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令和七年十月二十一日提出
質問第一二号

盗撮犯罪の被害拡大に対応する包括的法整備に関する質問主意書

提出者  八幡 愛




盗撮犯罪の被害拡大に対応する包括的法整備に関する質問主意書


 近年、性的姿態等撮影罪に該当する犯罪となる、胸やでん部、スカートの中などを盗撮する犯罪は急速に拡大し、その悪質化・巧妙化により、被害者は深刻な心の傷を負っている。被害に遭った方々は、自らの尊厳を踏みにじられた苦痛に加え、映像が拡散することで再び傷つけられる「二次被害」に日々さらされている。さらに、その苦悩は被害者本人にとどまらず、家族や周囲の人々にも広がり、家庭生活や学校・職場において長期的な影響を残すと承知している。
 特に、違法に撮影された画像や動画が海外サーバーなどにアップロードされ、被害者がどれほどの努力をしても完全に削除できない現状は、人間の尊厳を根底から脅かすものである。家族が被害者を支えようとしても、その痛みを共に抱えながら生活を続けざるを得ない状況が生まれており、社会全体の支援体制の整備が急務であると考える。
 しかしながら、こうした極めて厳しい状況にあっても、人間には「レジリエンス(回復する力)」がある。被害者や家族が再び社会とつながり、自らの尊厳を取り戻すためには、刑罰の強化だけでなく、心の回復と社会的支援を重ねていく包括的な政策が求められると考える。
 一方で、刑罰の一律な重罰化は、事案の多様性に即した柔軟な司法運用を妨げ、社会復帰や更生の機会を奪うおそれもある。
 被害者の尊厳を守りながら、加害者の再犯防止と社会的更生を両立させることが、真に人間の尊厳を守る法体系の姿であると考える。
 よって、以下、政府に質問する。

一 盗撮犯罪に関する法体系の整理について
 1 現行の法制度では、軽犯罪法、迷惑防止条例、「撮影罪」など複数の規定が並立し、地域差や運用の不統一を招いている。盗撮犯罪に関する法規定を一元的に整理し、全国で統一的に運用できる体制を整える必要性について、政府はどのように認識しているか。
 2 法制度を改正するにあたっては、一律の重罰化ではなく、被害態様や加害者の属性に応じて適切な量刑判断を可能とする制度的余地を残すべきと考えるが、政府の見解如何。
二 職務・立場を悪用した盗撮犯罪への対応について
 1 公務員、教職員、医療従事者など、社会的信頼に基づく立場を利用した盗撮犯罪が報告されている。政府は、こうした職務悪用型の犯罪が有する特別な加害性をどのように評価しているか。
 2 盗撮などの性犯罪で逮捕された公務員の依願退職及び退職金支給に関し、処分確定前に一律停止とする仕組みは推定無罪原則との関係で問題があると考えるが、政府の認識はどうか。
三 日本版DBS制度の改善について
 1 現行の日本版DBS制度は対象が限定的であり、職域を悪用した性犯罪や、性的動機による器物損壊等は十分にカバーされていない。制度の対象範囲をどのように拡大・改善していく方針か。
 2 一方で、すべての性犯罪者を無期限に職業制限の対象とすることは更生を妨げるおそれがある。比例原則や期間制限を設けるべきと考えるが、政府の見解如何。
四 盗撮画像及び盗撮動画の流通販売への対応について
 1 盗撮画像及び盗撮動画を売買する違法な取引について、政府は、その市場規模や実態を把握しているか。把握しているのであれば、可能な限り示されたい。
 2 政府は、盗撮画像及び盗撮動画で得た違法収益の没収を強化する方針はあるか。
五 被害者及び被害者家族の支援について
 1 政府は、盗撮被害者及び被害者家族に対する心理的・社会的支援体制をどのように整備しているか。
 2 盗撮被害者が相談や削除要請などを行う際、家族も同時に支援を受けられる仕組みを設ける必要があると考えるが、政府の見解如何。
 3 被害者家族が誹謗中傷やプライバシー侵害を受けた場合、国として法的・実務的に支援できる制度を構築する考えはあるか。
六 海外サーバーにアップロードされた盗撮画像の削除対応について
 1 政府は、海外サーバーにアップロードされた国内発の盗撮画像・動画を削除するため、どのような外交的・法的手段を講じているか。可能な限り示されたい。
 2 各国政府やプラットフォーマーなどと連携し、削除要請やブロッキング措置を進める国際協力体制を強化する考えはあるか。
七 再犯防止策について
 1 認知行動療法などの再犯防止プログラムは、科学的根拠に基づく有効な手段として注目されているが、政府は、こうした治療的介入をどのように位置づけているか。
 2 現在、盗撮を含む性犯罪加害者に対して、認知行動療法やその他の心理的介入がどの程度導入され、どのような成果や課題が明らかになっているか可能な限り示されたい。
八 加害者の社会復帰と家族支援について
 1 政府は、加害者の社会復帰を支える心理療法・就労支援等の仕組みをどのように整備する考えか。
 2 加害者家族の孤立や経済的困難を防ぐ必要性について、どのように考えるか。政府の見解を示されたい。
九 民間団体への支援について
 盗撮防止や被害者支援に取り組む民間団体は、独自にデータ収集や啓発活動を続けてきた。こうした団体に対し、公的助成や調査研究費などの支援を行う必要性について、政府はどのように認識しているか。
 
 右質問する。

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