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令和七年一月二十七日提出質問第八号
我が国産業の国際競争力の低下に関する質問主意書
提出者 原口一博
我が国産業の国際競争力の低下に関する質問主意書
近年、我が国産業の国際競争力の低下が国内外で広く指摘されており、特にハイテク分野において顕著である。世界銀行の統計によれば、我が国のハイテクノロジー製品の輸出額はベトナムやメキシコといった新興国にも後れを取っている。
このような状況となったのは、新興国の成長といった外部的要因にとどまらず、我が国の産業構造の変化のほか、知的財産の軽視や緊縮財政・増税路線の継続といった政府の政策が背景にあると考えられる。また、政府による産業政策が他国に比べて不十分であったのではないかと考えられる。
これらを踏まえ、我が国産業の国際競争力の低下について、以下、質問する。
一 経済産業省がこれまで主導してきた国家プロジェクトの多くが失敗しており、その要因として、官僚は業界の実態に疎く意思決定も遅いことや、頻繁な異動により「長期」の責任を負える立場にもないこともあげられる。さらに、天下りや多額の企業献金といった実態もあり、政官財の癒着を断ち切らない限り、産業政策を講じたとしても、過去の産業政策の失敗を繰り返すことになると考えるが、政府の産業政策の今後の方針について伺いたい。
二 我が国のものづくり産業においては、半導体製造装置や半導体の素材、また、航空機に使われる炭素繊維やリチウムイオン電池のセパレーターをはじめ、部品や素材といった分野に強みがある。こうした、我が国が高い競争力を有しているものづくりの基礎となる部品や素材の開発には長い期間を要するものもある。このため、部品や素材の開発力や市場での競争力をさらに強化していくための政策を長期間にわたって戦略的に講じていく必要があると考えるが、政府の取組について伺いたい。
三 右記のように、長期間にわたる開発を行うためには企業も中長期的な視点に立って経営を進めて行く必要がある。このためには、株主だけのために短期的な利益を追求し、最優先で利益を分配する考え方である「株主資本主義」から、従業員、顧客、取引先のほか、地域社会、国全体までもが利害関係者であって、会社の利益をこれらの幅広いステークホルダーに対して分配することで社会への貢献を果たすという「公益資本主義」の考え方への転換が重要であると考える。企業が中長期的な視点から開発を行えるような投資環境を整備する必要があると考えられるが、これに向けての政府の取組について伺いたい。
右質問する。