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令和三年六月十一日提出
質問第一九四号

東京オリンピック・パラリンピック競技大会の実施及び中止の費用試算に関する第三回質問主意書

提出者  松原 仁




東京オリンピック・パラリンピック競技大会の実施及び中止の費用試算に関する第三回質問主意書


 本職が令和三年五月七日に提出した「東京オリンピック・パラリンピック競技大会の実施及び中止の費用試算に関する再質問主意書」に対する、令和三年五月十八日「衆議院議員松原仁君提出東京オリンピック・パラリンピック競技大会の実施及び中止の費用試算に関する再質問に対する答弁書」(内閣衆質二〇四第一二五号)は、主権者国民に対する情報開示に後ろ向きであり、国民代表の国会からの質問に対する真摯な態度に欠けると認められ、納得のいくものとはいえない。
 そこで、次のとおり三度、質問する。

一 本職は、これまで拉致問題の解決を含めて日本国民の生命と身体の安全を最優先に考えてきた。東京オリンピック・パラリンピック競技大会についても、同大会での金メダル獲得を目指して、日夜想像を絶する鍛錬を行い続けているアスリートのためにも、できる限り開催を目指すべきとの思いに変わりはない。しかしながら、新型コロナウイルス感染症及びそれに対する国内のワクチン接種状況を考慮すれば、現状では、日本国民の生命と身体に重大な影響がなく同競技大会が実施できるか、不安を払拭できない状況にあると考えざるを得ない。丸川珠代東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当大臣が、令和三年五月二十五日の記者会見で、「感染拡大防止に全力を尽くし、安心して大会を迎えられると思ってもらうことが重要だ」と発言しているように、人々が安心して参加できることが同競技大会実施の前提となるはずである。この点、新型コロナウイルス感染症パンデミックが解消されない現状は、危機管理上、残念ながら、最悪の想定を行わなければならない状況にある。また、「国が負担義務を負う費用の個別予算及び予算総額を精査すること」と、「同競技大会開催に向けた準備が進められている」ことは両立することである。
 この点、令和三年五月十八日「衆議院議員松原仁君提出東京オリンピック・パラリンピック競技大会の実施及び中止の費用試算に関する再質問に対する答弁書」(内閣衆質二〇四第一二五号)から明らかでないため、政府として、同競技大会を開催することのみ想定しているのか明らかにされたい。また、政府として、日本国民の生命と身体への重大な影響を払拭できずに同競技大会を中止する事態も想定している場合には、その場合の国が負担義務を負う費用の個別予算及び予算総額を精査しているか、並びに、精査している場合には、国が負担義務を負う費用の個別予算及び予算総額を明らかにされたい。
二 日本国内で開催に向けた準備が進められている同競技大会に関し、政府として、菅義偉首相が同競技大会の中止を決定することはできないとの認識であるか。また、小池百合子東京都知事について、都知事には同競技大会の中止を決定する権限はないという認識であるか。
三 前項に関連し、日本国が契約当事者でないとしても、政府として、東京都、公益財団法人日本オリンピック委員会及び公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(当該三団体を合わせて「日本側当事者」という)と協議の上、契約当事者が契約解除を考える上で、通常行われる合意解除について、日本側当事者がIOC(国際オリンピック委員会)と日本国内における同パンデミックの現状を考慮して、双方が損害賠償請求権を放棄することを前提とした合意解除に向けて協議を始めることは可能であると本職は考えている。
 立教大学の角紀代恵名誉教授も令和三年六月九日の日本経済新聞朝刊の「私見卓見」において、IOCにのみ解除権があるかのような規定は、「IOCが中止の判断をしても損害賠償義務を負わないという点にあり、日本に中止の権利がないと明記しているわけではない」と述べられている。その上で、「道義的な是非は別として、法律論にのっとって考えると日本側も五輪の中止を決めることができる」という。また、「賠償責任の有無は一義的には、日本側とIOCが結んだ開催都市契約にのっとって判断される。だが開催都市契約は、日本側が一方的に契約を破棄した場合の賠償責任を明記していない」というとともに、「契約が準拠する法律に基づいて賠償責任の有無が判断される。開催都市契約はスイス法を準拠法と定める。日本やスイスが採用する『大陸法』では契約を履行しないことが『債務者の責めに帰すべからざる事由』による場合は、損害賠償の義務は負わないとされている」とし、「コロナ禍は日本の責めに帰すべき事由とは考えがたい。契約法の立場からすれば、仮に中止を判断しても日本が賠償義務を負うことはないと考えるのが妥当だろう」としている。
 政府としては、同パンデミックの状況が日本国民の生命と身体への重大な影響を払拭できないとして同競技大会を中止せざるを得ないと考える場合であっても、前記合意解除に向けた働きかけを日本側当事者に行うことを考えていないか、政府としての現状認識を明らかにされたい。

 右質問する。

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