とHPVワクチン〜」からも積極的勧奨中止に関する情報を削除している。それぞれ理由を示されたい。
三 リーフレットでは、HPVワクチンのリスクとして、「まれに重い症状」が起こる旨記載されているが、報告されているHPVワクチンの副反応症状は、多様な症状が一人の人に重層的に表れるという特徴がある。しかし、概要版リーフレットでは、これらの症状のうち「広い範囲の痛みや、手足の動かしにくさ、不随意運動」というごく一部しか紹介されておらず、また重層的に出現することも記載されていないため、実際に被害者に現れる症状とその深刻さが伝わらず、気づきが遅れると考えられるがどうか。
四 例えば学習障害、記憶障害は、概要版リーフレットには全く触れられておらず、詳細版リーフレットには「痛みやしびれ、動かしにくさ、不随意運動について」という囲みの中に「機能性身体症状」として一括りにされ、わかりにくくなっている。しかし、学習障害・記憶障害は、二〇一八年二月現在、全国百二十四名の原告のうち百二名が経験をし、このうち七十名は現在も苦しんでいるという、日常生活に重大な支障をもたらす症状の一つである。PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)の医薬品副作用被害救済制度でも「接種との因果関係が否定できない」として医療費や医療手当を給付された二百四十六件中、五十四%の百三十四件で認知機能低下が認定されている。
 学習障害・記憶障害について、本人や保護者向けのリーフレットに正しく記載しない理由は何か。
五 リーフレットではHPVワクチンの副反応疑い報告数や救済制度での認定数について触れられているが、他のワクチンとの比較について記載がない。HPVワクチンの発売開始(二〇〇九年十二月)から現在までにPMDAの医薬品副作用被害救済制度における障害・死亡の認定頻度は、被接種者百万人当たり何人か。
六 主な定期接種ワクチン(ポリオ、DT・DPT(二種混合ワクチン・三種混合ワクチン)、DPT・IPV(四種混合ワクチン)、日本脳炎、麻しん、風しん、結核、小児肺炎球菌感染症、Hib感染症、水痘)の障害・死亡認定頻度は、二〇〇九年十二月以降現在まで、百万人当たり何人か。
七 医療従事者向けのリーフレットには、接種から一か月以上経過してから発症した症状は因果関係を疑う根拠に乏しいと記載されている。しかし、接種から一か月以上たってから重篤な副反応を発症する場合があり、このことは多くの研究論文においても指摘されているところである。「根拠に乏しい」とする根拠を示されたい。
八 前項のような不適切な記載がなされることによって、本来HPVワクチンの副反応が疑われる症例について適切な診断や副反応疑い報告がなされなかったり、従来もみられた副反応症状を訴える者を詐病扱いする医師が増えたりする可能性が懸念されることについてどのように認識しているのか。
九 概要版リーフレットには、HPVワクチンの効果として、「がんになる手前の状態(前がん病変)が実際に減ることが分かっていて、がんそのものを予防する効果を実証する研究も進められています。」とあるが、現在まで、がんそのものを予防する効果は確認されていない。まず説明されるべきはこの科学的事実である。確認されているのは、粘膜の異形成を阻止する効果のみであるから、この表現は不適切であり誤認を誘導するものである。この場合は「がんそのものを予防する効果は確認されていないので、実証する研究が進められている」とするべきではないか。
十 臨床試験で前がん病変を予防する効果が確認されている期間が最長九年とされているが、有効性の限界について明記すべきではないか。
十一 予防接種の実施主体は市町村である。わざわざ国が、「個別送付による情報提供の実施状況に係る調査を実施予定であることを申し添えます」とまで述べ、再依頼をすることは地方自治への過度の介入ではないか。いわば情報提供を装った実質的な積極的勧奨通知であり、躊躇する自治体があることは当然である。
 新リーフレットを見直し、その個別送付の依頼を撤回すべきと考えるがどうか。

 右質問する。

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