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令和六年六月十七日提出
質問第一六八号

劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)に関する質問主意書

提出者  井坂信彦




劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)に関する質問主意書


 国立感染症研究所が令和六年六月十一日に発表した速報データによると、本年第二十二週(五月二十七日から六月二日)の劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)の報告数は二十八件で、本年の累積報告数は九百七十七件となった。昨年一年間の患者報告数は年間で過去最多の九百四十一件であったが、その数をすでに半年足らずで上回っている。
 劇症型溶血性レンサ球菌感染症は、A群溶血性レンサ球菌によって引き起こされるもので、五類感染症になっている。初期症状は四肢の疼痛・腫れ、発熱、血圧低下などで、急激な病状進行により発病後数十時間以内に軟部組織壊死、急性腎不全、成人型呼吸逼迫症候群、多臓器不全などを引き起こし、致死率がおよそ三十%と非常に高い。妊婦では病状の進行が非常に急激で、数十時間以内に胎児死亡等に至り、母体死亡率も高いと言われている。溶連菌が手足の傷などから体の内部に侵入すると、傷口付近の筋肉の壊死が始まり、しだいに肝臓や腎臓などの臓器が機能しなくなっていき、驚くほど速く症状が進行することから「人食いバクテリア」とも呼ばれている。
 主な治療法は、ペニシリンなどの抗生物質の投与と、壊死した部分の切除が挙げられる。壊死の範囲が広ければ、手足を切断して食い止めることもあるという。そうなると、命は助かっても、生涯にわたって運動機能や見た目に不具合を抱えることになる。
 本年五月には、プロ野球の独立リーグ・BCリーグに所属している選手が、左手中指の傷口から感染したと思われる症例が発生した。尋常じゃない痛みに襲われ、二度の手術を経て体調は回復したが、一時は壊死した指を切断する可能性や、命の危険もあった。菌が侵入したとみられる指は、治療後も思うように動かせないでいる。治療を開始するタイミングが、治癒後のQOL(生活の質)にも大きく影響を及ぼすため、壊死が始まる前に適切な治療を開始することが極めて重要である。
 このように、致死率が高く、治療後に障害が残る可能性のある感染症が、過去の最大数のさらに二倍の勢いで増加している状況がある。早期診察、早期診断、早期治療が必要な感染症であり、医療機関だけでなく広く国民に周知する必要もあると考え、以下、政府の見解を伺う。

一 劇症型溶血性レンサ球菌感染症の発生増加を踏まえ、早期診断に繋がる検査方法、チェックマニュアルなどは確立できているか。全国の医師に、早期に可能性を疑うよう対策を取れているか伺う。
二 劇症型溶血性レンサ球菌感染症は、一般的には集中治療室での治療を行うと聞いている。治療開始までの一刻を争う病気であるが、過疎や地方の病院において、劇症型溶血性レンサ球菌感染症を発見・治療できる体制は整っていると考えるか。
三 劇症型溶血性レンサ球菌感染症は、四肢や臓器の壊死をもたらす。回復後も、壊死した器官の機能回復について、治療・リハビリが続くことが考えられる。病後のQOL向上のため、壊死を防ぐ方法や、壊死からの機能回復に対して政府は有効な手立ての開発を進めているか。
四 製薬会社等に、劇症型溶血性レンサ球菌感染症の検査薬や検査キット等の開発を指示・要請しているか。また検査薬や検査キットを全国の病院に配布しておく必要性について、政府の見解を伺う。
五 妊婦は、劇症型溶血性レンサ球菌感染症が重症化しやすいと言われている。妊婦に対して、初期症状(四肢の痛みや腫れなど)が発生したときに躊躇なく診断を受けるよう指導すべきと考えるが、政府の見解を伺う。
六 劇症型溶血性レンサ球菌感染症について、その発生件数の増加や危険性を広く国民に伝える必要があると考える。また、予防や感染についての正しい知識と、早期診察の必要性も広めなければならない。NHKをはじめとしたメディアでも取り上げられ始めているが、政府としてテレビ・インターネット・ポスターなど、あらゆる媒体で広報や紹介する取組を進めるべきと考えるが、政府の今後の取組予定を伺う。

 右質問する。

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