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令和七年十二月九日提出
質問第一三〇号

PFAS(有機フッ素化合物)評価書及び対策に関する再質問主意書

提出者  宮川 伸




PFAS(有機フッ素化合物)評価書及び対策に関する再質問主意書


 令和七年十月三十一日提出の質問主意書に対する内閣からの答弁書(以下「答弁書」)を十一月十四日受領した。答弁内容に多くの疑義がある。
 したがって、次の事項について再質問する。


 1 「答弁書」回答一の3の(2)において、松下玲子議員との二〇二五年六月三日環境委員会の質疑の中で、メールの保存期間を一年未満とした理由としての「それが反映された文書というものが外向きの説明責任を果たすための文書として保存されるということをもって、その大本のメモについては、保存期間一年未満」「資料の作成を目的として一時的に作成されたメモ等で、目的の資料に内容が反映されたものについては、(中略)保存期間一年未満」との食品安全委員会事務局の答弁の内、「反映された文書の保存」「目的の資料に内容が反映」などの部分は文書の保存期間を一年未満とする法的理由にはなりえないと理解してよいか。改めて質問する。
 2 法的根拠がないなら、法的に不正確な答弁がそのまま存在することは不適切なので、本再質問への答弁書で明確に訂正されたい。

 「答弁書」は、委員手当、謝金、旅費を国庫から支出し、二十四回にわたって開催された「非公開会合」は、二〇二四年六月の「有機フッ素化合物(PFAS評価書)」(以下評価書)の方針等に影響を及ぼしていないとの前提で、文書の作成、保存などについて答弁している。「非公開会合」が、「評価書」の方針に一切影響を及ぼしていないなど、常識的に理解できる回答ではない。例えば、PFOAと腎臓がんの発がん性の有無について論点を絞っても、「評価書」(案)に記された評価は変遷しており、「公開会合」では説明されていない。以下質問する。
 1 令和五年七月二十七日開催の第八回「非公開会合」で配布された「評価書」(案)の十一ページには「PFOAについて、腎がん、精巣がん、乳がんについて、ヒトに対しておそらく発がん性があると考えられ」と述べている。ところが、第三回「公開会合」を経た、九月二十八日開催の第十三回「非公開会合」の「評価書」(案)の十四ページには「PFOAについて、腎がん、精巣がん、乳がんについて、質の高い疫学研究やメタ解析で正の関連が報告されているものの、偶然性、バイアス、交絡を合理的な信頼性を持って排除することはできないことや、メカニズムの説明が十分でないことを踏まえると、証拠は限定的である」と表記が変遷している。この間唯一開催された第三回「公開会合」の議事録においてこの表記の変遷についての発言はない。「評価書」(案)の表記の変遷は、どの会合における誰のどのような発言を契機とするのか。
 2 十二月二十日開催の第二十回「非公開会合」配布の「評価書」(案)は、再び「PFOAと腎がん(中略)との関連については、知見に不確実性や一貫性の問題があるものの、関連する可能性は否定できないと判断した」とあり、再び関連性を認める表記となっている。この間開催された第四回、第五回「公開会合」の議事録には、この表記の変遷についての発言はないと理解する。あるなら適示せよ。ないなら、この表記の変遷は、どの会合における誰のどのような発言を契機とするのか。
 3 令和六年一月十五日開催の第二十二回「非公開会合」配布の「評価書」(案)は、さらに「PFOAと腎がん(中略)との関連については、知見や不確実性に一貫性の問題があり、関連を判断するのは困難である」と表記が一変している。この間開催された第六回「公開会合」の議事録には、この表記の変遷についての発言はあるか、あるなら適示せよ。ないなら、この表記の変遷は、どの会合における誰のどのような発言を契機とするのか。
 4 九月二十八日開催の第十三回「非公開会合」の「評価書」(案)の十五ページから十七ページにかけて、六月二十二日及び七月二十七日の「非公開会合」(打合せ会)での参加者のコメントが黒塗りで表記されている。これらのコメントを「評価書」(案)に挿入した理由はなにか。
 5 このように、PFOAと腎臓がんの発がん性の有無に論点を限ってみても、「評価書」(案)の評価が変遷している。だが、「公開会合」の議事録には評価が変わった理由について記載はない。「非公開会合」で、「評価書」(案)の内容について意見が交わされたと考えるがどうか。

 1 「答弁書」回答二の1において、「「「評価書」が参照した米国環境保護庁(EPA)文書(参照番号二百六十二、二百六十三)」においては、「PFOS曝露と膀胱がんの関連について、「高曝露地域については、もっともらしい証拠がある」」ことを意味する記載はあるが、」と回答している。この認識に基づけば、「評価書」の「血清PFOS及びPFOA濃度と膀胱がんの関連の報告はなかった」との記載は、誤り又は事実ではなかったと認めるか。
 2 「答弁書」回答二の1において、以下のとおり回答しており、その論理構成は極めて不可解である。「「「評価書」が参照した米国環境保護庁(EPA)文書(参照番号二百六十二、二百六十三)」においては、「PFOS曝露と膀胱がんの関連について、「高曝露地域については、もっともらしい証拠がある」」ことを意味する記載はあるが、「アレクサンダー他(二〇〇三年)」及び「アレクサンダー・オルセン(二〇〇七年)」において、「PFOS曝露と膀胱がんの関連について、「高曝露地域については、もっともらしい証拠がある」としている」事実はないと承知している。」とあるが、前段で「記載はある」ことを認めた上で、後段で「事実はないと承知している」という、理解しにくい回答となっているが、「記載はある」が、「事実はないと承知している」とはどのような意味か。詳しく説明せよ。

