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令和七年十二月九日提出質問第一二七号
病床数に係る制度の事実確認に関する質問主意書
提出者 橋本幹彦
病床数に係る制度の事実確認に関する質問主意書
質の高い医療を安定的かつ計画的に提供するため、我が国では、医療計画が策定され、各地域の病床数が調整されている。医療計画における基準病床数及び地域医療構想における必要病床数は、厚生労働省が定めた全国統一の算定方法により、人口動態や医療需要などのデータに基づき算出されている。これらの制度は、限られた医療資源を適正に配分し、質の高い医療を安定的かつ計画的に提供するとともに、証拠に基づく政策決定(EBPM)を推進し、一部の利害関係者の働きかけによって政策決定が歪むことを防ぐ機能を果たしている。
また、厚生労働省の「地域医療構想を踏まえた病床の整備に当たり都道府県が留意すべき事項について」(平成二十九年六月二十三日医政地発〇六二三第一号厚生労働省医政局地域医療計画課長通知)において、追加的な病床の整備の必要性については、既存病床数と基準病床数の関係だけではなく、必要病床数との関係でも慎重に検討する必要があるとされているように、既存病床数が基準病床数を下回っているからといって、都道府県や市町村は一概に基準病床数まで病床数を増加させることが求められているものではないと承知している。
なお、地域医療構想を推進する中で、我が国全体の病床数は結果として削減する方向にあるが、これは、我が国の人口当たり病床数が諸外国と比較して多いことを勘案すると、病床数のみならず、介護や地域交通の充実を含めた地域医療を推進し、ひいてはワイズスペンディング(賢い支出)を指向するものと評価できる。
しかしながら、一部の地域において、必要病床数との関係や地域全体の医療提供体制に与える影響を十分に検討することなく、特定の首長や議員が、あたかも自らの働きかけによって病床数を加増させられるかのように公言し、住民に誤解を与えている事態が散見される。これは、地域における良質かつ適切な医療提供体制の確保の観点にも、我が国全体における医療費の適正化の観点にも反するのみならず、行政の公平・公正の原則に対する国民の理解を歪めている。
かような事態の混乱を収束すべく、ここに現行制度に関する政府の見解を質問する。
一 基準病床数及び必要病床数などを定める医療計画の策定の主体は、都道府県であるか。
二 都道府県や市町村は、既存病床数が基準病床数を下回る場合には、基準病床数まで病床数を増加させるように取り組むことが法律上求められているか。
右質問する。

