質問本文情報
令和七年五月九日提出質問第一八〇号
外国人による国民健康保険料等の未納・滞納や医療サービス濫用への対策の必要性に関する質問主意書
提出者 竹上裕子
外国人による国民健康保険料等の未納・滞納や医療サービス濫用への対策の必要性に関する質問主意書
第二百十六回国会(臨時会)において、私の提出した、外国人の国民健康保険料等の支払状況の実態調査及び外国人の医療保険制度を別立てにすることに関する質問主意書(令和六年十二月十三日提出質問第六六号。以下「先の質問」という。)に対する答弁書(内閣衆質二一六第六六号。以下「先の答弁」という。)において、政府は、「医療保険制度は、社会連帯と相互扶助の理念等に基づき、国籍のいかんを問わず等しく保障を及ぼすべきであるという我が国の社会保険制度の基本的な考え方に照らし、外国人についても、適正な在留資格を有し、加入要件を満たしている場合には、原則として適用対象としている」との答弁を行った。
しかしながら、この「国籍のいかんを問わず等しく保障を及ぼすべきである」との主張は、必ずしも、国際社会の共通認識であるとは言えないと考える。この点に関しては、社会保障協定を締結していない第三国の外国人に対してまで、社会連帯と相互扶助を我が国から一方的に申し出る必要性は全くないばかりか、逆に、我が国の善意に付け込んで、身勝手な外国人による保険料・保険税の未納・滞納や、医療サービスの濫用が繰り返されることにより、我が国の医療保険財政が大きく毀損される結果がもたらされるのみであると考える。
また、社会保険制度の重要な柱の一つである公的年金制度に目を向けてみると、在留外国人の国民年金保険料の納付率がわずか四十三・四%であることに関する質問主意書(令和七年四月三日提出質問第一三四号)において私が指摘したように、令和五年度における国民年金第一号被保険者の保険料の最終納付率(令和三年度分保険料)は八十三・一%となっている。一方、同年度における外国人の国民年金保険料の最終納付率は四十三・四%となっており、全体の最終納付率を大幅に下回っている。これは、言をまたず、我が国の社会保険制度が社会連帯と相互扶助の理念等を顧みないいわゆるフリーライダーの外国人によりゆがめられていることについての紛れもない証左であると考える。
こうした観点から、次の事項について質問する。
一 先の答弁では、日本に暮らす外国人をめぐる年金や医療等の保険料の納付実態を把握する調査の検討状況すら明らかとはならなかった。このため、衆議院議員竹上裕子事務所は、令和七年一月、東京都特別区について、東京都の統計を基に、各区の人口に占める外国人人口の割合の高い上位七区(新宿区、豊島区、荒川区、台東区、北区、港区及び江東区)に対し、各区において国民健康保険の被保険者となっている外国人に係る国民健康保険料の現年分収納率についての聴取調査(以下「竹上裕子事務所による聴取調査」という。)等を行った。その結果、令和五年度分の外国人に係る国民健康保険料の現年分収納率は、新宿区は四十七・一三%、豊島区は前年度(六十%台)より改善しているとはいえ、七十三・八一%であった。一方、令和四年度における国民健康保険(市町村国保)の保険料(税)収納率は、全国平均で九十四・一四%となっている。
また、令和七年四月二十三日付の産経新聞朝刊及び日本経済新聞朝刊によると、厚生労働省が自由民主党の外国人材等に関する特別委員会・在留外国人に係る医療ワーキンググループ合同会議に提示した資料(以下「自由民主党資料」という。)では、外国人の国民健康保険料(税)の納付率を把握している百五十市区町村に厚生労働省が実態を聴き取り、令和六年十二月末時点で集計した同納付率は、平均で六十三%(日本人を含めた全体の納付率は九十三%)であった旨が報じられている。
竹上裕子事務所による聴取調査の結果及び自由民主党資料により、国民健康保険料(税)の納付率は、外国人が日本人を大幅に下回っていることが明らかとなったが、この点について、政府の認識及び今後の対応方針をそれぞれお示し願いたい。
二 竹上裕子事務所による聴取調査では、調査を行った七特別区中四特別区からは、「外国人のデータを持っていない」、「日本人と外国人を分けていない」、「公開していない」、「非公開で定義も明確になっていないものの、区議会における答弁対応は行っている」との回答があった。外国人による国民健康保険料等の未納・滞納が深刻な状況に陥っていることが推定されるにもかかわらず、外国人による国民健康保険料等の納付状況の調査・公表の有無は自治体によって異なっている。国民健康保険に対しては国費で毎年約三兆円もの財政支援をしているにもかかわらず、国は外国人による国民健康保険料等の納付状況の調査を行っていないため、各自治体の外国人による国民健康保険料等の納付状況の現状把握もできないずさんな状況であると考える。まずは、令和七年度より各自治体の国民健康保険における国籍別の保険料(税)の納付状況の把握を義務付けるとともに、国として公表すべきであると考えるが、政府の見解をお示し願いたい。
