質問本文情報
令和七年十月二十四日提出質問第二一号
株式会社オルツへの政府支出に関する質問主意書
提出者 八幡 愛
株式会社オルツへの政府支出に関する質問主意書
報道によれば、AI技術を開発・提供する株式会社オルツ(以下「オルツ社」という。)において、会計処理等に関する不正の疑いが指摘され、元代表取締役社長らが逮捕されたことが明らかとなっている。また、同社の元幹部が内部告発を行い、売上の過大計上や循環取引等に関する具体的証言を提出した旨も報じられている。さらに、オルツ社において、過去の決算で計上された売上高の最大九割が過大計上であったとも指摘されている。
これらの報道を総合すれば、同社の財務状況において政府や公的機関からの契約・支出が占める割合は相当程度に上る可能性が高く、政府によるAI関連企業への支援決定の判断過程そのものの制度的な瑕疵について検討するべきであると考える。
もっとも、刑事手続が進行中である以上、推定無罪の原則を尊重することは当然である。したがって、本質問主意書は、政府がオルツ社又はその関連会社に対して行った、もしくは関与したとされる公的支出の全体像を確認し、国民への説明責任を果たすために提出するものである。
以上を踏まえ、政府に質問する。
一 政府による支出・補助・採択・委託等の全体像について
1 政府又はその所管法人・独立行政法人等が、オルツ社又はその関連会社に対して、研究開発支援、補助金、助成金、委託契約、採択事業、実証実験、あるいはその他の公的支出を行った事例があれば、その制度名、所管官庁、支出の目的、審査基準、実施時期、金額及び支出根拠などを可能な限り示されたい。
2 前記支出に関し、政府として現時点で不適切な経理処理・契約上の問題を把握しているか。
二 政府機関における「AI GIJIROKU」導入の実態について
1 オルツ社の提供する「AI GIJIROKU」が、中央省庁、独立行政法人又は地方公共団体において導入されているか。導入済みの各機関の名称、導入年度、契約形態(随意契約・入札等)、契約金額をそれぞれ可能な限り示されたい。
2 導入の目的及び運用範囲(庁内会議・審議会・政策形成会議・委託会議等)を具体的に説明されたい。
3 「AI GIJIROKU」を導入した経緯において、他社製品との比較検討を行ったか。行っていない場合、その理由を示されたい。
4 導入後に、技術的なトラブルが報告された事例があるか。
5 政府として、「AI GIJIROKU」の導入を通じて得られた効果やコスト削減効果などを検証しているか。検証しているならば、その検証結果を公表する意思があるか。
三 生成AI開発支援事業による支援・補助との関係について
1 オルツ社が経済産業省及び国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の実施する生成AI開発支援事業(GENIAC)等に採択された経緯及び支援内容をそれぞれ可能な限り示されたい。
2 同事業における支援金額又は提供リソース(計算資源等)の詳細、及びその成果報告書の提出状況を可能な限り明らかにされたい。
四 支出に対する監査・審査体制の適正性について
1 AI関連事業を含む公的支出の審査において、政府は企業の会計の健全性・内部統制・ガバナンスをどのように確認しているか。
2 今般のオルツ社に関する逮捕・内部告発を踏まえ、支出決定前後の監査プロセスに不備がなかったか、点検を行う考えがあるか。
3 今後、AI分野のベンチャー企業への公的支出にあたり、外部監査・再発防止措置等を制度的に強化する必要はないか、政府の見解を示されたい。
五 政府主催会合・広報活動等におけるオルツ社の出席状況について
1 オルツ社又は同社関係者が、政府主催又は共催の会議、シンポジウム、説明会、ヒアリング等において発表・登壇・説明を行った事例があるか。ある場合は、開催年月日、会議名、主催機関、出席者及び発表内容を可能な限り明示されたい。
2 こうした機会が企業の宣伝や政策的影響力の獲得に利用されないよう、政府としてガイドラインを設けているか。
六 過去十年間における政務三役とオルツ社関係者との公務上の接触について
過去十年間において、現職及び当時在任していた歴代の大臣、副大臣及び大臣政務官が、公務としてオルツ社又は同社関係者と面会、意見交換、行事参加、会議出席等を行った事実があるか。ある場合には、その年月日、会合名、出席者及び目的を可能な限り示されたい。
右質問する。

