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令和三年六月十一日提出
質問第二一九号

ダブルケア支援のための宅幼老所(地域共生型サービス)等の推進に関する質問主意書

提出者  早稲田夕季




ダブルケア支援のための宅幼老所(地域共生型サービス)等の推進に関する質問主意書


 育児と介護が重なる「ダブルケア」の問題は、晩婚化が進み、高齢出産が増えたことなどから指摘されるようになってきたが、ヤングケアラーにおいても、厚生労働省の子ども・子育て支援推進調査研究事業による中高生アンケート調査結果では、親や祖父母だけでなく、障がいを抱える家族や幼いきょうだいの面倒を見ていること、支援を必要とする家族が複数いるケースもあることがあきらかになっている。
 ヤングケアラーを含むダブルケアを担うケアラーの孤立を防ぎ、様々な悩みを相談しやすくするためにも、高齢者、障がい者や子どもが同じ場所でサービスを受けることができる選択肢の普及が望まれる。そのようなサービス形態は、富山市内の民間団体によって一九九三年に始められ、一九九七年に富山県が全国にさきがけて補助を出したことから「富山方式」と呼ばれているが、二十年以上経っても、全国での広がりにかけているといわざるを得ない。
 この富山方式を、政府は「宅幼老所(地域共生型サービス)」と名付け、小規模で家庭的な雰囲気の中、高齢者、障がい者や子どもなどに対して、一人ひとりの生活リズムに合わせて柔軟なサービスを行う取組であって、デイサービスなどの「通い」のみのほか、ショートステイなどの「泊まり」やホームヘルプなどの「訪問」、グループホームなどの「住まい」などの提供も行うなど、地域のニーズに応じて様々にサービス形態を設定でき、空き店舗を活用した子育て支援や、高齢者交流施設の設置・運営事業の申請も可能な取組であるとして、周知に努めてきた。さらには「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部において実現に向けた改革の方向性、工程を示した「地域共生社会」の担い手の一つに位置づけ普及に努めてきたと承知している。

一 しかし、掛け声ばかりで、全国的には普及が進んでいないのではないか。二〇一三年一月に厚生労働省は「宅幼老所の取組」なる冊子を作成し、その中で十二の事例を紹介しているが、現時点で宅幼老所(地域共生型サービス)は全国でどのくらい存在するのか。政府の承知しているところをあきらかにされたい。
二 宅幼老所(地域共生型サービス)という選択肢が全国どこの地域にも存在するようにするために、政府はどのような取り組みを検討しているのか。
三 政府は二〇一七年度の介護保険法改正で、介護保険サービスと障害福祉サービスの一部を相互に乗り入れる「共生型サービス」を介護報酬・障害福祉報酬に導入した。これは学童保育や保育などの児童福祉事業が含まれていないものではあるが、一歩前進ともいえる。しかしこの「共生型サービス」も普及が進んでいないのではないか。報酬請求書類の書式が異なるなど事務処理の煩雑さを理由に挙げる識者もいるが、政府は普及が進まない理由をどのように分析し、今後どのような改善を検討しているのか。この春の定期改定では何も新たな措置がなされなかったが、次期改定を待つことなく、すみやかに報酬上のインセンティブを検討するべきではないか。
四 そもそも児童福祉事業を含む「地域共生型サービス」と、児童福祉事業を含まない「共生型サービス」という判別しにくい名称を採用し、かついずれも法律上の定義を作らぬまま放置していることに、政府のやる気のなさを感じざるをえない。宅幼老所という名称ももう少し工夫の余地があると考える。「地域共生型サービス」と「共生型サービス」という名称を再検討すべきことについて、政府の見解をあきらかにされたい。
五 宅幼老所(地域共生型サービス)の普及の決め手として、担い手確保の観点から、それぞれの専門性に配慮しつつ、介護と保育の資格の共通化の検討をさらに進めるべきではないか。政府の見解をあきらかにされたい。
六 二〇一六年三月十六日の参議院厚生労働委員会において、富山方式について意見を問われた公益社団法人日本介護福祉士会の内田千惠子副会長は「介護には介護の、保育には保育の専門性があって、それを、中途半端な能力でどちらにも関わるとどちらに対しても良くない」と発言しつつも、「小規模なところで、それなりの能力を持った職員がおられればそれも可能」「高齢者にとって子供がそばにいるというのはとてもいい話ですし、それから子供にとっても高齢者がそばにいるというのはマイナスなことではありませんので、そこは本当にきちんと能力を持った人たちにやっていっていただければいいのではないか」とも発言している。
 フィンランドの「ラヒホイタヤ」のように介護と保育の資格の共通化が進んでいる国もある中、日本においては、保育士と介護福祉士の資格取得にあたって試験科目の一部免除などにとどまっている。政府は二〇一七年に、オランダの制度を参考にして、保健医療福祉の各資格を通じた基礎的な知識や素養を身につけた専門人材の養成を目指して共通基礎課程の創設を検討課題として打ち出したが、その後の検討はどうなっているのか。

 右質問する。

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