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令和七年六月九日提出
質問第二三七号

鉛製給水管に関する質問主意書

提出者  井坂信彦




鉛製給水管に関する質問主意書


 家庭などに水を供給するため、古くから鉛製の給水管が使用されてきた。鉛製給水管の特徴として、さびにくいことと、柔軟性に富んでおり加工がしやすいことが挙げられる。そのため、全国の自治体で鉛製給水管が広く設置されてきた。
 しかし鉛が人体に有害であることが明らかになり、平成元年に厚生省(当時)が、新設の給水管には鉛溶出による問題のない管を使用すること、配水管の布設替えの時には付随する鉛製給水管の更新に努めることなどを通知し、鉛製給水管の交換に取り組んできた。平成十五年には水質基準に関する省令を一部改正し、鉛の水質基準を強化している。厚生労働省健康局(当時)は、平成十六年に水道ビジョンを発表し、鉛製給水管総延長をできるだけ早期にゼロにする目標を提示した。さらに平成二十五年には新水道ビジョンで、水道事業者に布設替計画を策定し布設替えを推進するとともに、所有者に対しても積極的な布設替えを促進することが必要としている。
 しかしながら令和七年二月、読売新聞は、公益社団法人日本水道協会の調査の結果、令和五年三月時点で約二百三万件の鉛製給水管が残存していることが分かったと報じた。早期にゼロを目指した水道ビジョンから約二十年で半分以下に減少したものの、いまだに全契約数の三・四三%に鉛製給水管経由で給水されている。また、家庭などに枝分かれする部分は、大半が住宅敷地内に埋設されており、設置記録が残っていないケースも多く、把握できていないものも多いという。
 無機鉛化合物による中毒症状は、衰弱、興奮、無気力、吐き気、便秘を伴う腹痛、貧血などが挙げられ、腎障害、心血管への影響、免疫機能の変化等に関与しているといわれており、また特定の無機鉛化合物では発がん性があるといわれている。過去には台所の水から基準値の四十倍を超える鉛が出たアパートの住民が健康被害を被り、大家側に約七百万円の損害賠償の支払いを命じる判決が出ていると承知している。
 政府は鉛製給水管をゼロにする目標を提示しているが、約二十年経ってもその目標は達成されておらず、実現に向けた施策と支援が必要と考え、以下政府に質問する。

一 まずは現状を知ることが必要である。私有地内も含めて、鉛製給水管がどれほど残っているのか、調査が必要と考えるが、政府の見解を伺う。
二 国民が、自身の住居の給水管が鉛製給水管であるかどうか、どのようにして知ることができるか。
三 家主が調査・布設替えをするための支援が必要と考えるが、政府の見解を伺う。
四 鉛製給水管の布設替えについて、自治体の取組だけでは解決できないということが、この二十年で分かった。政府がもっと積極的に関与して布設替えを後押しする必要があると考えるが、政府の見解を伺う。
五 鉛製給水管による鉛中毒で、大家側が損害賠償を支払うという判決が出ている。症状が、水道管から溶出した鉛に起因するものと認められたものである。しかし鉛製給水管は私有地内だけでなく、事業所設置分にもまだ残っている。今後、水道水の鉛由来の鉛中毒について、事業所の責任が追及されることも考えられる。鉛製給水管に起因する鉛中毒について、政府は公害として補償をする必要があるのではないかと考えるが、政府の見解を伺う。
六 水道水中の鉛は、水が滞留することで濃度が上がることから、水道水を使用する時に最初の水を捨てることで鉛中毒を防ぐことができる。政府や専門家は、鉛製給水管の疑いがある場合は、朝一番の水を捨てるべきということを発信している。特に鉛製給水管が多く残っている地域では、このことを周知するキャンペーンを強める必要があると考えるが、政府の見解を伺う。

 右質問する。

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