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令和三年六月十一日提出質問第二一六号
地方自治体における首長の予算編成権と自治体議会議員の条例提案権との関係に関する質問主意書
提出者 櫻井 周
地方自治体における首長の予算編成権と自治体議会議員の条例提案権との関係に関する質問主意書
地方分権と地域主権の重要性が指摘される中で、自治体議会が果たすべき役割はますます大きくなっている。一方で、自治体議会は、首長が提案した条例案を採決するのみで、議会として住民の意見の反映など十分な役割を果たしていないのではないか、という批判があった。そうした中で、住民福祉の向上のために議会改革を推進する自治体議会が増えてきている。自治体議会の活動が活性化したときに、問題となるのが、地方自治法第百十一条で規定する自治体議会議員の条例提案権と、地方自治法第九十七条及び第百四十九条で規定する首長の予算提出権との関係である。
地方自治法第九十七条では「普通地方公共団体の長の予算の提出の権限を侵すことはできない」と規定している。首長の予算を伴う条例案の提案については、地方自治法第二百二十二条で予算確保の見込みが得られるまでは、議会に提出できないこととなっている。議員提案の条例案にはこのような予算確保に係る規定はないものの、二百二十二条の趣旨を尊重すれば条例案の提案に先立って首長との連絡調整を図ることが望ましいと考えられる。一方で、首長提案ではなく、わざわざ議員が条例案を提案するのは首長と自治体の運営方針が異なっている場合もあり得るところ、首長が拒絶すれば条例案を提案できないとなると、第百十二条の議員の条例提案権が意味をなさなくなる。ひいては、行政と議会の二元代表制を定めた地方自治法の趣旨が損なわれることとなる。
そこで、以下、質問する。
一 条例案提案者と首長との間で調整が整わず予算確保の見込みが立たない状況で第百十二条に基づき議員は予算を伴う条例案を提案することができると考えるが、政府の見解如何。
二 予算確保の見込みが立たないままに予算を伴う議員提案条例案が当該自治体議会において可決された場合に、当該条例は有効と考えるが、政府の見解如何。
三 当該自治体の首長が当該条例に必要な予算を予算案に盛り込まなかった場合には、当該自治体議会は、当該条例に必要な予算を増額する修正をすることができると考えるが、政府の見解如何。
右質問する。