 「答弁書」回答三について、「バリー他論文(二〇一三)(参照番号二百二十一)」のSUPPLEMENTAL MATERIALのTableS3では、communityのkidney-10yr-lagで腎臓がんが有意に増加していることを報告している。(P値=〇・〇二)それにもかかわらず、「評価書」において「関連がなかった」とされるのはなぜか。

 「答弁書」回答二の3において、「お尋ねの「アレクサンダー氏の継続研究」の具体的に意味するところが明らかではない」とされたので、以下具体的に明示する。論文「Alexander et al.2024」が、二〇二四年「評価書」決定前に出版され、「PFOSへの職業曝露が膀胱がん、肺がん、及び脳血管疾患と関連している」と表記している。この論文及び表記の存在を、政府が認識したのはいつか。「評価書」にこの論文の内容を反映できなかったのは、なぜか。

 1 「答弁書」回答四の3について、「令和七年二月十八日に開催された第九百七十二回食品安全委員会(以下「第九百七十二回食品安全委員会」という。)において、PFASに係る食品健康影響評価の結果に影響を与える新たな科学的知見はないことが確認されている。」とあるが、本委員会議事録における、十ページの祖父江委員の発言、十一ページの頭金委員の発言を指すという理解でよいか。
 2 そうであれば、祖父江委員の発言には「今回改めて評価書作成後の関連文献を収集いたしました」とある。収集した文献、論文名を述べよ。
 3 また、祖父江委員は「頭金委員と共に関連する分野の専門の先生のご意見を伺った上で」と発言し、頭金委員も「関連する分野の専門の先生のご意見を伺った上で確認いたしました」と述べているが、専門の先生とは誰か。どのような形式で意見を伺ったのか。謝金を支払った事実はあるか。本来、PFASワーキンググループを開催して議論すべきであったと考えるが、PFASワーキンググループを開催しなかったのはなぜか。
 4 祖父江委員の「今のところTDIを見直す必要性につながる論文は見られておりません」及び頭金委員の「現時点で説明しておいた方がよい文献は特にない」との発言は、食品安全委員会の議決を経た発言か。そうでないとすれば、委員二名の発言が食品安全委員会及び内閣の見解として「確認されている」との「答弁書」の回答となっているのはなぜか。
 5 祖父江委員は、「今のところTDIを見直す必要性につながる論文は見られておりません」と述べる一方、二〇二四年九月に発表された母親のPFASばく露と子供の染色体異常に関するエコチル調査については、「質の高い研究により関連がありと示された重要な結果」と認めている。
  約二万五千人の内、染色体異常が観察されたのは四十四例で、統計的な不確実性が大きいとも指摘しているが、この数字で統計的な不確実性が大きいとする根拠を説明せよ。
 6 また、祖父江委員は「妊娠十二週以前に流産をした妊婦が含まれていない」とも指摘しているが、「妊娠十二週以前の流産」の原因は染色体異常が多くを占めることから、これが含まれるとPFASばく露と子供の染色体異常との関連はより強く示されることはあっても、関連が否定される可能性はきわめて低く、論文の問題点の指摘としては不適切だと考えるがどうか。

 1 「答弁書」回答五の1について、「前段のお尋ねについては、御指摘の「評価書」の記載のとおり、「調査」が必要であると考えている。」との部分は評価する。一刻も早く血中濃度について、PFASの摂取量と血中濃度の関連について、疫学的手法により計画的に調査することが必要である。後段で「後段のお尋ねについては、例えば、環境省においては、PFASの血中濃度と健康影響との関係について、国内外の知見の収集や科学的に評価が可能な疫学調査を推進している等」とあるが、具体的にはどのような調査か。開始時期と具体的内容、今年度予算額を答えよ。また、「関係府省庁において、PFASに係る食品健康影響評価の結果に基づき、必要な調査を実施しているところである。」とあるが、すべての省庁名と調査の開始時期、具体的内容、今年度予算額を答えよ。
 2 現在実施している各種調査は、「PFASの摂取量と血中濃度の関連についての疫学的手法による計画的に調査」とは必ずしも言えず、新たな枠組みでの本格的な調査が、必要と考える。PFAS汚染地域について、血液中に高濃度のPFASが検出されている住民が多数いる。この方々の健康管理を行うためにも、この方々を中心に据えた研究調査を行うべきと考えるが、政府は既にそのような研究調査を行っているか。行っていなければ、その理由は何か。行うべきと考えるが、見解を示されたい。
 3 血液中に高いPFASが検出されている群と、PFAS汚染地域外のPFASがほとんど血液中に検出されていない群の比較をする研究調査がもっとも重要と考える。このような研究調査を計画的に政府は行っているか。行っていなければ、その理由は何か。行うべきと考えるが、見解を示されたい。

 右質問する。

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