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令和七年六月十七日提出
質問第三三六号

いわゆるステルス値上げの実態把握及び制度的対応に関する質問主意書

提出者  杉村慎治




いわゆるステルス値上げの実態把握及び制度的対応に関する質問主意書


 近年、企業が原材料高騰や人件費上昇、円安などの影響を受ける中、価格据置きのまま内容量や容量を減らす、いわゆるシュリンクフレーション(ステルス値上げ)が広範に観察されている。SNSや物価モニター調査(平成三十年七月及び令和四年一月)でも、生活者の約八割以上が実質値上げを感じており、その背景や理由を「丁寧に説明してほしい」と求めている状況が確認されている。
 一方で、政府の物価統計(総務省統計局「消費者物価指数(CPI)」)においては、量目減少が補正される仕組みがあるとされるが、容量比換算・いわゆるヘドニック法・いわゆるオーバーラップ法等の調整手法が必ずしも生活実感を十分に反映していない可能性が指摘される。また、基準改定が五年ごとのため、いわゆるPOSデータ活用などの統計技術の進歩にもかかわらず、実質値上げの反映が遅れる懸念がある。
 さらに、量目変更を隠して販売を継続する企業が、正直に値上げを行った企業より競争上有利になるという不公正競争の問題もあり、いわゆる景品表示法上の「不当表示」に該当し得るのではないかという声もある。消費者庁長官記者会見(令和四年一月十九日)では、デジタル技術を活用した食品表示アプリなど、消費者が量目変更情報を把握しやすくする仕組みの検討状況が報告されており、今後の制度整備が注目される。
 政府がステルス値上げの実態を把握し、量目変更の透明化や適正表示を促進することは、生活者保護のみならず、正直な価格転嫁が行える健全なインフレ目標の達成、ひいては企業の持続的成長に資するものである。これらを踏まえ、以下の事項について政府に対し質問する。

一 実質価格変動と統計制度との乖離について
 1 いわゆるシュリンクフレーションによる単位価格の上昇が、消費者物価指数(CPI)にどの程度正確に補捉されていると政府は認識しているか。菓子、飲料、日用品等の具体品目を挙げ、近年の物価モニター調査結果と併せて生活者の実感との差異をどう評価しているか示されたい。
 2 容量や重量が変更された場合、容量比換算やヘドニック法、オーバーラップ法、いわゆるインピュート法等を用いた品質調整によって統計的補正が行われると承知しているが、こうした補正手法の技術的限界と生活実感との齟齬について、政府の認識を示されたい。
 3 POSデータや業界紙、企業公式サイト等を活用した銘柄選定・調査対象切替の基準並びに品目除外時の指数継続性の確保について、統計局がどのように運用しているか示されたい。また、基準改定五年周期による実質値上げの反映遅延問題に対して、国際標準的ないわゆる連鎖基準指数導入を検討する考えはあるか。
 4 企業物価指数の上昇と、容量減少等のステルス値上げを含めたCPI上昇率との差異が拡大しているとの指摘があるが、政府はその分析結果及び政策判断にどのように反映させているか示されたい。
 5 平成二十五年一月二十二日付「政府・日本銀行の政策連携に関する共同声明」における「物価安定目標二%」の達成状況評価に当たり、容量減少等による実質値上げ分と純粋な価格改定分を分離し、生活者に説明責任を果たす考えはあるか。
二 消費者の生活実感と政府による把握状況について
 1 政府は、SNS投稿や物価モニター調査(平成三十年及び令和四年)において、「実質値上げが増えた」と感じる生活者の声や「理由の説明を求める」との声が増加している実態をどのように把握し、政策立案に反映しているか示されたい。
 2 内閣府及び消費者庁は、購買行動や心理的影響に関する調査を実施した実績があるか。今後、ステルス値上げが家計負担に及ぼす影響を把握する調査を行う予定はあるか。
 3 全国消費実態調査や家計調査において、単位価格や内容量変化を捕捉するための設問導入の進捗状況を示されたい。
三 表示義務と企業努力のバランスに関する制度設計について
 1 企業が量目変更を行う際、表示を求めるガイドラインの整備状況と、実効性確保のための監視・指導体制を政府はどう評価しているか。
 2 内容量変更時の店頭単位価格表示義務を含む法制化について、事業者の自主性との均衡を図りつつ、今後の制度整備方針を示されたい。
 3 量目変更を明示して適正表示に取り組む事業者を評価する優良表示認定制度等、インセンティブ導入の検討状況を示されたい。
 4 令和四年一月十九日の消費者庁長官会見で言及された「デジタルとリアルを融合した表示」(食品表示アプリ等)について、量目変更・単位価格情報を消費者が容易に取得できる仕組みの導入計画と時期を示されたい。
四 公正取引と表示の適正性に関する法的観点について
 1 量目変更を秘匿したまま販売を継続する行為が、景品表示法上の不当表示(優良誤認又は有利誤認)に該当する可能性について、政府の法的見解を示されたい。
 2 公正取引委員会及び消費者庁は、量目変更表示の適正化を推進するためのいわゆる共同タスクフォースを設置し、企業への監視・指導、違反時の公表措置等を行う考えはあるか。
 3 過去五年間において、量目・内容変更表示に関する調査又は指導事例があれば件数及び事業分野を、それぞれ可能な限り示されたい。
 
 右質問する。

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