質問本文情報
令和七年六月九日提出質問第二三六号
ボタンウキクサ(ウォーターレタス)対策に関する質問主意書
提出者 井坂信彦
ボタンウキクサ(ウォーターレタス)対策に関する質問主意書
特定外来生物による様々な被害が発生しているが、近年特に被害が出ているのが、ウォーターレタスと呼ばれるボタンウキクサである。
ボタンウキクサは、アフリカ原産の多年生植物であり、一九二〇年代に観賞用として日本に持ち込まれたと承知している。日本の河川や湖沼の水温では越冬できずに枯死すると言われていたが、ここ数年、温暖化の影響や、工場排水などの温かい水の影響を受け、西日本を中心に大繁殖が確認されている。大繁殖したボタンウキクサは、水面を覆うほど密に繁茂し、日照を遮ることで水中の光量が減る。光量が減ると水中の植物の光合成を阻害し、酸素量が不足し、生態系に大きな影響を与える。また物理的にも水路の通水障害や取水口で目詰まりを起こすといった被害を起こしている。河川では下流域に流れ着き同様の被害を出すとともに、耐塩性があることから海に出た後も湾内などで繁殖し漁業やノリなどの生産への影響が懸念されていると承知している。
現在は重機や水草回収船を用いて除去が行われているが、根絶には至っていない。二〇二三年には、熊本県中部を流れる加勢川で大繁殖し、熊本市と国で合わせて九千六百万円をかけて除去・焼却を実施したと報道されている。その他にも、大阪府の淀川や、鹿児島県の大鶴湖、沖縄県石垣島の宮良川など各地で除去作業が行われていると承知している。
ボタンウキクサによる被害をなくすため、政府は対策を講じることが必要と考え、以下質問する。
一 ボタンウキクサは特定外来生物に指定されていることから、輸入・栽培・販売は原則禁止されている。拡散防止の観点から、こうした規制が徹底されているか、輸入・販売の現状把握について伺う。
二 ボタンウキクサは、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律で、特定外来生物の放出等をした者に対し、回収その他の必要な措置を命ずることができ、この命令に違反した場合は拘禁刑若しくは罰金に処することとなっている。これまで放出した者に回収命令を出したり、命令違反に対し罰則を適用したことはあるか。
三 ナガエツルノゲイトウ、オオカワヂシャなど、水辺に繁殖する複数の特定外来生物による被害が報告されている。これから繁殖が盛んになる夏に向かっていくが、特定外来生物の放出に対して、注意喚起や見回り強化など、どのような対策を考えているか。
四 自治体や地域ボランティアがボタンウキクサの駆除を行っている地域があるが、駆除活動に対する国からの支援について政府の見解を伺う。
五 ボタンウキクサは別名ウォーターレタスと呼ばれているが、人が食べるのには適していない。しかし栄養価は高いため、東南アジアや南アメリカの一部では、家畜の飼料として使われることもあるという。ボタンウキクサに含まれるカルシウムオキサレートという有害な成分の影響を最小限に抑えることが必要であると承知しているが、飼料、肥料、燃料などに活用する研究は行っているか。
右質問する。