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令和七年六月十日提出
質問第二四〇号

感染症の危機管理における専門家発言の変遷とリスクコミュニケーション体制の強化に関する質問主意書

提出者  八幡 愛




感染症の危機管理における専門家発言の変遷とリスクコミュニケーション体制の強化に関する質問主意書


 本年六月八日、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会元会長であった尾身氏は、新型コロナを総括するテレビ番組に出演し、コロナワクチンについて「若者は接種不要である」等、分科会会長を務めていた時期とは異なる見解等を含む発言を行った。この発言の一部がSNSを中心に切り抜き的に拡散され、文脈が十分に共有されないまま誤解を招き社会的混乱と公衆衛生行政への不信を生じさせ多方面から批判が集まっている。一方で、同氏の見解は感染症の重篤化リスクの変化に依拠しており発言自体に矛盾はないとの見方があることも承知している。
 かかる状況に鑑みて、急速にリスクが変動する感染症の危機管理においては、政府の要職を経験した専門家が単独でメディア対応を行うことに伴うリスクが顕在化していると考える。したがって、公衆衛生上のいわゆるリスクコミュニケーションを円滑に行うためには、専門家に加え、専門的知識と報道対応能力を兼ね備えたいわゆるサイエンス・コミュニケーター(以下「科学コミュニケーター」という。)を制度的に配置し、発言内容を補足・翻訳する仕組みが重要と考える。
 以上を踏まえ、政府に対し質問する。

一 尾身元会長による前記発言の内容およびSNS上での拡散状況を把握しているか。把握している場合、その概要と政府としての評価をそれぞれ示されたい。
二 前記発言が若年層のワクチン接種意欲や感染対策行動に具体的にどのような影響を与え得ると分析しているか。
三 感染症のリスク変動によって専門家の発言が変化することが、発言の一貫性が欠如していると社会に受け止められ、公衆衛生政策への信頼低下を招き得ると政府は認識しているか。認識の有無とその理由をそれぞれ示されたい。
四 感染症のリスク評価が更新される度、政府は速やかに国民へ情報提供を行う必要があると考えるが、どのような指標(重症化率、医療逼迫度、ワクチン有効性等)のもと政府広報が行われているか示されたい。
五 感染症に限らず、専門家がエビデンスに基づき行う発言がリスクの状況に応じて合理的に変遷する場合、その背景を十分に説明しなければ誤解を招くと考えるが、現行のリスクコミュニケーション体制が十分であると評価しているか。評価の根拠とともに示されたい。
六 政府広報もしくは科学コミュニケーターに準ずる者が専門家発言を補足する際、誤情報拡散防止の観点から、どのようなチェック体制(複数名レビュー、いわゆるファクトシート公開等)が必要と考えるか。
七 政府は、公衆衛生政策等における社会的伝達を橋渡しする科学コミュニケーターを恒常的に配置する制度を設ける必要があると考えるか。必要性の有無と理由をそれぞれ明らかにされた上で、科学コミュニケーターを配置する場合、その選任基準(専門性、倫理規範、報道経験等)と所管府省庁をどのように想定するか、それぞれ示されたい。
八 公衆衛生政策に限らず、政府の要職において危機管理政策を担った専門家が離職後に見解を更新する可能性を踏まえ、エビデンスに基づく政策立案の信頼性を確保するため、専門家見解の変遷をどのような手続で記録、検証し、政策に反映しているか。
九 危機管理政策の専門家の見解の変遷に伴い政策修正が必要となった場合、政府は国民および国会に対して、どのようなタイミングで情報を開示し、透明性を担保しているか。

 右質問する。

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