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令和七年五月二十八日提出質問第二一〇号
本人の同意なくAIで生成されたわいせつ画像や動画の拡散を防止するための法整備に関する質問主意書
提出者 八幡 愛
本人の同意なくAIで生成されたわいせつ画像や動画の拡散を防止するための法整備に関する質問主意書
二〇二五年五月、アメリカ合衆国では、本人の同意を得ないままインターネット上に投稿された性的な画像や動画(いわゆるディープフェイク)を明確に連邦犯罪とし、SNS等のプラットフォーム運営事業者に対して四十八時間以内の削除義務を課す「Take It Down Act」が成立した。同法は、AI生成による性的被害への迅速な対応を目指した初の連邦レベルでの包括的法制度であり、国際的にも注目されていると承知している。
一方、日本では、ディープフェイクによる人格権・名誉権・プライバシーの侵害が急増しているにもかかわらず、それが実在しないものであることを理由に刑法・民法上の違法性が否定されたり、SNS事業者が自主的に削除に応じなかったりするケースも多く、制度の限界が露呈していると考える。
このような状況を踏まえ、以下の事項について政府の見解を問う。
一 前述のアメリカの法律では、AIによって生成された性的なディープフェイク画像や動画の投稿に対して刑事罰を科すとともに、プラットフォーム事業者に四十八時間以内の削除義務を課している。これに倣い、日本でも削除義務を含む法制化を進める必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。
二 現行のいわゆるプロバイダ責任制限法等の制度に基づき、削除申請に対する大手SNS事業者の対応状況(平均的な削除完了時間、申請受理件数、拒否件数等)について、政府としてそれぞれ把握しているか。把握していない場合、その理由と今後の対応方針についてそれぞれ示されたい。
三 AIにより生成された画像や動画が一度削除された後も、別アカウント・別URLから同一または類似画像が繰り返し投稿されるなど、被害者が恒常的な人格権侵害にさらされる実態があると承知している。このような再拡散を抑止するため、画像認識技術を活用したプラットフォーム側の自動検出・削除義務化を含む規制導入の必要性があると考えるが、政府の見解を示されたい。
四 AIにより同意なく生成された動画や画像の問題は、肖像権、名誉権、プライバシー権、性的自己決定権など複数の法益にまたがっており、現行法の部分的改正では対応が困難と考える。AI時代に対応した新たな包括法の創設を検討すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
五 日本国内に居住する日本人女性が、本人の同意なく生成された性的なディープフェイク画像を、アメリカのサーバー上に投稿されるという被害を受けた場合、現行法上、当該投稿者の処罰は可能か。また、当該画像の削除及び被害者救済の実効性を確保するために、政府が想定している国際捜査・司法共助及びプラットフォーム事業者との連携のあり方について明らかにされたい。
右質問する。