質問本文情報
令和七年八月一日提出質問第二号
「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」に関する質問主意書
提出者 松尾明弘
「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」に関する質問主意書
出入国在留管理庁(以下「入管庁」という。)は、令和七年五月二十三日に「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」(以下「ゼロプラン」という。)を公表した。しかしながら、入管庁の公表した資料はわずか二頁のみであり、ゼロプランの対象の定義や範囲についての詳細な説明はなく、運用の透明性に疑義がある。以下、ゼロプランに関して質問する。
一 ゼロプランにおいては、「ルールを守らない外国人」が国民の不安の原因であり、「速やかに我が国から退去させる」こととされている。
1 「ルール」とは、法律に定められた行為義務・遵守事項のことを指すのか、それとも広く社会規範・慣習・行政上の基準などを含むのか、具体的な定義を示されたい。
2 「ルールを守らない」とは、誰がどのように判断するのか。判断する主体及びその基準・要件を具体的に示されたい。
3 2の判断の結果は、ゼロプラン策定以降の入管庁の運用において、行政処分・退去強制手続にどのように影響することとなるのか。政府の見解を示されたい。
4 1から3までの内容及び運用状況は、速やかに公表すべきと考えるが、公表の予定の有無について伺う。また、公表するとすれば、いつ、どのように公表するのか。
二 ゼロプランの前提となる「国民の間で不安が高まっている」状況とは、どのような根拠に基づくものか。具体的な世論調査、事件統計、報道分析などの有無及び内容を明らかにされたい。
三 ゼロプランは、「誤用・濫用的な難民認定申請を繰り返している者を含め、」ルールを守らない外国人を対象とするとしているが、その範囲が必ずしも明らかではない。
1 「誤用・濫用的な難民認定申請を繰り返している者」の他にどのような類型の外国人が対象になるのか、具体例を示されたい。
2 令和六年末時点で明らかに誤用・濫用的な案件として振り分けられた「B案件」の件数は八十件である(参議院議員石橋通宏君提出我が国における難民認定の状況に関する質問に対する答弁書(内閣参質二一七第一九一号))が、初回申請者であっても「誤用・濫用的」として「B案件」に振り分けられるのか。振り分けられるとすれば、八十件のうち初回申請者による申請は何件か。また、再申請、再々申請等申請回数別の件数についても併せて示されたい。
3 「B案件」の類型化の具体的基準と基準策定の根拠を示されたい。特に、類型化の前提となる出身国情報等の公開状況について説明されたい。
4 三回の難民不認定処分を受けながらも、裁判で難民と認められたケースがあることから、B案件を類型化しても、「B案件」に該当するとされる者に対する適正手続が保障される必要性に変わりはない。運用変更後の申請者の反証機会の有無及び手続について明らかにされたい。
右質問する。