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令和七年十二月十日提出質問第一四〇号
六ヶ所再処理工場継続判断と放射性廃棄物の扱いに関する質問主意書
提出者 佐原若子
六ヶ所再処理工場継続判断と放射性廃棄物の扱いに関する質問主意書
一 六ヶ所再処理工場の平常時被ばくについて
1 六ヶ所再処理工場からは、平常運転時でも大気及び海洋へ多量の放射性物質が放出されると指摘されている。「原発一年分の環境放出量を再処理工場は一日で放出しうる」との専門機関の指摘もある。政府として同工場の放出の実態をどう認識しているのか示されたい。
2 とりわけトリチウムの排出量がけた違いに多いとされている。再処理工場の年間管理目標値は九千七百兆ベクレルであり、福島第一原発事故後の汚染水放出量(約二十二兆ベクレル/年)の約四百四十倍に相当するとの指摘がある。政府はこの比較をどのように評価しているのか、具体的な評価を示されたい。
3 福島第一原発の海洋放出では、近隣諸国から海産物の輸入規制措置が講じられた。六ヶ所の本格稼働においても、同様の国際的措置を惹起し、国内漁業に深刻な損失を与えるおそれがあると考えるが政府の認識如何。
二 六ヶ所再処理工場の抽出プルトニウム及び高レベル放射性廃棄物について
(1) トリチウム放出と抽出プルトニウム量
1 年間九千七百兆ベクレル規模のトリチウム放出が計画されているとの指摘について、人体、海産物への影響評価を具体的数値に基づき示されたい。
2 抽出プルトニウム量は計画変更に伴い八トンから六・六トンに減少しているが本格操業後に再び変更される可能性を排除していないのか、政府の見解を示されたい。
3 プルトニウム保有上限(いわゆるプルトニウム・キャップ)四十七・三トンに対し、二〇二四年度末時点ですでに四十四・四トン保有しているとされる。本格運転で年六・六トン抽出する場合、制度整合性の観点から運転制約が生じると考えるが、政府の総合的見解を示されたい。
(2) 高レベル放射性廃棄液
1 アクティブ試験で四百二十五トンを再処理した際の高レベル放射性廃棄液発生量を具体的に示されたい。
2 同試験で三百四十六本のガラス固化体を製造した時点で使用した高レベル放射性廃棄液量を示されたい。
3 最新の高レベル放射性廃棄液貯蔵量及び最大貯蔵能力を示されたい。
4 安全性確保のため、貯蔵量は青森県民、六ヶ所村民にも透明性をもって公開されるべきと考える。政府の認識を明確に示されたい。
(3) 使用済核燃料の行方
1 再処理工場が運転不能となった場合、覚書に基づき電力会社へ返還する責務が生じると解するが間違いないか。その際、その実効性をどのように担保するのか。
2 再処理が一時的に不能あるいはまったく不能の場合には乾式貯蔵施設増設や直接処分が必要になると考えるが、政府の方策を示されたい。
三 プルトニウムの所在と管理
1 東海再処理工場を含む再処理施設に保管される回収プルトニウム量の内訳(六ヶ所分と東海分)と、盗難、テロ対策等の安全確保措置の具体的内容を示されたい。
2 再処理施設において分離・転換されていても脱硝して酸化プルトニウムになっている硝酸プルトニウムは「回収量」に含まれないとされているが、東海、六ヶ所両施設に保管される硝酸プルトニウム量をそれぞれ明示されたい。
3 アクティブ試験で処理した四百二十五トンから理論上生成されているプルトニウム量と、製品化された量の差分(約一・三トン)の所在を明確にされたい。環境放出は一切ないとの理解でよいか、政府の見解を示されたい。
質問事項に対する政府の明確な答弁を求める。
右質問する。

