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令和七年十二月十日提出
質問第一三七号

タクシーの運賃改定に関する質問主意書

提出者  堀川あきこ




タクシーの運賃改定に関する質問主意書


 タクシー業界ではコロナ禍以降、労働者減少による供給力不足の解消が喫緊の課題となっている。労働者の賃金・労働条件の改善で労働者を確保するとともに、安心・安全の輸送を確立し、安全な移動手段として持続可能なタクシー事業を遂行することを目的として、運賃改定が各地域ですすめられている。
 国土交通省は、運賃改定の公示の際に地方運輸局を通して、「今回の運賃改定要請については、運転者の労働条件の改善が主要な理由のひとつとしてあげられていることを踏まえ、タクシーサービスの質を維持するためには運転者の労働条件について一定の水準を確保することが必要であることを勘案し、実績における運送収入に対する運転者人件費の割合を維持した上で、健全な経営が成立する水準の運賃を設定するという考え方に基づき査定を行ったところです。このため、今回の運賃改定実施により、運転者の労働条件の改善が適切に図られるよう、タクシー協会に対して、「適切に運転者の労働条件の改善措置を講ずること。」「運転者の労働条件改善についての考え方を利用者に対して積極的に表明するとともに、運転者の労働条件の改善状況及び講じた措置等を自主的に公表すること」について指導をすることとしています」との査定の考え方を示している。
 一方、直近二〇二二年の東京都特別区・武三地区の運賃改定では、増収分を労働条件改善に回さず、逆に営業収入に一を切る係数(〇・九五八五)を乗じて営業収入を書き換え、労使協議もなく賃下げを強行した事業者に対して、関東運輸局が明確な指導を実施しなかったことが、現在の運賃要請にあたり「今回の改定ではノースライド(改定後に歩合率を変更しない)を見直したい」と他の事業者へ波及している。運賃改定が全国的に及ぶことを勘案すれば、こうした事業者を放置しておくことは、タクシー事業の将来にとって重大な災いをもたらすことになりかねない。
 労働条件改善のすべての問題を運賃改定のみで解決できるとは考えないが、運賃問題はタクシーの公共性と社会的使命をいっそう前進させるための政策問題の一環としてとらえるべきであり、タクシー事業者の中に改定趣旨を守らない事業者が存在することは、極めて深刻である。
 以下、質問する。

一 国土交通大臣が認可した運賃による営業収入に対して、係数を乗じるなどで営業収入を書き換える手法を政府はどうとらえているか、政府の見解を明らかにされたい。
二 運賃決定方式である総括原価方式では、諸経費、人件費等々が計上され査定されるが、キャッシュレス決済や配車アプリの手数料なども原価として計上されている。一部の経費分(手数料等)を総営業収入からあらかじめ控除した残額をもって、従来の賃率で賃金計算をおこなうことは、適正性を欠くのではないか。政府は実態をどの程度把握し、どのように指導をしているのか。
 また、今後どのように解決を図ろうとするのか明らかにされたい。
三 右のようなことを容認すれば、真面目に運賃改定に取り組んでいる事業者は損をしていると感じて、同様の行為をおこなう者が現れかねない。実際、現在すすめられている運賃改定において、「改定後に賃率(歩合率)を変えない「ノースライド」を見直す」と表明する事業者が散見されている。この現状に対する政府の見解を明らかにされたい。
四 右のような手法を取ることは、運賃改定の効果が適切に反映されず、改定趣旨や目的に反することとなる。これは、「タクシーのサービスの質・安全性及びタクシー乗務員の労働環境の改善」への適切な反映を期して運賃改定を認めた二〇二二年九月十六日の「一般乗用旅客自動車運送事業(東京都特別区・武三地区)の運賃の改定案に関する消費者委員会意見」をも反故にすることになると考えるが、運賃を認可している国土交通省、及び政府はどう考えるか見解を明らかにされたい。
五 事業者の中には、右に述べたように実質的な労働条件改善を図ろうとしないものが存在する。こうした事業者について、どのように考え、対応していくのか、政府の見解を明らかにされたい。
 
 右質問する。

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