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令和三年四月二十三日提出
質問第一一〇号

森林・林業の現状に関する質問主意書

提出者  丸山穂高




森林・林業の現状に関する質問主意書


 現在の我が国の森林は、戦後造成された人工林の半数が一般的な主伐期である五十年生を超え、本格的な利用期を迎えていることから、政府は、平成二十八年五月に閣議決定した森林・林業基本計画において、森林及び林業に関する施策についての基本的な方針として「資源の循環利用による林業の成長産業化」を掲げ、林産物の供給及び利用に関する目標等を設定し、各般の施策を推進してきたところである。
 この間、国産材の供給量自体は、目標設定の前提であった平成二十六年の二千三百六十四万七千m3から、令和元年には主伐材を中心に三千九十八万八千m3へと増加している一方で、主伐後の再造林は進んでおらず、主伐面積に対して、人工造林面積は三十五%程度で推移している。
 長引く木材価格の低迷等によって、森林所有者の経営意欲は低下しており、持続的な森林整備よりも短期的な利益確保が優先され、再造林を伴わない皆伐、無届伐採、無断伐採等による森林の荒廃が懸念されている。森林の荒廃は、近年頻発する山地災害等の一因となっているとの指摘もある。
 右を踏まえ、以下質問する。

一 現行の森林環境保全直接支援事業は、一施行地当たり〇・一ha以上の森林整備が対象となるものの、原則として、間伐及び更新伐については面積五ha以上かつ十m3/ha以上の伐採木の搬出を要件としている。二〇一五年農林業センサスによれば、林家の約七十四%が保有山林面積五ha未満となっており、多くの林家は、補助金の交付を受けて間伐を実施しようとした場合、様々な立場の林家と合意形成して共同による申請を行うか、当該施行地の全てにおいて間伐を実施し、かつ十m3/ha以上の伐採木を搬出するといった追加の要件を満たさなければならない。
 経営意欲の低下が指摘されている中、このような要件を設定した理由は何か、また、この五haの面積要件は、政策目的に適う基準となっているか、政府の見解を問う。
二 令和二年度のナラ枯れ被害量(被害材積)は令和元年の三倍強となる約十八・五万m3となっている。また、令和元年には被害が発生していなかった県を含め、四十二都府県で被害が発生するなど、その規模が急激に拡大している。
 今般の被害拡大の要因についてどのように分析しているのか、また、現在の取組に加え、今後、どのような対策を講じていくのか、政府の見解を問う。
三 森林法においては、森林所有者等に伐採及び伐採後の造林の届出書の提出等が義務付けられている。
 1 森林所有者等の伐採及び伐採後の造林の届出書の提出義務について、平成二十三年の同法の改正により、違反した場合の罰金刑の上限が引き上げられたが、この改正の施行後、実際に罰則が適用された事例はあるか、ある場合は、その件数及び主な事例の詳細について回答されたい。
 2 同改正により、1の届出書を提出しないで行われる伐採(無届伐採)について、伐採の中止や伐採後の造林を命じる規定が新設され、違反した場合の罰則が措置されたが、実際に命令が発出された事例や罰則が適用された事例はあるか、ある場合は、それらの件数及び主な事例の詳細について回答されたい。
 3 平成二十八年の同法の改正により、森林所有者等に伐採及び伐採後の造林に係る森林の状況に関する報告が義務付けられ、違反した場合の罰則が措置されたが、実際に罰則が適用された事例はあるか、ある場合は、その件数及び主な事例の詳細について回答されたい。
 4 1から3における届出書や報告の提出先は、いずれも市町村の長とされているが、市町村の林務担当職員数が減少傾向にある。市町村や都道府県が、森林・林業に関して知識や経験を有する者を雇用する、あるいはそういった技術者が所属する法人等に事務を委託することを通じて、市町村の森林・林業行政の体制支援を図る制度として地域林政アドバイザー制度がある。この制度を利用し経験を有する者を雇用した数は増加したか。また、技術者が所属する法人等に事務を委託した事例は増加したか。制度施行の平成二十九年度以降の雇用人数及び委託件数について各年度ごとの数字を回答されたい。
 5 届出書の偽造等により森林所有者に無断で伐採が行われる事案(無断伐採)については、林野庁において調査が行われており、平成三十一年一月から令和元年十二月にかけ、市町村や都道府県に情報や相談等があった件数は九十五件、うち警察への相談件数は三十二件となっている。この他にも、市町村や都道府県への情報提供や相談が行われていない潜在的な事案があるとも考えられるが、国が主体となって更なる具体的な状況を調査する必要はないか、政府の見解を問う。
 6 無届伐採や無断伐採が行われた後、再造林等の適切な森林整備が行われていない件数及び面積について、林野庁は調査を行っているか、行っている場合は、結果についても回答されたい。

 右質問する。

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