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令和六年十一月十一日提出
質問第五一号

大学の授業料値上げと高等教育の無償化に関する質問主意書

提出者  堀川あきこ




大学の授業料値上げと高等教育の無償化に関する質問主意書


 東京大学が二〇二五年度から授業料を約十万七千円も値上げすることを決定しました。また、この間、私立大学においても授業料値上げをおこなう大学が広がっています。わが国が批准している国際人権規約A規約第十三条二(c)「高等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること」を、いわゆる「骨抜き」にする一連の動きは、きわめて深刻です。
 以下、質問します。

一 石破茂内閣総理大臣は、九月に行われた自民党総裁選にあたっての「所見」の中で、「人口減少対策」として「国立大学・高専の授業料無償化」を掲げていました。
 また、本年十月二十七日投開票で行われた総選挙において、自由民主党は、「家庭の経済状況に関わらず、大学・高専などへの進学を希望する全ての若者が、自らの夢を実現できる社会にするため、高等教育の無償化を大胆に進めます」と公約していました。
 1 石破内閣は直ちに「国立大学・高専の授業料無償化」に取り組みますか。
 2 「国立大学・高専の授業料無償化」に取り組む場合、いつまでに実現しようと考えていますか。
 3 「無償化」の対象は、国立大学や多子世帯、一定の所得基準以下の世帯に限定するのではなく、大学・専門学校など全ての高等教育機関で学ぶ全学生を対象に無償化を措置すべきではありませんか。
二 東京大学が来年度からの授業料値上げを決定したのに続き、広島大学などの国立大学や中央大学などの私立大学も値上げを検討していることが報じられています。
 二〇二五年度からの授業料値上げを決めた国立大学及び、二〇二六年度以降の授業料値上げを検討している国立大学を把握していれば列挙ください。
 この間の国立・公立・私立大学を含め、授業料値上げの検討状況を把握すべきではないかと考えますが、政府の見解をお示しください。
三 政府は、宮本徹衆議院議員提出「高等教育の無償化に関する質問主意書」に対する答弁書(令和六年五月三十一日答弁第一〇〇号、以下「答弁書一〇〇号」と呼ぶ)は、大学の授業料値上げについては「設置者である各国立大学法人において様々な事情を考慮して判断されるもの」としています。現在、「高等教育の無償化」については、国民全体の要求となっており、今般の総選挙においても多くの政党や候補者が主張していました。
 いま政府がただちに取り組むことは、大学の授業料値上げを抑制すべく、十分な国立大学運営費交付金を措置すべきではないかと考えますが、政府の見解をお示しください。国立大学の授業料無償化に向けて、運営費交付金の増額とセットで、授業料標準額を、抜本的に引き下げるべきではないかと考えますが、政府の見解をお示しください。
四 答弁書一〇〇号は、授業料値上げについての設置者の判断の背景の一例として「教育研究環境の充実のための人件費や設備整備に係る費用等の増加や、物価の高騰等があるものと考えられる」としています。
 1 授業料値上げの背景として、現状の国立大学運営費交付金が不十分なこと、そして今後も、国からの十分な運営費交付金が措置される可能性は低いと想起せしめる政府の姿勢があるからではありませんか。政府は如何に認識していますか。
 2 宮本徹衆議院議員提出「高等教育の無償化に関する再質問主意書」に対する答弁書(令和六年六月二十一日答弁第一四一号)で、「必要な予算の確保に努めてまいりたい」とあります。
  八月二十九日に文部科学省が公表した二〇二五年度概算要求は、運営費交付金は二〇二四年度比で三%増の一兆千百四十五億円となっています。当該金額が、「必要な予算」が確保された金額との認識ですか。
 3 わが国は、国際人権規約A規約第一三条二(c)を批准しており、高等教育の漸進的無償化の措置を進める国際的な道義的責任を負っています。「教育研究環境の充実のための人件費や設備整備に係る費用等の増加や、物価の高騰等」を学生に転嫁していくことは、事実上、高等教育の漸進的無償化を進める責任を放棄することではないかと考えますが、政府の見解をお示しください。
 4 一九七五年年七月一日の参議院文教委員会の「私立学校振興助成法案に対する附帯決議」は、「私立大学に対する国の補助」を「できるだけ速やかに二分の一とするよう努める」としています。この決議に即して速やかに経常費補助二分の一を実現し、私立大学の授業料値上げを抑制し、授業料を引き下げられる環境をつくるべきではないかと考えますが、政府の見解をお示しください。
五 文部科学省は、高等教育修学支援新制度を二〇二〇年四月から実施しました。このもとで、非課税世帯の進学率について四十%(二〇一八年)から六十九%(二〇二三年)に上昇しました。
 1 無償化が進学・家計に及ぼす効果を政府は如何に認識していますか。また、この効果を検証しているのであれば、明らかにしてください。
 2 修学支援新制度は、支援額が世帯収入に応じた四段階になっています。この間の消費者物価の上昇を踏まえ、四段階で区分している世帯収入の基準を引き上げるべきではないかと考えますが、政府の見解をお示しください。
 3 給付型奨学金を受給している学生のうち、学業要件によって取消しとなった学生が二〇二三年度で一万五百二十一人、全受給者の四・一%(本年六月二十八日、京都の学費ゼロプロジェクトの要請の際の文部科学省回答)に上っています。しかも二〇二五年度に、この学業要件をさらに厳格化しようとしています。
  給付型奨学金の学業要件で取消しとなった学生が、その後も在学し学業を継続しているかなど、実態把握を行うべきではないかと考えますが、政府の見解をお示しください。
  そもそも相対評価である学業要件があることで、学びたくても単位取得が困難な授業を忌避したり、「楽」に単位取得が可能とされる授業を選択したりするなど、給付型奨学金の本来の目的である学生の学ぶ権利をゆがめる状況があることを政府は認識していますか。
 
 右質問する。

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