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令和四年四月十八日提出
質問第四四号

独立行政法人国立病院機構におけるいわゆる「名ばかり管理職」問題に関する質問主意書

提出者  近藤昭一




独立行政法人国立病院機構におけるいわゆる「名ばかり管理職」問題に関する質問主意書


 独立行政法人国立病院機構の外科系診療部長が二〇一九年五月、宇部労働基準監督署に、自身は管理職に該当せず時間外労働等について労働基準法の適用がされるべき旨を申告したところ、二〇二一年六月同監督署は、申告人が「労働基準法の労働時間等に関する規定が適用されない『管理監督者』(同法第四十一条第二号)には該当しない」と判断した。
 この問題は右記申告人にとどまらず、国立病院機構全体の問題と考えられる。更に、日本の医療界や社会全体の大きな問題であると考えられる。そこで、以下、質問する。

一 右記申告について二〇一九年九月、宇部労働基準監督署が国立病院機構に指導票を交付した。しかし、その後厚生労働省本省が検討して結果を出すまで、相当の時間が経過している。監督署が早期に「管理監督者には該当しない」と判断しているにもかかわらず、本省がそれを抑えるようなことは適切とはいえないのではないか。労基法違反の申告に対し、もっと迅速に対応すべきではないか。
二 本件と同様の実態が、国立病院機構全体に存在する懸念がある。右記申告人は、国立病院機構本部の管轄である品川労働基準監督署にも報告した。国立病院機構全体の管理監督者の実態について、政府の把握するところを明らかにされたい。本件と同様の実態を把握していないなら直ちに調査し、「管理監督者」に該当しない労働者がいれば是正すべきではないか。
三 宇部労働基準監督署の二〇一九年九月の指導票には「今後において、時間外労働休日労働に関する協定届の適用、割増賃金の支払い、休憩時間の取得など、法に沿った管理を行う必要があります」と記載されている。また、右記申告人は「私が国立病院機構の職員であった二〇〇六年四月から二〇二〇年三月までは、タイムカードなどの労働時間の記録は全くなかった」とも指摘する。本件を含め、右記法に沿った管理が実行されているか政府が把握するところを明らかにされたい。
四 右記申告人は労働基準監督署に「文章での報告を求めたが、拒否された。社会通念上、社会常識上、文章での回答が常識である」と指摘しており、当然である。労基法違反の申告に対し、文書回答すべきではないか。政府の見解を求める。
五 右記申告人が、本件申告・改善措置にかかわる監督復命書などを、いわゆる行政機関個人情報保護法によって開示請求したところ、不開示部分が過剰であった。しかも、厚生労働省は不開示の理由説明書に、不開示とする裁量権の根拠判例として「最高裁判所昭和五十三年十月四日大法廷判決」(民集三十二巻七号千二百二十三頁)を引用する。しかし、この判例は「外国人は、憲法上、わが国に在留する権利ないし引き続き在留することを要求しうる権利を保障されていない」などとして法務大臣の裁量権を認めたもので、不開示の裁量権をこのように広く解釈するのは、憲法上の国民の権利に照らし不適切である。このような判例の引用を撤回し、監督復命書などを申告人に適切に開示すべきではないか。
六 右記五の理由説明書で、厚生労働省は「これらが開示されることとなれば、当該事業場を始めとして事業場と労働基準監督官との信頼関係が失われ、今後労働基準監督官に対する関係資料の提出等について非協力的となり、また、労働基準監督官の指導に対する自主的改善についても意欲を低下させ、さらにはこの結果として法違反の隠蔽を行うなど、検査事務という性格を持つ監督指導業務の適正な遂行に支障を及ぼすものであり、ひいては犯罪の予防に支障を及ぼすおそれがある」と弁明する。そうだとするならば、国立病院機構全体にまん延すると考えられる「名ばかり管理職」という労基法違反の防止措置を、各人の申告を待たず、厚生労働省として積極的に行うべきではないか。

 右質問する。

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