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令和六年十一月十一日提出質問第五〇号
北朝鮮による日本人拉致問題解決に向けた石破内閣の基本姿勢に関する質問主意書
提出者 島田洋一
北朝鮮による日本人拉致問題解決に向けた石破内閣の基本姿勢に関する質問主意書
石破茂首相は、就任後の十月一日の記者会見において「拉致問題は私どもの内閣の最重要課題だ。すべての拉致被害者の一日も早いご帰国を実現すべく、強い決意を持って取り組む」と語っている。この実現に向けた基本姿勢、方策について、以下、具体的に明らかにされたい。
一 東京と平壌の相互連絡事務所
石破首相は九月に行われた自民党総裁選において、同月二十日、次のとおり発言している。「お互いに連絡事務所を持ち、北朝鮮が拉致被害者の消息を述べていることは本当に真実かを公の場で検証することは必要だ。首脳会談をやることも当然やらねばならないが、何の準備もなくいきなり会っても仕方ない」。この東京と平壌の「連絡事務所設置」は、石破首相の就任前からの持論だが、拉致被害者家族会や支援団体の「救う会」は、北朝鮮に時間稼ぎや、被害者が帰国しないままの幕引きの手段として使われる懸念があるなどとし、反対してきた。現に、就任後初めて、石破首相が拉致被害者家族と面会した席でも、家族会の代表である横田拓也さんは「時間稼ぎした上で幕引きすることにしか寄与しない」として反対の考えを明確に伝えている。
首相はこの持論を覆す考えか。一日も早い解決に向け、いかなる策があるか明らかにされたい。
二 日朝国交正常化推進議員連盟の方針
1 石破内閣のうち、首相を含む三名の大臣(岩屋毅外務大臣、中谷元防衛大臣)が「日朝国交正常化推進議員連盟(以下、日朝議連)」の主要メンバーとして活動してきた。日朝議連は、家族会、救う会と一体として活動してきた拉致議連(古屋圭司会長)と異なり、二〇〇八年の設立以来一貫して、拉致問題を棚上げしての日朝国交正常化早期実現を目指してきた。石破首相は、第一次小泉純一郎首相訪朝時、拉致議連会長だったが、その後日朝議連に軸足を移した。これはいかなる判断に基づくのか、明らかにされたい。
2 二〇一八年六月、議員会館で総会を開いた際、約四十名の与野党議員が参加したが、この時の講師に在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の機関紙「朝鮮新報」の金志永・平壌支局長が含まれていた。北朝鮮側の代弁者とも見られる人物を講師にした活動の中心に、石破首相、外務、防衛という重要閣僚二人がいたことは極めて重い。こうした背景を持つ人々によって構成されている石破内閣が、最重要課題である拉致問題にいかに取り組むのか。北朝鮮側の意向を大いに汲む形となるのではないかとの疑念が払拭できない。石破内閣の基本姿勢を明示し、あわせて具体策の一端を明らかにされたい。
三 日朝議連の歴史認識について
日朝議連の衛藤征士郎会長(自民党、先の総選挙で落選)は、「日本はかつて北朝鮮を侵略して甚大な被害を国家と国民にもたらしているのですから、当然われわれとしても、その事実を重く両肩に背負い込まないといけないのです」との認識を示している(「世界」二〇〇八年七月号)。こうした誤った歴史認識では、北朝鮮と毅然とした外交を行えるはずもない。石破首相は、こうした衛藤氏の認識を共有するのか、明らかにされたい。
右質問する。