衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ
令和七年十一月五日提出
質問第四四号

「次世代の動力」の自衛隊潜水艦への活用に関する質問主意書

提出者  宮川 伸




「次世代の動力」の自衛隊潜水艦への活用に関する質問主意書


 防衛省の「防衛力の抜本的強化に関する有識者会議」は二〇二五年九月十九日に発表した報告書(以下報告書)で「長射程のミサイルを搭載し、長距離・長期間の移動や潜航を行うことができるようにすることが望ましく、これを実現するため、従来の例にとらわれることなく、次世代の動力を活用することの検討も含め、必要な研究を進め、技術開発を行っていくべき」と提言した。また、小泉進次郎防衛大臣は十月二十二日の記者会見で「現時点で、潜水艦の次世代の動力の活用について決定されたものはありませんが、我が国の抑止力を向上させていく上では、VLS搭載潜水艦の開発を含む、将来の能力の中核となるスタンド・オフ防衛能力の強化は不可欠であります。その面で言えば、あらゆる選択肢を排除せず、抑止力・対処力を向上させていくための方策について検討していきたい」と発言した。
 一方、一九六五年四月十四日衆議院科学技術振興対策特別委員会で愛知揆一科学技術庁長官は「原子力基本法第二条には、「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り、」云々と規定されており、わが国における原子力の利用が平和の目的に限られていることは明らかであります。したがって、自衛隊が殺傷力ないし破壊力として原子力を用いるいわゆる核兵器を保持することは、同法の認めないところであります。また、原子力が殺傷力ないし破壊力としてではなく、自衛艦の推進力として使用されることも、船舶の推進力としての原子力利用が一般化していない現状においては、同じく認められないと考えられます。」と答弁した。近年でも、二〇一七年六月六日参議院外交防衛委員会で稲田朋美防衛大臣は「原子力基本法第二条で、原子力の研究、開発、利用は平和の目的に限るというふうに規定をされています。そして、この規定の解釈として、昭和四十年に愛知科学技術庁長官が答弁において、原子力が殺傷力ないし破壊力としてではなく、自衛艦の推進力として使用されることも、船舶の推進力としての原子力利用が一般化していないこの現状においては同じく認められないと、このように解釈をしている」と、当時の政府解釈が継続している旨答弁している。
 唯一の戦争被爆国であり、核兵器廃絶の先頭に立つべき日本が、福島第一原発事故以降原子力自体の安全性、合理性に大きな疑いがある中、平和利用の原則さえなし崩し的に捻じ曲げていくことは到底許されない。
 そこで、「次世代の動力」を、自衛隊潜水艦の推進力としての活用を検討することについて、質問する。

一 一九六五年の愛知揆一科学技術庁長官、また二〇一七年の稲田朋美防衛大臣の答弁「原子力が殺傷力ないし破壊力としてではなく、自衛艦の推進力として使用されることも、船舶の推進力としての原子力利用が一般化していない現状においては、同じく認められない」は、現時点でも政府の見解と考えてよいか。
二 右答弁の「船舶の推進力としての原子力利用が一般化した状況」とはどのような状況を想定しているのか。一九六五年小泉純也防衛庁長官は、衆議院本会議で「世界の商船のすべてが原子力を推進力とするというような時代」、また衆議院科学技術振興対策特別委員会で「原子力というものはもうあらゆる船舶、艦艇、それこそどうかといいますと、漁船に至るまですべてに原子力推進力を利用するというような事態」と、「世界の商船のすべて」「漁船に至るまで」が原子力を推進力とするような状況と具体的に例示している。現時点で、船舶の推進力としての原子力利用はとうてい一般化した状況ではないと考えるがどうか。
三 報告書では、「潜水艦は(中略)長射程のミサイルを搭載し、長距離・長期間の移動や潜航を行うことができるようにすることが望ましく、これを実現するため、従来の例にとらわれることなく、次世代の動力を活用することの検討も含め、必要な研究を進め、技術開発を行っていくべき」と述べている。
 1 「次世代の動力」とは、具体的にどのような動力を想定しているのか。
 2 すでに七十年以上利用されている原子力は、「次世代の動力」に該当しないと考えるが、どうか。
 3 万が一「次世代の動力」に原子力が含まれるとするなら、原子力基本法に反する政策を、法改正もないまま、政府として検討することは不適切と考えるがどうか。
 4 小泉進次郎防衛大臣は記者会見で、潜水艦の動力について「あらゆる選択肢を排除せず、抑止力・対処力を向上させていくための方策について検討していきたい」と述べている。「あらゆる選択肢」にはどのような動力が考えられるのか。
 5 万が一「あらゆる選択肢」に原子力が含まれるとすれば、原子力基本法に反する政策を、法改正もないまま、政府として検討することは不適切と考えるがどうか。
 
 右質問する。

経過へ | 質問本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.