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令和四年六月九日提出
質問第九七号

高等教育における公費負担と家計負担に関する質問主意書

提出者  城井 崇




高等教育における公費負担と家計負担に関する質問主意書


 新型コロナウイルス感染症の影響で、大学生・専門学校生の生活が苦しくなっていることが報告されている。保護者の収入が減り、自分のアルバイトも切られるというのが現状である。一日の生活費が二百円、大学生の五人に一人が退学を検討しているという調査結果もある。長期化したコロナ自粛により学校生活不適応での退学も増えているが、感染症によって学生の生活が脅かされ、退学まで考えないといけないというのは、大学の学費が高額な我が国ならではの問題と言えるのではないか。国立大学では年間五十万円超、私立だと百万円近くの学費がかかる。この負担を重いと思っている家庭は多いはずである。
 学費が高い理由は、政府がお金を出さないからである。二〇一六年の統計によると、我が国の高等教育費用の負担内訳は公費が三十・六%、家計負担費が五十二・七%となっている。公費よりも私費負担が多いが、どの国でも同じような状況ではない。
 OECD(経済協力開発機構)の加盟国のうち、我が国の五十二・七%という家計負担割合は、チリに次いで高い状況である。この数値が五十%を超える、つまり高等教育費の半分以上が家計負担でまかなわれている国は、我が国、チリ、コロンビアの三か国だけである。OECDの平均値が二十三・四%であることから、我が国の高等教育がいかに家計に負担を強いることで成り立っているかが分かる。
 学生は普段からアルバイトをして学費をまかない、新型コロナウイルス感染症に見舞われてバイト先を失うと一気に生活困窮に陥る。なぜこのようなことになるのか。公費負担割合が少ないから、つまり政府がお金を出さないからである。それは、高等教育への公的支出額の対GDP比で見て取ることができる。
 二〇一六年の我が国の値は〇・四二%となっている。学費無償のフィンランドは一・五二%と、我が国の三倍以上である。
 公的教育費支出の対GDP比が高い国ほど、家計負担割合が低い傾向にある。ノルウェー、フィンランド、スウェーデンといった北欧諸国は公的教育費支出の対GDP比が高く、家計負担割合が低い。我が国はその対極で、政府がお金を出さず、家計の負担割合が重い国である。
 北欧諸国は、高等教育進学率が高く、ノルウェーは八十二・〇%で、我が国の六十三・六%よりもずっと高いとの調査結果がある。量的に多い学生の高等教育費用のほぼ全額を公費でまかなえるのは、政府がお金を出しているからである。
 そこで、高等教育における公費負担と家計負担に関して、以下質問する。

一 我が国の高等教育における公費負担と家計負担の負担内訳は、二〇一六年の統計によると、公費負担が三十・六%、家計負担が五十二・七%となっているが、公費負担の割合を家計負担の割合よりも多くするべきである。また、少なくとも高等教育の無償化を中間所得層まで拡大すべきであると考える。この実現のために、政府において必要な措置を講ずるべきと考えるが、政府の認識を明らかにされたい。

 右質問する。

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