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令和六年五月三十日提出
質問第一〇七号

新NISAの導入による影響に関する質問主意書

提出者  井坂信彦




新NISAの導入による影響に関する質問主意書


 令和四年五月に、岸田首相は「資産所得倍増計画」を発表した。その中でも特に注目されていた新NISA(少額投資非課税制度)の運用が令和六年から始まった。若い世代からの注目を集め、低額を長期に運用しようとする若者が増えており、株価は過去最高値を更新した。投資意欲は向上し、国民の金融リテラシーが向上するなど、一定の成果が期待される。
 一方で中高年者にとっては、税制優遇は受けられるものの、長期に複利による運用で受けられる恩恵が享受できないのではないかと、新NISAへの投資を躊躇している者もいる。また投資という性質上、そもそも資産がある者を対象にした政策であり、年金生活者や貧困層にとっては恩恵を享受できないという課題がある。更には、資産形成を優遇する代わりに社会保障が切り捨てられるのではないかという心配すらある。
 芸能人やインフルエンサーから、国が推している制度には何か裏があるのではないかと疑う声が挙がっている。確かに、新NISAとiDeCo(個人型確定拠出年金)の拡充だけでは政府の掲げる「資産所得倍増」を実現するのに半世紀もかかることが、野村総合研究所などで試算されている。政府はこうした不安を払拭する必要があり、以下、政府の見解を伺う。

一 投資に税制優遇をすることで国民の資産形成を助ける代わりに、社会保障を削減するのではないかという懸念が国民の中にある。投資による資産形成がうまくいかなかった時こそ、社会保障による救済が充実していなければならない。「新NISAによる資産形成の支援をした代わりに、年金をはじめとした社会保障を削減することは無い」と宣言をして、将来不安を無くすべきと考えるが、政府の見解を伺う。
二 そもそも投資に回す資産を持っていないと、新NISAやiDeCoを有効活用できない。実質賃金が下がり続けている中では、一定以上の所得がある者にばかり有利な制度となってしまう。給与所得や年金を引き上げるなど、投資資金を増やす取組について、政府の見解を伺う。
三 政府は資産所得倍増プランを打ち出したが、新NISAとiDeCoの拡充以外に目新しい施策は見られない。中高年向けの施策や、低所得者にも効果がある、資産所得倍増の次の一手について検討が進んでいるのか、政府の見解を伺う。
四 若者が現在の生活を切り詰めてでも資産形成に取り組む背景には、将来不安がある。若者が希望を持てる将来像を明示して、無理な資産形成を進めるだけでなく、消費や自己投資にも資金が回るようにすべきと考えるが、政府の見解を伺う。
五 投資を促進するムードが過剰になると、よりリスクの高い金融商品や、身の丈に合わない投資が推奨されるおそれがある。消費者保護の観点から、金融リテラシーの向上が求められるが、金融教育、経済教育について政府の取組を伺う。
六 政府が資産所得倍増プランということで投資を推奨すると、便乗した投資詐欺が増加すると想定される。実際に警察庁では、SNS型投資詐欺・ロマンス詐欺に対して特に注意喚起している。具体的に投資詐欺に対する取組はどのように進めるか、政府の見解を伺う。
七 芸能人やインフルエンサーによる、「政府の制度には裏がある」という発信に対して、政府が明確なメッセージを発していると感じられない。政治の信頼低下に対して反省するとともに、正しい情報を随時提供する必要があると考えるが、政府の取組を伺う。

 右質問する。

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