衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
令和七年十二月十日提出
質問第一三六号

女性が安心して起業に挑戦できる環境の構築に関する質問主意書

提出者  水沼秀幸




女性が安心して起業に挑戦できる環境の構築に関する質問主意書


 スタートアップは、イノベーションや明日の大企業の創出など、経済の活性化を担う重要な存在である。日本ではスタートアップに対してこれまでさまざまな促進策が講じられてきたにもかかわらず、いまだ世界におけるスタートアップ後進国の地位から脱することができていない。二〇二四年における世界のスタートアップ投資額に占める日本のシェアは一・二%にすぎなかった。同年の世界全体の名目GDPに占める日本のシェアは三・六%であり、経済規模に比べてスタートアップのプレゼンスが小さいことが示唆される。
 起業家の少なさには複数の要因が考えられるが、その一つが、人口の半分を占める女性がスタートアップの起業にほとんど乗り出していないことである。米欧諸国でも女性のスタートアップ起業家の少なさが問題になっているが、日本の少なさは突出している。金融庁の調査によると、二〇一九年に資金調達を行った上位五十社のうち創業者に女性が含まれるスタートアップは一社のみ、二〇二一年に新規株式上場した企業に占める女性社長の割合も二%にすぎなかった。民間企業が公表した二〇二四年の数字においても、資金調達額と企業評価額におけるそれぞれ上位十社のスタートアップに女性創業者は一人も含まれない。
 日本では、スタートアップを巡る環境が大きく改善したのはここ十年余りであり、男性起業家であっても増加傾向がみられるようになったのは最近になってからである。それ以前は、スタートアップの起業に乗り出す男性は極めて少なく、大卒であれば大多数は新卒で就職し、往々にしてそのまま定年まで働き続けるというライフコースを歩んでいた。
 日本でも、スタートアップの事業環境の改善とともに社会的な認知が進み、雇用の流動化や働き方の多様化と相まって、従来であれば一般的なライフコースを歩むようなタイプの男性でも、スタートアップに就職・転職したり、スタートアップを自ら起業したりするようになった。一方で、女性はスタートアップに就職・転職するようにはなったものの、起業にはほとんど至っていない。理由は多岐にわたるが、とりわけ大きい要因として「たとえ起業を決意したり起業に踏み出したりしても、男性中心のなかで少数派としてさまざまなハードルに直面する」ことが女性起業家の誕生を妨げていると理解している。
 これらのことについて次の質問をする。

一 東京都の研究・教育機関が女性起業家ら百九十七人を対象にした調査(二〇二四年七月公表)によると、五十二・四%が過去一年間にセクハラ被害を受けていたことが公表されている。加害者は投資家やベンチャーキャピタリストが最多で、投資家やベンチャーキャピタル(VC)担当者の中に、立場の強さを悪用し加害行為をする人物の存在が指摘されている。ハラスメント被害への懸念は、女性が起業を思いとどまる大きな要因となっている。また令和七年四月十八日の経済産業委員会において、当時の武藤大臣より「ハラスメント防止を含めたコンプライアンスの確保、これは責任ある企業であるための前提でありますので、スタートアップエコシステムの健全な発展に向けては、官民で連携をしながらハラスメント防止に取り組んでまいりたい」との答弁がなされたが、現時点の政府におけるスタートアップ業界向けのハラスメント防止の取り組み内容を示されたい。
 また経済産業省はスタートアップの起業家やVCでのハラスメントについての実態調査を始める予定であると理解しているが、開始時期や調査対象を可能な限り示されたい。
二 政府が二〇二六年度に新設する予定の独立行政法人「男女共同参画機構」では、専門人材のデータベースを整備することで各地に専門家を派遣する仕組みをつくるものだと理解している。女性起業家へのハラスメント被害が出た場合、支援する投資会社などに対しハラスメント防止研修を実施するものだと理解しているが、政府の見解を示されたい。
 また欧米では、起業家に対するハラスメント問題への対処として、民間団体による問題を匿名で通報することが可能なプラットフォームの形成、VCにおける倫理ガイドライン作成、投資家及び起業家を対象とした研修などが行われるようになっている。日本でも既に、日本ベンチャーキャピタル協会がハラスメント根絶に向けたガイドラインの作成と、会員各社への対応要請などの取り組みを始めている。これに呼応して、政府は国策としてもう一歩踏み込んだ対策に打って出てもよいのではないか。見解を示されたい。
三 世界銀行は、女性の就労や起業を阻害する差別的な法律や慣行を撤廃すれば、世界のGDPを二十%押し上げることが可能だとするレポートを出している。女性がより一層活躍できる社会となれば、日本経済の復活にも大きく寄与すると理解している。他方、現行のハラスメント規制は雇用や請負などの契約関係が前提となっており、起業家の被害は適用対象外にされていると認識している。そのため、起業家へのハラスメントを禁止する旨などを盛り込んだ起業家新法制定に向けた取り組みが重要だと考えるが、政府の見解を示されたい。
 
 右質問する。

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.