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令和七年十二月十日提出質問第一三八号
文化庁が「クリエーターや権利団体はAI技術や契約の知見が乏しい」と発言したとの報道に関する第三回質問主意書
提出者 八幡 愛
文化庁が「クリエーターや権利団体はAI技術や契約の知見が乏しい」と発言したとの報道に関する第三回質問主意書
私の質問に対する政府答弁書(内閣衆質二一九第七五号)では、文化庁職員をはじめ府省庁職員が有する認識について「「職員」が有する「クリエーターや権利団体」の「AI技術や契約の知見」の程度に係る見解を把握することは困難である。」であるとの回答が示された。
しかし私が確認したいのは、職員個々人の思想ではなく、行政機関としての意思決定において、「クリエーターや権利団体はAI技術や契約の知見が乏しい」との考え方が前提として許容されているのか否かという点である。なぜなら、文化庁の職員がそのように発言したとの報道が現実に存在し、クリエーター達が深く傷ついている現状を放置できないからである。
加えて、文化芸術基本法第二条は、文化芸術に関する施策の推進に当たって、文化芸術活動を行う者の自主性が十分に尊重されること、その創造性が十分に尊重され、その地位の向上及び能力の発揮に配慮すること、文化芸術活動を行う者その他広く国民の意見が反映されるよう十分配慮すること等を基本理念として定めている。
この理念に照らせば、文化芸術活動を担う当事者であるクリエーターや権利団体について、行政が一律に「知見が乏しい」と前提づけることが許容されるのかどうかは、政策形成の在り方や文化行政への信頼に関わる重大な問題であると考える。
前回及び前々回の答弁書において、政府から「文化庁は決して「クリエーターや権利団体はAI技術や契約の知見が乏しい」などという発言をするはずがない」という趣旨の明確な回答が示されなかったことで、文化芸術に携わる者の不信は解消されず、このままでは今後の行政とクリエーターとの協働にも支障を来すおそれがあると考える。
以上を踏まえ、あらためて文化芸術基本法の理念に照らし、行政内部における当該認識の有無やその扱いについて質問する。
一 文化庁職員は、文化芸術基本法に定められた基本理念の精神を遵守し、文化芸術活動を行う者の自主性・創造性の尊重や、その地位の向上及び意見の反映といった理念を踏まえて文化行政を遂行する義務を負うと考えるが、政府の認識如何。
二 「クリエーターや権利団体はAI技術や契約の知見が乏しい」という評価を文化庁職員が行い、マスコミ等を通じて発信することは、文化芸術基本法第二条の基本理念に照らし、許容されるものと政府は考えるか。見解を示されたい。
三 当該報道について、政府の府省庁職員または政務三役が、報道内容を否定する発言を行った事実があるか否か、明らかにされたい。
四 前回答弁書で「「クリエーターや権利団体」が有する「知見」が一般的に「乏しい」との見解を有する「部署」の存在は承知しておらず」と述べられたが、これは(1)部署としての公式見解が存在しないという趣旨なのか、(2)対外的説明や事業運営において、そのような前提が一度も使用されていないという趣旨なのか、いずれかを明確に答えられたい。
右質問する。

