質問本文情報
令和七年四月二十三日提出質問第一六二号
難民認定申請者の保護に関する質問主意書
提出者 上村英明
難民認定申請者の保護に関する質問主意書
難民認定申請者の中には、命からがら本国から逃れてきたために資産などを有しておらず、日本での生活に困窮し、難民認定申請の審査結果を待っている間に、更に生活状況が悪化してしまう者もいる。そのような場合を想定して、政府において、いわゆる難民認定申請者保護事業が行われている。しかし、当該事業による保護費(以下「保護費」という。)の受給者数は、年間二百から六百人台で推移しており、日本における難民認定申請者数が一万人を超える昨今、生活に困窮する難民認定申請者に対する保護の目的を達成することができていないと考える。難民認定申請者が野宿を経験する状況も報道されている。そこで、保護事業の拡充に向けて、以下質問する。
一 所管省庁について
本年四月より、難民認定申請者保護事業の所管が外務省から出入国在留管理庁に移管されたものと承知している。難民認定事務と難民認定申請者保護事業を同一の省庁が担うことで、生活に困窮する難民認定申請者の存在を政府がいち早く認識し、速やかに保護事業の対象とすることが期待される。
1 難民認定申請者保護事業の所管の移管理由を示されたい。
2 政府答弁書(内閣参質二一三第一八四号)によると、二〇二三年度において、保護事業の委託先である公益財団法人アジア福祉教育財団難民事業本部(以下「RHQ」という。)が保護措置の申請を受け付けてから保護措置を開始して差し支えない旨の結果通知を外務省から受けるまでの期間の平均は、約六十一日とされている。所持金のない難民認定申請者もいる中で、このような待機期間が発生していることは誠に遺憾である。出入国在留管理庁への移管によって、当該期間は短縮されるべきと考えるが、その見込みはあるのか、政府の見解を示されたい。
3 RHQのウェブサイトにおいて「難民認定申請者に対する支援(案内)」と題する文書が掲載されている。地方出入国在留管理局において、難民認定申請を行った者に対して当該文書を配付しているのか。そうでないのであれば配付すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
二 二〇二五年度の保護費予算について
二〇二五年二月六日の衆議院予算委員会での難民関係業務の予算額に関する私の質問に対して、法務大臣より「令和七年度の政府予算案、難民及び補完的保護対象者の認定申請者に対する救援業務及び難民及び補完的保護対象者に対する定住支援業務等、合わせて全体で約十二・七億円ということでございます」との答弁があった。
1 二〇二五年度の難民認定申請者に対する救援業務の予算額を示されたい。
2 二〇二五年度の補完的保護対象者認定申請者に対する救援業務の予算額を示されたい。
3 二〇二五年度の難民に対する定住支援業務の予算額を示されたい。
4 二〇二五年度の補完的保護対象者に対する定住支援業務の予算額を示されたい。
三 難民認定申請者保護事業委託先との契約に基づく額について
政府答弁書(内閣参質二一三第一二五号)によると、二〇二四年度における難民認定申請者に対する保護費の予算額、すなわちRHQとの契約に基づく額のうち、@「難民認定申請者に対する保護費」が約二億五千九百万円、A「難民認定申請者緊急宿泊施設の提供にかかる」ものが約千百万円とされている。
1 二〇二五年度における難民認定申請者に対する保護費の予算額、すなわちRHQとの契約に基づく額のうち、前記@及びAに相当する額をそれぞれ示されたい。
2 二〇二四年度補正予算における難民認定申請者に対する保護費の予算額、すなわちRHQとの契約に基づく額のうち、前記@及びAに相当する額をそれぞれ示されたい。
3 二〇二三年度当初予算及び補正予算における難民認定申請者に対する保護費の予算額、すなわちRHQとの契約に基づく額のうち、前記@及びAに相当する額をそれぞれ示されたい。
四 住居支援について
一九八二年七月の難民行政監察結果に基づく勧告において、当時の行政管理庁は「我が国に庇護を求めてきた外国人が難民として認定されるまで又は第三国に出国するまでの間、衣食住(特に住居)に欠け、保護を要する場合について、生活援護を行うための体制は整備されておらず、また、予算措置も講ぜられていない状況にある」と指摘し、援護体制の整備を求めた。それを受けて開始したのが、現在の難民認定申請者保護事業である。しかし、当時の行政管理庁が指摘した難民認定申請者に対する住居支援の欠如は、現在においても深刻な課題であると考える。
1 二〇二四年度末時点での難民認定申請者緊急宿泊施設の利用者数について政府の把握するところを示されたい。
2 難民認定申請中の者のうち、住居に欠ける者の存在を政府において把握しているか。
3 難民認定申請中の者のうち、住居に欠ける者はすべて保護措置の対象者に該当すると考えるが、政府の見解を示されたい。
右質問する。