三 前記一及び二を踏まえ、医療保険財政を堅持していく上で、抜本的な外国人の国民健康保険料等の未納・滞納対策を早急に講ずる必要があると考える。
1 国民健康保険料(税)額は、前年の所得額を基に算定されると承知しているが、来日した外国人が国民健康保険の被保険者となる場合、前年の所得額は、どのような証拠書類によって証明されるのか、また、当該証拠書類の真正性及び正確性はどのように担保されるのか、政府の見解をそれぞれお示し願いたい。
2 日本における外国人の国民健康保険料の納付率が日本人よりも格段に低いことは前述したとおりである。差押え等の滞納処分の実施割合を外国人と日本人とで比較した場合、外国人が日本人を上回ると考えるが、実際の国籍別の滞納処分の実施状況をそれぞれ可能な限りお示し願いたい。
3 外国人が国民健康保険の保険料(税)を滞納したまま出国する場合、日本からの出国時、国民健康保険の保険料(税)の滞納状況を確認し、滞納がある場合には、その場で取立てを行っているか伺いたい。
4 平成三十年度以降、国民健康保険の保険料(税)を滞納したままで出国した外国人の数及び当該外国人による国民健康保険料(税)の滞納額を、それぞれ可能な限り年度ごとにお示し願いたい。
5 国民健康保険の保険料(税)を滞納したまま出国した外国人に対し、具体的にどのような滞納処分の方法をとり得るのか、政府の見解を伺いたい。
6 平成三十年度以降における国民健康保険の保険料(税)を滞納したまま出国した外国人が海外に所有する財産に対する差押えの状況、再入国した当該外国人に対する取立ての実施状況及び滞納処分による取立財産の割合を、それぞれ可能な限り年度ごとにお示し願いたい。
四 高額療養費問題について、令和七年三月三日の衆議院予算委員会の質疑において、東京大学の中国人留学生が日本の医療制度を使い、多額の医療費を不正に受給したと見られる事件が取り上げられた。同質疑によると、同留学生は、令和五年十月から令和六年十月の間、頻繁に通院や入退院を繰り返し、その合計額は千三百二十六万千百五十円、高額療養費制度のおかげで自己負担額はわずか数十万円に抑えられたとされており、これを本人が中国のSNS(レッド)で、留学生として入院したらわずか一年で日本で千三百万円の医療費をだまし取ったとし、日本円をばか幣(愚かな国の通貨)と呼び、日本の医療制度を悪用したことを自ら暴露したとされている。同事件のように、傍若無人な外国人による我が国の医療サービスの濫用が水面下で拡大している可能性もあると考える。
1 国として、同事件の事実関係について、調査を行ったのか、その調査状況をお示し願いたい。併せて同留学生が日本政府から国費による奨学金を得ているかどうかもお示し願いたい。
2 平成三十年度以降、来日し、国民健康保険に加入した外国人について、来日後、半年以内、一年以内及び二年以内に高額療養費制度を利用した者の数及びその数の同制度を利用した者の総数に占める割合を年度別に、それぞれ可能な限りお示し願いたい。
3 最新の年度について、日本人以外で同制度を利用した者の数の多い国籍別の上位三か国について、その利用件数及び同制度に基づく支給金額をそれぞれお示し願いたい。
五 先の答弁において言及された「医療保険制度は、社会連帯と相互扶助の理念等に基づき、国籍のいかんを問わず等しく保障を及ぼすべきであるという我が国の社会保険制度の基本的な考え方」の法的根拠をお示し願いたい。法的根拠がない場合、同考え方が拠って立つ根拠をお示し願いたい。
六 先の質問において、外国人の医療保険制度を別立てとし、新たな医療保険制度を創設すべきである旨の提言を行った。しかしながら、同提言に対し、先の答弁では、「「新たな医療保険制度を創設する」べきとは考えておらず、したがって、お尋ねの「制度設計」について、政府として具体的に検討していない」とされた。そこで、国籍を問わず同じ社会保険制度にするという枠組みを前提とした新たな改善提言を行う。
現在、我が国の国民健康保険制度は、三か月を超える在留期間を有する外国人を制度の適用対象としている。しかしながら、わずか三か月程度の在留期間では、医療目的の偽装来日、我が国の医療保険制度にただ乗りすることを目的とした不当な在留をもくろむ外国人の流入を防ぐことは極めて難しいと考える。
一方、公的医療保険制度への加入が可能となる在留期間に関しては、例えば、アイルランドにおいては、一年未満の短期滞在者には公営医療サービスの受診資格が付与されていないと承知している。
このような事例も参考とし、我が国の国民健康保険制度においても制度への加入に際し一年以上の在留期間を要することとし、その間は民間の医療保険等の保険商品で対応する制度設計へ改善すべきと考えるが、本提言に対する政府の見解をお示し願いたい。
右質問する。